Case

ビジネスターゲットからの認知度向上を目指して-拡大する事業領域での立ち位置をブランディング評価で確認

ダッソー・システムズ株式会社 マーケティング本部

フランスに本拠を置く世界有数のソフトウェア企業、ダッソー・システムズ株式会社(東京都品川区)が日本での認知度向上に向け、ブランド戦略に力を入れている。イベントの開催やメディアを使った広報活動のほか、日経リサーチのブランド調査を活用、定期的に現状を把握することで、より効果的なブランディングにつなげていく方針だ。
マーケティング本部でブランド戦略にかかわる、池田宙氏、楊雯(ヤン・ウェン)氏、鐵見祐太郎氏の3人に日ごろの取り組み、日経リサーチの調査に対する評価、調査結果の活用法などについて聞いた。

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ダッソー・システムズ株式会社

マーケティング本部
トランスフォーメーション・プロジェクト シニア・スペシャリスト 池田 宙 氏(右)
PR&コミュニケーション コミュニケーションマネジャー 楊 雯(ヤン・ウェン)氏(中央)
パートナー・マーケティング スペシャリスト 鐵見 祐太郎 氏(左)

※社名・部署・役職はインタビュー当時のものです

事例のポイント

抱えていた課題

  • 世界では有数の企業であるものの、日本では自動車を中心に製造業向けのイメージが強く、製造業以外の業界やスタートアップ企業など幅広い層の人々に認知してもらいたい
  • 事業領域拡大に伴い、現状の自社のビジネスターゲットからの評価を確認したい
  • 自社のパーパスなど、社名だけでなく戦略的メッセージも市場に広く認知させたい

「ブランド調査」で解決できたこと

  • 自社の現状の立ち位置を把握、ベンチマークの設定
  • 今後の施策に対しての効果検証をする仕組みづくり

今後の展開

  • 自社が目指すべきブランドイメージと実態との差を定点観測し、毎年のマーケティング施策検討時のターゲット選定やコンテンツ検討およびその効果検証に活用

拡大する事業領域ー幅広い業界への認知度拡大が課題に

Q. 御社の事業内容、皆様の業務などについて教えてください

池田氏 3人ともそれぞれ別の仕事をしており、今回はタスクフォースチームのような形で、ブランド調査に取り組むことになりました。私は日ごろ自社開催のコーポレートイベントを担当しているほか、ビジネスプロセスや社内のオペレーションを変革する関連プロジェクトにかかわっています。

 

鐵見氏 私は販売代理店(パートナー)さまにリードと呼ぶ見込み案件を作っていただくためのマーケティング活動を支援する業務をしています。法人間(BtoB)取引が中心の弊社商材は、取引につながるまで一定の時間を要することが多いです。興味・関心をお持ちの比較的初期のフェーズのお客様を見つけるために、マーケティング施策の立案や実施までサポートしています。

 

楊氏 私の所属するPR&コミュニケーションチームの役割は、日本語でいうと広報です。マーケティング本部には大きな柱が二つあって、イベントの開催やパートナーさまとの連携によってリードを創出する仕事、もう一つが認知度の向上です。私のチームはその後者の役割を担っています。メディアとタイアップ記事を手掛けたり、自前のメディアやソーシャルメディアを使って情報を配信したりしています。その他にも社内でのブランディングの管理や、社内の営業担当者と協力しながら、お客様の成功事例を作成し、広く周知するという活動もあります。

Q.世界有数の企業ですが、日本では詳しく知らないという人も多いかと思います。事業概要を教えてください。

楊氏 1981年に飛行機の部品を3Dで設計するところから出発し、2012年には3DEXPERIENCE®プラットフォームを打ち出し、モノから都市までバーチャル上でシミュレーションして開発できるようになりました。最近では、2020年から人体のバーチャル・エクスペリエンスを手掛け始め、米製薬大手のモデルナ社も、ワクチンの迅速な市場投入のために我々のバーチャル治験のソリューションを活用いただきました。

