世界で存在感のある企業、究極の高ロイヤルティ企業を目指して |ブランド戦略サーベイで可視化した「コーセーらしさ」
株式会社コーセー
2018年にスタートした中長期ビジョン「VISION2026」の実現を目指すコーセーでは、新たな顧客価値創造に向けた取り組みを進めるにあたり、日経リサーチの「ブランド戦略サーベイ」を活用しています。今回は、この取り組みの内容や「ブランド戦略サーベイ」活用の狙いについて、同社 経営企画部 経営戦略室 経営企画課の今田拓志課長と角田菜津子氏にお話を伺いました。
株式会社コーセー
経営企画部 経営戦略室 経営企画課
課長 今田拓志氏(左)
経営企画部 経営戦略室 経営企画課
角田菜津子氏(右)
多様な顧客に対応し、世界での存在感を高める
――貴社では「Global(グローバル)」「Gender(ジェンダー)」「Generation(ジェネレーション)」の頭文字をとった“3G”というキーワード掲げ、新たな顧客づくりに向けた取り組みを進めていますが、改めてこれらのキーワードの意味をご説明いただけますか。
今田拓志氏(以下、今田)|当社は、2018年から「VISION2026」という中長期ビジョンを推進しています。このビジョンは、2026年に「世界で存在感のある企業へ進化すること」を目指すもので、大きく3つのフェーズに分かれています。
フェーズ1では「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」を、フェーズ2では「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」を、フェーズ3では「世界のひとりひとりに存在感のある顧客感動企業への進化」を図ることを定めましたが、現在はちょうどフェーズ2の真っただ中。
そして、このフェーズに掲げた目標を実現するための指針が“3G”なのです。わかりやすくいえば、新たなお客さまづくりの方向性をまとめたもので、「Global」は「ボーダレスに世界中の人々に受け入れられるような商品やサービスを提供」することを、「Gender」は「女性に限らないお客さまに向けたアプローチで、性別に関係なく化粧品を楽しんでもらう」ことを意味します。「Generation」は「子どもやシニアの方にも化粧品を楽しんでもらう」ことと「年齢やライフステージが変わっても、お客さまの一生に寄り添う企業になる」ことを表しています。
――“3G”という考え方はどのように生まれたのですか。
今田|実は“3G”の元になる考え方は、元々当社が標榜してきた「アダプタビリティ(Adaptability:適応性)」というフィロソフィがベースになっています。これは、当社が「多様なお客さまに対応できるよう、個のアイデンティティに着目した価値づくりを行うこと」を指していますが、これに関連して、具体的に取り組むべき8つのテーマを設けています。
その中に「多様な文化に溶け込む」「ジェンダーにとらわれない」「幅広い世代の垣根を超える」というテーマがあるのです。なお、他の5つは「誰も取り残さない」「あらゆる肌と髪に向き合う」「使いやすい、分かりやすい」「誰もが心地よい表現を使う」「個々のポリシーに寄り添う」です。
――“3G”推進に関する具体的な取り組みを教えてください。
角田菜津子氏(以下、角田)|「Global」に関しては、ボーダーレスに世界中の人々に受け入れていただけるような商品やサービスを生み出し、各国で様々なプロモーション施策を展開しています。「Gender」については、性別に関係なく楽しめるような商品開発などを行っています。例えば、メイクアップブランド「ヴィセ」の「ネンマクフェイク ルージュ」という商品は、肌馴染みがよく、ジェンダーレスなカラーラインアップが特徴で、2023年のヒット商品になりました。また、CMキャラクターに男性を起用するなどの取り組みも行っています。
ヴィセ ネンマクフェイク ルージュ
――大リーグ「ロサンゼルス・ドジャース」の大谷翔平選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手などを起用した貴社のCMは非常に印象的です。
今田|ありがとうございます。海外で活躍し、幅広い世代から愛されている大谷選手と羽生選手は、「Gender」はもちろん、「Global」「Generation」も含め、まさに“3G”を体現するような存在だと考えています。
大谷選手の広告起用でも話題の美容液「コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム」(左)、
羽生選手がブランドミューズをつとめる雪肌精の「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」(中央)、
新生児の肌から大人の敏感肌まで、デリケートな肌にも使用できる低刺激処方の「雪肌精 クリアウェルネス モイストリペア ミルク」(右)
角田|「Generation」に関する取り組みもいろいろと展開しています。「キッザニア東京」に美容に関する仕事体験ができるパビリオンを出展したり、全国の中学校や高校で「紫外線から肌を守る」ことの重要性を伝える講座や子どもの自発的なスキンケア習慣の定着を目的とした学童スキンケア教室などを開催したりという具合です。
