「顧客の声」起点のNPS®改善施策の実行 ~海外でも「KeyExplorer」でNPS®向上に寄与する改善施策を後押し
パナソニック株式会社
パナソニック株式会社は、海外販売会社のCX・CS改善活動をサポートするため、「VoC(Voice of Customer:顧客の声)」と「NPS®(Net Promoter Score)」の分析を2022年から日経リサーチに依頼。分析には日経リサーチのテキスト&データマイニングツール「KeyExplorer」を活用し、顧客理解を深めることに成功しています。今回は、この取り組みの内容について、パナソニック株式会社 海外マーケティング本部 海外販社サポートセンター CS部 主務の蒲地芳美氏に話を聞きました。
パナソニック株式会社
海外マーケティング本部
海外販社サポートセンター CS部
主務 蒲地芳美氏
※Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
「CX改善のヒントが見い出せる」とわかっていてもVoC分析ができなかったワケ
——まずは蒲地様が所属する海外マーケティング本部 海外販社サポートセンター CS部のミッションを教えてください。
蒲地芳美氏(以下、蒲地)|私たちのミッションは、当社の家電製品をお求めいただいた海外のお客様に対して適切なアフターサービスをお届けすること。ひいてはお客様視点でサービスを最適化し、当社のファンづくりに貢献することも役割の1つだと考えています。
とはいえ、お客様と直接コミュニケーションをとるのは現地の販売会社です。そこで、日本で活動する私たちは各販売会社が展開するコンタクトセンターのオペレーションやアフターサービスを改善、強化するための支援を行っています。
――2022年から日経リサーチに、VoCとNPS®の分析をご依頼いただいておりますが、それ以前にはどのような課題があったのでしょうか。
蒲地|現地の販売会社には、コンタクトセンターの活動など、お客様とのコミュニケーションの中で取得した膨大なVoCが蓄積されています。しかし、近年、CX向上が重要視される中で、VoCをフル活用できていないことが課題になっていました。
現場では、BIツールなどを活用して、お客様対応後のNPS®や経路別の件数などは集計しているものの、それで可能になるのは大まかな傾向をつかむことだけ。CX改善につなげるためには、フリーコメントを含むすべてのデータをきちんと分析し、お客様の気持ちを深掘りすることが必要です。しかし、リソースが限られている中で、フリーコメントのすべてを捕捉するのは困難でした。例えば、お客様からのお叱りの声を捕捉し、対応することに精いっぱいで、お褒めの言葉などを含むフリーコメント全体にまで目を向けることができませんでした。その中に、CX改善のヒントが眠っていることがわかっていても。
そんな中、「せっかくお客様にいただいたコメントをきちんと分析して、CX改善に活かしたいがなんとかならないか?」という相談がブラジルの販売会社からあったのです。2022年の上期のことだったと思います。
――どのような経緯で日経リサーチにVoCの分析をご依頼いただくことになったのでしょうか。
蒲地|実は、ブラジルの販売会社から相談を受けた際、こちらもどうすればよいかわからないという状態でした。そんな折、当社の海外マーケティング本部と取引があった日経リサーチが当社内でワークショップを開催。そこに参加する機会を得て、同社の担当の方に相談したことからプロジェクトがスタートしました。
現場の肌感覚とデータをすり合わせることで生まれるバリューとは
――2022年には、ブラジルの販売会社様が所有していたVoCとNPS®の関連性について、当社のテキスト&データマイニングツール「KeyExplorer」を活用して分析を行いました。そして、お客様とのやりとりの中で、どのようなことが行われるとNPS®のスコアが高くなり、低くなるのかが明らかになりました。例えば「 “配達”という言葉があるフリーコメントはNPS®が低い」「コンタクトセンターのあるオペレーターチームが応対した案件はNPS®が高い」という具合に。これらの分析結果について、蒲地様はどのような印象を持たれましたか。
蒲地|分析の結果を見てまず思ったのは「確かに、そうだろうな」という印象です。ただ、同じ内容でも、感覚として捉えていることと、データで明らかになっていることには大きな差があります。データ分析によって、優先度が明らかになったことにはやはり大きな価値があると思います。予算やリソースが限られている中で、何から取り組めばよいのかが明確になりましたから。
――日経リサーチからは、分析の結果と併せて、改善に関する具体的な提案もさせていただきました。