 

「バーチャルの世界が現実の世界を拡げ、高めていく」というのが我々の信念です。当社の定義するバーチャルツインは、メタバースのように消費者が疑似空間内でショッピングするようにバーチャルの中で完結するものではありません。バーチャルの世界で現実を細かく再現し、何度もシミュレーションをして、それを現実の世界に還元してより豊かになるように活動していくのです。

 

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Q.貴社の事業構造はどうなっていますか

池田氏 事業規模としては主に製造業が占める割合が多く、次にライフサイエンス、都市・インフラが続きます。これまでモノづくり向けソリューションが中心でしたが、都市・インフラ、ライフサイエンスの分野にもより一層注力していこうとしています。

製造業も伝統的な自動車だけでなく、電気自動車(EV)や空飛ぶ自動車など新しいものにも広がっており、スタートアップの企業との引き合いも増えています。

様々な業界のお客様に、多様なソリューションを提供しているからこそ「イメージ」がぶれやすい

Q.認知度向上に向けたこれまでの取り組みを具体的に教えてください

池田氏 認知度という面で見ると、日本ではまだ製造業、特に自動車向けが主力事業というように認識されているイメージが強いですね。都市インフラやライフサイエンスなど、製造業以外の分野でも様々なことをやっているというのを、もう少し認知していただきたいと考えていて、それが一つのテーマになっています。

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楊氏 マスメディアを通じた情報発信では、当社日本法人の代表取締役社長フィリップ・ゴドブがアーティストのスプツニ子!氏と対談した記事がフォーブス・ジャパンに掲載されました。有名なアーティストとのコラボレーションにより、当社を知らない人にも認識してもらおうという試みです。お客様の事例紹介では、インタビュー記事や動画を作って当社のウェブサイトで公開しています。

鐵見氏 YouTubeで有名なインフルエンサーの方とコラボして、当社の事業を紹介してもらったりもしましたね。これは数万人規模の視聴がありました。認知度を上げるという意味では効果的だったと思います。自社のソーシャルメディアでの発信も強化しています。

ただブランディングとして、当社がどんな世界観を大切にしているかなどは、やはりイベントに来ていただいてブースの展示や講演で体験してもらい、お客さまになりうる人にきちんと伝えることが大切になります。

池田氏 当社が主催する年次イベントについては、毎年3回、それぞれ弊社の主力ソリューション名である“3DEXPERIENCE”を冠に、マネージャー層向けの“カンファレンス”、経営者層向けの“フォーラム”、ユーザー層向けの“ワールド”という名称で継続して実施しています。ユーザーさまにも協力いただいたり、京都府副知事にもご登壇いただいたりしこともあります。

外部が主催するイベントにも積極的に参加していますが、認知度を高めると言っても、広い対象に対してマス広告を打つということではなく、ターゲットを絞ったブランディングを行っていきます。

 

Q.これまでの取り組みの手ごたえ、あるいは苦労、そして課題は何でしょうか。

楊氏 やはり課題は、これだけ多くの業界のお客様にサービスを提供しているのに、まだ製造業以外には広く認知されていない、ということが挙げられます。

 

鐵見氏 様々な業界に対して多様な領域でのソリューション提供をしているからこそ、イメージがぶれやすい面があるのかもしれません。この分野に強いというエッジが効いている会社、自ら製造業もやっていてそちらのブランドが周知されている会社などと比べて、浸透しにくい面があるかと思います。個々の製品名を知っている人は多いのですが、会社名とつながりにくいようです。ただ、統合やコラボレーションこそ我々の強みなので、そこを訴えていきたいです。

池田氏 それらを統合するものとして打ち出したのが3DEXPERIENCEですね。それこそが強みなのですが、現在のところ認知度はまだ十分ではない。そこをさらに訴求していきたいですね。