直感的な操作感、データの見やすさなど、使い勝手のよさを高評価
――“アダプタビリティ”や“3G”に関する取り組みを進める上で、経営企画部はどのような役割を果たしているのですか。
今田|コーポレートブランディングに関する部分を主導するとともに、“アダプタビリティ”や“3G”に関する様々な取り組みが「コーセーらしさ」と「一貫性」を保つための支援も行います。先ほどご説明したような子どもや学生に向けた啓発活動なども経営企画部が主幹で行っています。
――貴社では2023年から日経リサーチの「ブランド戦略サーベイ」をご活用いただいていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。
角田|これまで商品ブランドの認知拡大、商品ブランド価値向上のための施策は、積極的に行ってきました。最近では、“3G”などを推進する中で、企業としての発信も増えています。
しかし、当時は“3G”のような取り組みがコーポレートブランドに及ぼす影響や客観的な評価を測るための調査は行っていませんでした。そこでコーポレートブランドの現在地を可視化したいと考え、「ブランド戦略サーベイ」の活用を決めたのです。
――ブランドに関する調査は、世の中に多く存在します。そんな中で日経リサーチの「ブランド戦略サーベイ」を選んだ理由を教えてください。
角田|オンラインでデータの閲覧、分析ができる「ブランド戦略サーベイオンライン」を利用していますが、操作はもちろん、結果が見やすくわかりやすいことが決め手になりました。また、国内外600社に同じ質問で調査をしていることも魅力の1つ。過去データも含め、様々な分析・比較ができることはありがたいですね。
――調査結果はどのように活用していますか。
角田|まずは、自社のコーポレートブランドに関する、現在地を知ることに役立てています。いうなれば健康診断的な使い方ですね。中でも顧客ロイヤルティに関する指標は注意深くみています。
なお「ブランド戦略サーベイ」には、自由回答で企業イメージを聞いていますが、その回答を見ると、コーセーに「トレンドに合っている」「かっこいい」などポジティブなイメージを抱いている20代以下の方が多いことが分かりました。
当社は1946年創業ということもあり、若い方には伝統的な老舗企業というイメージがあるのではないかという仮説があったので、この結果は意外でした。そのような気づきが、実際のアクションを起こす上で示唆を与えるのはいうまでもありません。「ブランド戦略サーベイ」には、宝が詰まっていると感じます。
――「ブランド戦略サーベイ」の活用と併せて、より詳細に分析した結果をまとめたレポートサービスと報告会もご依頼いただきました。
角田|データを分析する際に、どうしても主観が入ってしまうところがあるので、データ分析の専門家である日経リサーチの力を借りました。
また、報告会には、経営企画部だけでなく、宣伝部のメンバーも参加しましたが、「ブランド戦略サーベイオンライン」という優れたツールの存在を社内に知らせる意図もありました。
「データは嘘をつかない」ことを改めて認識
――今後「ブランド戦略サーベイ」をどのように活用していく考えですか。
角田|今回「ブランド戦略サーベイ」を活用して強く感じたのは「データは嘘をつかない」ということ。人が何かしらの判断をする際には、どうしても感情や思いが入ってしまいます。
情緒的価値も大きなウエイトを占めるコーポレートブランドの価値となるとなおさらです。今後は、調査結果をより細かく見ると同時に、化粧品会社以外の企業も含めて、広く比較していきたいですね。そこから得られる気付きには価値があると思います。
今田|取り組みは、始まったばかりなので、これからも軸をぶらさずに、着実に進めていきたいです。「コーセーらしさ」と「一貫性」を担保するためにもデータを活用していきます。その結果、年齢や性別、国籍に関係なく、「コーセーが好き」と思っていただけるファンを増やすことにつなげていきたいです。
――「VISION2026」の実現によって、貴社が世界で存在感のある企業に進化を遂げたとき、世の中はどのように変化すると思いますか。
今田|私たちは「化粧品は、外見だけをきれいにするものではない」と考えています。これまでもよくいわれてきたことですが、COVID-19の感染拡大によって再認識できました。例えば、在宅勤務でも、気分を盛り上げたり、仕事のスイッチを入れたりするために化粧をする人が数多く存在した。つまり、化粧品は見た目だけでなく、気持ちも明るく前向きにする力があるわけです。
化粧品をつかうことが、女性だけでなく、男性や子ども、シニア層の間にもひろがれば、きっと世の中はもっと明るく素敵なものになるでしょう。そんな化粧品のもつ力が世の中に広がることがゴールだと考えています。
※記事の部署、役職などはインタビュー当時のものです。
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