Case

今後進むべき道を示す羅針盤に-「日経IDリサーチサービス」で明らかになった自社ブランドの現在地

株式会社乃村工藝社

空間創造における幅広い事業を手掛ける乃村工藝社では、自社のブランド価値向上を図るために、日経リサーチの「日経IDリサーチサービス」を活用し、様々な施策を進めています。
今回は、調査を実施した狙いや活用法について、同社ビジネスプロデュース本部ブランドコミュニケーション部 部長の田中摂さん、同部ブランドマネジメント課 課長の鈴木志乃さん、同部広報課 課長の山崎純二さんの3名にお話を伺いました。

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株式会社乃村工藝社

ビジネスプロデュース本部
ブランドコミュニケーション部
部長 田中 摂さん(中央)

同部 ブランドマネジメント課
課長 鈴木 志乃さん(左)

同部 広報課 
課長 山崎 純二さん(右)

“守り”から“攻め”へ――広報・PR活動の転換のため、組織を再編

 

――まずは貴社の事業概要を教えてください。

山崎純二さん(以下、山崎)|当社は、商業施設、ホテル、企業PR施設、ワークプレイス、博物館など、人が集うあらゆる空間の総合プロデュースを行っています。企画から、デザイン、設計、施工、運営まで、空間の創造に関する業務すべてをフォローできることも特徴の1つです。

 

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――皆さんが所属するビジネスプロデュース本部ブランドコミュニケーション部のミッションについて、ご説明いただけますか。

田中 摂さん(以下、田中)元々、当社ではリスク回避を重きにおいた、いわば“守り”の広報活動を展開してきました。しかし、そのような広報活動をより事業に貢献するものに転換させるべく、2021年、広報機能を管理部門からビジネスプロデュース本部に移管。さらに、2023年にはブランディングも含めたより高い視座でコミュニケーション活動を展開するべく、広報部がブランドコミュニケーション部という部署名に変更となり、現在に至ります。

 

ブランドコミュニケーション部では、社内外の広報活動や渉外対応を行う広報課と、コーポレートサイトの制作運用やSNSの運用などブランドコミュニケーション業務を行うブランドマネジメント課に分かれて、業務を行っています。

 

▼乃村工藝社コーポレートサイト

HP TOP_1  HP We are NOMURA

 


――かつては黒子に徹してきた広報部門が、“攻め”の広報・PR活動を行うに至ったわけですね。

田中社会の変化とともに、かつてとは広報が果たすべき役割も変わり、自社の情報を積極的に発信する企業が増えています。そんな中、以前のようなスタンスだと、あまり活動をしていない企業だと誤解されかねません。
さらに自社プロジェクトをタイムリーに発信することが、社員のモチベーション向上にもつながるのではないかという期待もあり、方針を転換することになったのです。

 

BtoBビジネスに直結する調査結果が得られることが決め手に

 

――貴社では、日経電子版会員を中心に構成された約1,100万人の日経ID会員を対象に調査できる「日経IDリサーチサービス」を活用して、ブランド調査を実施していますね。そもそも調査を行うことは、どのような狙いがあったのでしょうか。

田中自社のブランド価値を向上させるにあたって、まずは私たちがどのような状況に置かれているのかを知る必要があったことが、調査を行った直接の動機です。また、「『空間創造』事業についても世の中にきちんと理解されていない」という認識があったので、そのあたりのことも明らかにしたいという思いもありました。そして、「日経IDリサーチサービス」を利用したのは、調査対象が日経ID会員であることに魅力を感じたことが大きいですね。

 

実は以前も、自社の認知度調査は実施していましたが、これは一般消費者を対象にしたもの。その点、「日経IDリサーチサービス」なら、ビジネスパーソンに特化した調査が行える。BtoB事業を展開する当社にとっては、うってつけなサービスだと感じたことを覚えています。

 

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山崎さらに以前の調査では、ベンチマークを競合となる数社に設定していました。しかし、ブランディングにおける私たちの状況を適切にとらえるためには、近しい事業を展開する建設業や広告代理店など、他業界との比較も必要です。その点、日経リサーチは、各業種の代表企業600社を対象にした「ブランド戦略サーベイ」を行っているので、同じ設計で調査を行い、結果が比較できる。このような点も大きな魅力でした。