 

定点観測できるよう設計ー幅広い業種・役職から回答

Q.ブランド調査を実施する狙いはなんでしょうか

池田氏 まずは自分たちの立ち位置を確認しておきたいということです。

「ダッソー・システムズ」という会社が日本においてどれだけ知られているのか。認知度をこれから上げていこうとしているわけですから、まずは現状を知る必要があると考えました。

 

Q.これまでの調査で抱えていた課題などがあれば教えてください

池田氏 2018年ごろからブランド調査をやっていますが、それまでの調査の対象者は、どちらかというと当社の顧客セグメントに近いIT系の担当者に偏っていた面がありました。当社の事業領域が拡大していることから、現状のビジネスターゲット全体にリーチできるようにしたいと考え、日経リサーチにお願いしたという経緯があります。

鐵見氏 製品を選んでいただく際にも、情報システム部門の方だけで決めるのではなく、現場の方や研究開発部門の方が関与、決定されることもあります。また、ご担当の方だけでなく、サービス導入に関わる意思決定をする方々からの声も聞かないといけないということで、上位役職者層も数多く調査モニターとして抱えている日経リサーチにお願いしたわけです。ブランドイメージの調査がお得意であるという点も、理由としてありました。

Q.日経リサーチの調査で満足した点を教えてください

楊氏 調査設計の際に、担当者の方が寄り添ってくれたのはよかったと思います。隔週で担当の方とミーティングをし、それがない週は我々3人で話し合いをしたのですが、上手に対話のキャッチボールができました。

 

池田氏 調査結果を確認しても、大きなずれはなかったですね。マーケティングをしていて常々思っていたことが、データとして裏付けられたという印象です。我々は意思決定者である部長職以上を主なターゲットとしてマーケティング活動をしてきたのですが、そうした層の方々が他に比べ、当社をよく理解していただいていた。今回の調査でそれが確認できたのはよかったですね。

 

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池田氏 最も力を入れたのは、これから継続して定点観測できるようにするという点でした。そこにアドバイスいただけたのはよかったですね。やはり調査設計がキモになる。そこがきちんとできれば、調査レポートは期待したものが出ると考えていました。

 

鐵見氏 後はなるべく幅広い業界からの声を拾いたい、対象者に偏りがないようにしたいという希望が強くありました。また担当者だけでなく、マネージャー層などの上位役職者層からの調査回答が得られることも重視していました。幅広い業種のパネルを持っている、上位役職者層も含めて様々な層の人が一定数いるという強みを生かし、各業種、各役職からまんべんなく調査していただいたと思います。

調査設計をする際も、こちらの描いたイメージに対し、具体的な形として落とし込んでいただいた。質問をどういう順番にするのか、どういう聞き方にするのか、複数回答にするかどうかなど細かくアドバイスをもらいました。

調査結果は経営層で共有、今後のブランディングのベンチマークとして活用

Q.調査結果について社内の反応はどうでしたか。また今後、どう活用していこうとお考えですか。

池田氏 今回の調査は全従業員への公開を目的とするものではなく、マネジメント層との議論のベースとするために共有しましたが、そこでも大きなサプライズはありませんでしたね。IT企業のなかでの認知度ランキングで自社がどの位置にいるのかを確認し、今後数年かけてここまで行きたい、そのためには何をやればよいか、それをこれから考えていこうといった議論をしました。

鐵見氏 ベンチマークができたということが大きいですね。それをもとに、我々より上位にいる競合他社がどういった戦略をとっているのかなどを探っている段階です。

 

Q.今後の展望について教えてください

ベンチマークを定めて着実にターゲット層での認知が広がるよう、今後とも弊社一丸となって活動して参ります。直接的なソリューションの訴求だけでなく、当社のパーパスや、多様性のある働き方が実現できる企業像などのブランドイメージを確立し、バーチャルツインによって社会の未来の変革を目指します。

 

 

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