グローバル拠点のリスクをもれなく把握し、コンプライアンスを強化
NOK株式会社
NOK株式会社は、日本国内はもちろん、全世界に広がるグローバルネットワーク内のグループ会社のコンプライアンスリスクを洗い出すために、日経リサーチの「コンプライアンス経営診断プログラム」を活用しています。今回は、グループ全体におけるコンプライアンス推進に対する考え方や取り組みの内容について、NOK株式会社 業務本部 法務部 コンプライアンス推進課の伊藤雄基氏にお話を伺いました。
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NOK株式会社
業務本部 法務部
コンプライアンス推進課
伊藤雄基さん
全13言語に対応できる調査は日経リサーチ 一択?
——まずは業務本部 法務部 コンプライアンス推進課の業務内容、ミッションをご説明ください。
伊藤雄基氏(以下、伊藤)|かつて当社のコンプライアンス推進活動は法務部法務課が主導していましたが、2024年2月に専門部署として立ち上がったのがコンプライアンス推進課です。ミッションは、NOKグループ全体のコンプライアンス推進活動を主導すること。具体的には、施策を企画し、推進計画を立て、実行していくことが、私たちの業務内容になります。
——貴社のコンプライアンス推進体制についてお聞かせください。
伊藤|NOKグループ全体では、自動車などに使われるオイルシール製品や電子機器に使われるフレキシブルプリント基板など、様々な事業を展開しています。各事業には、国内外に多くの拠点があり、それらに対して各々の国、地域ごとにコンプライアンスを推進する体制を構築しています。つまり、グループ全体の統括としての役割を担っているのです。
——グループ全体の規模感を教えてください。
伊藤|国内外合わせると企業数は93社、従業員数は約4万人です。
——NOKグループでは、2023年10月に日経リサーチの「コンプライアンス経営診断プログラム」を利用し、社員向けのコンプライアンス調査を行っていますが、プログラム活用の経緯を教えてください。貴社のオイルシール製品は、自動車産業で圧倒的なシェアを占めていますが、自動車業界といえば、近年、認証不正に関するニュースが世の中を騒がせています。そのようなことも関係していそうですが。
伊藤|元々、NOKグループでは、毎年10月を「コンプライアンス推進月間」と定め、様々な取り組みを行ってきました。ただ、この取り組みは国内拠点を中心としたもので、海外拠点は現地での対応の確認のみ行っていました。しかし、世の中のコンプライアンスに対する意識の高まりを受け、グローバルも含めたグループ全体でのコンプライアンス強化が必要だと考えたのです。コンプライアンスを強化するには、まず自グループの現状把握が必要ですが、自社で実施する調査では限界があり、本当に正しくリスクを把握できているのかは、少し不安でした。そのようなこともあって、日経リサーチの「コンプライアンス経営診断プログラム」の活用を決めたのです。
——他にも競合するサービスがあると思いますが、なぜ日経リサーチのサービスを選ばれたのでしょうか。
伊藤|日本語の他、話者の多い英語や中国語をフォローするサービスは多いものの、グループ全体を対象とするとなるとそれだけでは事足りません。私たちが求めるのは、マレー語やハンガリー語、チェコ語なども含めた全13言語での対応。この規模で調査を実施できるのは日経リサーチのサービスだけでした。他に選択肢がなかったというのが正直なところですね。
国内と海外で逆の傾向が! 明らかになった潜在的リスク
——調査前、はじめて実際の調査項目を目にした際の印象を覚えていらっしゃいますか。
伊藤|まず調査項目の充実度には驚かされました。また、項目のジャンル分けの巧みさも感心したポイントの1つ。コンプライアンスといっても、その対象は情報管理に関するものやハラスメント、品質不正に関するものなど、様々です。質問項目は、そのようなテーマで細かく分類されていて、「これなら調査後の分析でリスクが的確に把握できるだろうな」と思いました。
——調査は全てオンラインで実施されましたが、スムーズに行うことができましたか。
伊藤|調査は、グローバル全体で約4万人一斉に行いましたが、おおむねスムーズだったと思います。ただ実際に調査を実施して、明らかになった課題も少しありました。
——どのような課題でしょうか。