蒲地|分析レポートには、優先的に取り組むべき施策提案など、具体的な内容まで含まれていてとてもありがたく、現地の販売会社にもフィードバックしました。実際の施策は、現地の販売会社が行っているので、詳細まではわかりませんが、コンタクトセンターのオペレーターや修理担当の技術者のお客様対応への指導、それまでお客様からのお叱りの声が多かった流通環境の最適化など、さまざまな改善活動に役立てられているようです。
翌年に実施した同様の分析では優先度が高いと記載した箇所のNPS®も大きく改善し、全体のNPS®の結果も良好なので、分析結果に基づいた改善活動が功を奏しているのは間違いないでしょう。
――2023年からは同様の分析を、EUの販売会社様に対して実施させていただきました。
蒲地|EUでも、VoCやNPS®について、大まかな傾向しか捉えられていないということで同様の分析をお願いしました。
分析で明らかになったのは「Webサイトでの保証の登録方法がわかりにくい」「Webサイトをよりモバイルフレンドリーにして欲しい」というWebサイトに関しての不満の解消がNPS®を高める上で優先度が高いということ。現地販売会社でもこの課題は認識しており、予算を確保し、ちょうど実行フェーズに移っていました。このようなニーズに応えるためには、かなりのコストがかかりますが、データ分析の結果も自分たちの考えと同じだったということがわかったことで、より自信を持って対策を行え、投資も間違いではなかったと確信できたと考えています。
現在は、実行後の状況を再度分析し、課題解決された改善の結果を見たいと言われています。
「KeyExplorer」が企業が進むべき道を切りひらく羅針盤に!?
――今回の日経リサーチの支援内容や分析に活用した「KeyExplorer」について、評価する点があれば教えてください。
蒲地|現地には英語でテキストマイニングをした結果のレポートをフィードバックしましたが、分析内容を各販売会社がさらに深掘りしたい時用に、分析結果に紐づいた形で、現地語の元データを参照でき文脈を現地側で確認できたのはよかったです。特にEU諸国では、それぞれ使用する言語が異なるので、この点は大いに助かりました。
「KeyExplorer」の評価ポイントは、分析の精度がとにかく高いということ。当社の事業会社の中には、業務でテキストマイニングツールを活用しているところは少なくありませんが、よく耳にするのが「テキストマイニングツールにかけたのに、思ったような結果が出なかった」という声。しかし、「KeyExplorer」の結果は、そのようなことがない印象です。腹落ちする結果が出るので、安心して活用できますね。
<以下、インタビューに同席した日経リサーチ チーフ・データサイエンティスト 佐藤からの補足説明>
――一般的なテキストマイニングツールでは、単に単語が多いか少ないかで結果を導き出すため、いろいろな表現ができる内容は埋もれがちです。その点「KeyExplorer」はターゲットの特徴的なフリーコメントや、それに紐づく情報もまとめて抽出して差を見るツールなので、そのような心配がありません。「満足度の高い方だけが口にする言葉」「満足度の高い方が多い顧客接点」「不満のある方だけが口にする言葉」「不満のある方が多い商品カテゴリー」といったように全てのデータを使って分析するので、正しくお客様の本音を理解することができます。
蒲地|今回の取り組みについて社内で説明したところ、「KeyExplorer」に興味を抱く国内のCS担当者も中にはいたようです。自らの業務の中でいろいろ使えそうだと語っていました。
――VoCの活用に関する今後の展望についてお聞かせください。
蒲地|ブラジルやEUの取り組みでは、私たち海外販社サポートセンターを介して、日経リサーチに分析をお願いし、結果をフィードバックしましたが、今後は現地の販売会社自らが「KeyExplorer」の使い方を習得し、分析するようにしていきたいと考えています。その方が意思決定のスピードも上がりますし、施策の評価や改善におけるタイムラグもなくすことができますから。
――さて、現在、コンタクトセンターを、顧客接点のチャネル拠点に進化させ、CX向上に貢献する役割をもたせようという機運が高まっています。今回の取り組みは、まさにそのようなことを実現する好例ですね。
蒲地|VoCには、お客様が満足されるためのヒントが隠されています。それを分析して、そのヒントを明らかにすることでやろうとしてくれることの後押しをしてくれる訳です。やはり「何となくこう思う」というだけでは行動できませんから、このことはとても重要です。データを収集するだけで満足するのではなく、しっかり活用して、当社のファンづくりを実現するところまで展開していきたいと考えています。
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