鈴木志乃さん(以下、鈴木)それと一般的な調査パネルとくらべて自由回答の量を多く設定できる点も、「日経IDリサーチサービス」のメリットですね。日経ID会員は情報リテラシーが高いので、有用な回答を得られるということで、無駄なく、効率的に調査結果を得られる点も好印象でした。

 

想定外の結果は新たな気づきに、想定内の結果は課題をより明確に

 

――調査結果から、どのような気づきを得られましたか。

田中かつて実施していた一般消費者を対象にした調査では、企業としての認知度は2割程度でしたが、今回の調査では半分近くという結果でした。ビジネスパーソンに限ると認知度が高まることは、新たな気づきでしたね。経営陣含めて、肌感覚で思っていたことが数字として可視化されて、共通認識を持って話がしやすくなりました。

 

また、これまで事業を展開する上で重視してきた営業活動や、イベントなどの渉外活動といったお客様との直接の接点が、ブランド価値向上に好影響を及ぼすことが明らかになったことも収穫の1つです。これまでの方針で間違いなかった、今後も積極的に実施していこう、と自信が持てました。もちろん、良いことばかりでなく、「空間創造」という事業に対する理解が進んでいないことなどもわかりました。

鈴木先ほどお話した自由回答のコメントからも、いろいろな示唆を得ることができました。乃村工藝社という社名の「藝」という漢字から、ネガティブな印象とポジティブな印象のそれぞれあることが分かったのは、興味深かったですね。例えば「保守的で、先進性に欠ける」という意見があった一方で、「こだわりがあり、職人気質が想起される」という意見も見受けられました。

 

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山崎これまで「自分たちが世の中からどう見られているか」を考え続けてきましたが、調査によって改めて客観的な意見を把握できたのは、これまでの取り組み対する自信につながったり、新たな課題に気づかせてくれたり、様々な示唆を与えてくれました。想定外の結果はもちろん新たな気づきになりますし、想定していた通りの結果も仮説の解像度をあげることにつながり、より課題が明確になったのはいうまでもありません。

鈴木そうですね。例えば、私たちのことを知っている方の中には「コーポレートサイトをはじめ、Webコンテンツを介して接点をもった」という回答が多かったことから、デジタル施策をより積極的に推進する必要があるという結論に達しました。特に若年層の認知度が低いので、SNSを活用した新たなコミュニケーション施策の検討を始めました。

 

機関誌の発行、休眠顧客を掘り起こすメルマガなど、様々な施策を展開

 

――その他、調査結果を受けて、実施していることはありますか。

田中先にお話しした通り、お客様との対面のコミュニケーションがブランディングに大きく影響することが分かりました。そこで、お客様と営業担当者やクリエイティブ担当者との円滑なコミュニケーションを図るため、彼らが持参できる機関誌を制作。機関誌の内容は、社員のインタビューや最新のプロジェクトを定期的に紹介する内容になっています。

 

▼乃村工藝社 機関誌

新施策_機関誌

 

 

鈴木また休眠顧客の多くが、取引があった当時のイメージのまま、当社のことを捉えているという事実が明らかになったので、そのような方に、最新の取り組みをご紹介するメールマガジンの配信などもはじめています。

山崎調査結果は、ブランディングだけでなく、私が携わっている広報活動でも利用しています。例えば、調査結果から、私たちが手がけている様々な施設の内、公共施設や病院などの医療施設の認知度が低いことが分かりました。そこで、完成したばかりの複数のクリニックの案件を、2週連続でニュースリリースとして発信しました。調査で指摘されている点を念頭に、施策の最適化を行っています。

田中ブランド向上は、ブランドコミュニケーション部の取り組みだけで成し得るわけではありません。広報はもちろん、イベントを行うチームや採用担当部署、さらには営業担当者やデザイナーなど、社外との接点をもつ社員のあらゆる活動が影響するものです。

 

だからこそ、組織を横断してコミュニケーションやメッセージを統一することが求められる。そして、それを実現する上で、定量的な調査結果が物をいう。そのような面でも、調査を行った意義はとても大きいと考えています。

 


――ブランド向上に関する今後のビジョンを聞かせてください。

田中私たち自身のブランド力を向上させるのはもちろんですが、長期的には「空間創造」事業、ひいてはこの業界全体の魅力を広く知ってもらう取り組みを進めていくつもりです。

 

いずれにせよ、現在取り組んでいる施策の効果を評価し、新たな課題を見つけるためにも、定期的にブランド調査を行う必要があります。今後も日経リサーチには、変わらない支援をお願いしたいですね。

 

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