伊藤|今回の調査では、全てのグループ会社を対象にしたので、回答者が自分の所属を選ぶ際の選択候補が膨大になってしまったのです。場合によっては、自分の所属にたどり着くまで、たくさんスクロールしなければならないので、操作に関する問い合わせが多く発生してしまいました。このことが発覚して、改めて選択方法をアナウンスしたので事なきを得ましたが、これは私たちの想定不足でした。所属選択欄のデザインを工夫するなどして、次回の調査では改善する必要があると考えています。
——調査結果についてはどのような感想をもたれましたか。
伊藤|拠点ごとのリスクが明らかになり、こちらの意図したことが実現できたという印象はあります。
意外だったのは、国内と海外で、コンプライアンスに対する意識について、全く逆の傾向が出たことです。国内拠点は、比較的、法令遵守の意識が高い一方、職場の雰囲気に関するスコアが思ったよりも低かった。そして、海外拠点では、職場の雰囲気はよいのですが、法令遵守の意識が比較的低いという結果になりました。
この結果は、私たちにとって、まさに寝耳に水です。職場の雰囲気については、コンプライアンスに関する潜在的なリスクをあぶり出すこの調査ならではですが、自分たちでは認識が甘かった領域なので、問題が起こる前に明らかになって対策を打つことができるようになりました。
なお、調査結果をまとめた「総合報告書」は見やすく、内容が理解しやすい印象です。特に、グループ会社のコンプライアンスリスクが一目でわかるバブルチャートをつけてもらいましたが、各社のポジションが一目瞭然なので、状況が理解しやすく、社内でも好評でした。
さらに、調査後には日経リサーチの担当者による報告会を実施してもらいましたが、これは社内でコンプライアンスに対する危機感を共有するのに大変役に立ったと思います。やはり資料を見てもらうだけでは伝えきれない部分がありますので。また第三者的な立場で説明いただくので、社員が説明するのとは説得力が違うでしょうね。
アウトプットイメージ
——調査結果を受けて、具体的な対策を講じていますか。
伊藤|具体的な施策としては、グループ全体の取り組みとしてコンプライアンスをテーマにした「eラーニング」プログラムをスタートさせました。これは調査のスコアが高かった拠点が行っていた施策をもとにした取り組みです。
また、調査結果から、国や地域によってコンプライアンスに対する考え方が異なっていることが明確になりました。そこで、これまでグループ全体で統一していたコンプライアンスに関する行動指針を、国や地域ごとにカスタマイズするための改訂準備を進めているところです。
コンプライアンス推進のポイントは 1人も残さず対策を講じること
——今回の取り組みを振り返って貴社が特に重視したポイントはどのようなところでしょうか。
伊藤|国内外含めて、漏れなく調査を行うことには、こだわりました。だからこそ、契約形態にかかわらず、私たちの会社で働く方全員(※派遣社員を除く)を調査対象にしたのです。従業員1人の行動が大きな問題に直結してしまいますから。
——改めて「コンプライアンス経営診断プログラム」のような外部サービスを活用する意義についてお聞かせください。
伊藤|自前ではフォローしきれない専門的な見地で調査できるのは大きな意味があるでしょう。また、社内の部署でなく、第三者が調査を行うことで、回答者も安心して回答できるのもメリットの1つだと思います。
現在取り組んでいる施策の効果測定も含め、定期的にチェックすることが必要だと思うので、今後も継続して利用したいですね。
——最後に、コンプライアンス強化に関して、同様の取り組みを検討している企業担当者にメッセージをお願いします。
伊藤|恐らく、コンプライアンス推進に携わる方であれば、調査の必要性は皆さん理解されていると思います。ただ、一般的に、このような取り組みにおいて予算を獲得するのは簡単なことではありません。
幸い私たちは、社会の要請や経営陣の危機感が高まっていたので、取り組みを進めることができました。ですので、同様の取り組みを進めたいという担当者の方にアドバイスをするならば「世間の潮流や上層部の意識の変化を見逃さず、コンプライアンス推進に対する機運が高まっているタイミングを見逃さないようにしてください」というところでしょうか。
——ありがとうございました。
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