自社の提供価値を最大化するために -市場ニーズを的確に捉える「日経IDリサーチサービス」の活用
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
データ領域におけるプロフェッショナルの常駐サービスを展開する株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニーでは、創業5周年を迎えた2023年、さらなる飛躍を目指して日経リサーチの「日経IDリサーチサービス」を活用されました。調査結果を広報活動とサービス開発に活用しているという同社の取り組みがどのようなものなのか。広報室の小池 育弥さんとサービス開発室 室長の吉川 寛さんにお話を伺いました。
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
広報室
小池 育弥さん(左)
サービス開発室 室長
吉川 寛さん(右)
自社のサービスを世の中に伝えきれていないのではないか?
――はじめに貴社の事業概要についてお聞かせください。
小池 育弥さん(以下、小池)|弊社は、2018年に誕生した株式会社メンバーズの社内カンパニーです。事業内容は、データ領域のプロフェッショナル常駐サービスの提供。弊社で正社員として雇用したデータアナリストやデータサイエンティスト、データエンジニアなどを顧客企業に常駐させ、単なるデータ活用の支援だけでなく、内製化まで見据えたサポートを一気通貫で行うのが特徴です。
――吉川さんと小池さんは、それぞれどのような業務を担当されているのでしょうか。
吉川 寛さん(以下、吉川)|新たな自社サービスを開発するサービス開発室のリーダーを務めています。つまり、データ領域のプロフェッショナルがさらに活躍できるステージを構築するのが業務内容です。
小池|私は広報として、カンパニーとしてのブランド認知度の向上をミッションとしてます。今回の調査では、吉川とともに全体の進行や社内外調整、質問票の考案、調査結果の活用などを担当しました。
――今回、貴社では、日経電子版会員を中心に構成された約1,100万人の日経ID会員を対象に調査できる「日経IDリサーチサービス」を活用して、自社の強みや市場からの現行サービスへの評価、ターゲット市場の動向などを把握する調査を実施されました。
広報室とサービス開発室共同で調査を進められたとのことですが、まずは広報活動との関係から伺います。調査を行う前にはどのような課題を抱えていたのでしょうか?
小池|これまで広報活動は、1人でも多くの方に弊社を知ってもらうために、とにかく色々なやり方で露出してきました。自社サイトへ顧客の事例記事を掲載したり、noteを更新したり、展示会に参加する等々――。
しかし、そのような活動の中で、既存のお客様の抱えている課題の中に弊社で対応できるものがあるにもかかわらず、それをお客様がご存じないことでご支援できていないという事実が見えてきたのです。
もちろん顧客の予算や優先順位の問題もありますが、「ひょっとすると自社のサービスの強みを伝えきれていないのかもしれない」という疑念を抱くようになり、状況を確認したいという思いが強くなっていたのです。
調査における広報室のミッションは、マーケティング・広報施策の示唆を得ることでした。弊社ではこれまで市場調査を実施したことはなかったのですが、サービスの提供形態が「正社員人材の常駐」とやや特殊であるため、一般的に公開されているような調査データでは、痒い所に手が届きませんでした。そんな折、吉川から市場調査の打診があり、共同で調査を実施することになったのです。
調査のプロによる一気通貫のプロジェクト支援で得られたこと
――様々な調査サービスがある中で、なぜ日経リサーチの「日経IDリサーチサービス」を活用されたのでしょうか?
小池|弊社の事業領域はBtoBなので、やはりターゲットとなるビジネスパーソンにリーチできる点は大きな魅力でした。弊社はビジネスパーソンのなかでも「データ活用に関わる担当者」というセグメントに対する調査を行いたいと考えておりました。他社ではなかなか求めている条件でリーチすることができなかった要望に応えていただけたのが決め手でした。
吉川|また、今回は日経ID会員へのWeb調査だけでなく、既存顧客へのインタビューも実施したかったのですが、全体的な設計から具体的な調査項目、細かい納品物のオーダーにも柔軟に対応できるとのことで、これなら安心してお願いできると思ったのもポイントです。それができなければ、こちらの思い込みで質問を設計してしまうことになりかねませんので。
小池|インタビューとWeb調査を一緒にお任せできるところは意外と少なかったのを覚えています。「できますよ」と、「いつもやっていますよ、実績がありますよ」というのは違う。
吉川|いくら調査を行っても、使えないデータはどうあがいても使えませんから、どこの調査会社に依頼するかは本当に重要ですよね。
小池|私たちが考えていたざっくりとした調査項目を具現化していただいたのは、ありがたかったです。単なる御用聞きではなく、弊社の課題を一緒に解決するために伴走してくれたイメージです。
日経リサーチの担当者も興味を持ってプロジェクトに臨む雰囲気が伝わってきたことも印象的でした。たくさんアイデアをいただいて、こちらもワクワクしながら進行することができました。
調査データを礎に、戦略的広報活動を促進
――調査結果は納得のいく内容でしたか。
小池|はい、大変参考になりました。Web調査の結果はもちろんのこと、事前にやった既存顧客へのインタビュー内容が社内―特に営業部門に与えたインパクトはとても大きかったです。普段顧客と接している営業や常駐しているメンバーからでは聞き出せない評価やニーズなどを聞くことができたため、何を求められているのか、何を評価されているのかがわかり、理想とのギャップが明らかになったようです。
また、サマリーで資料化していただいたので社内展開しやすく、SWOT分析など、今でも様々なところで転用しています。最近入社した営業から、「この資料ありますか」と問い合わせが来ることもあります。
――調査結果を受けて、どのような施策を実施していますか。
小池|広報としては、リリースや営業資料、サイト改修などの自社のPR施策の検討材料にしています。客観的に現在のサービスをどこにどう訴求していけばよいのか、大変参考になりました。
また調査結果の一部を用いた調査リリースも発表して、認知獲得につなげる取り組みも展開しました。広報としては、自社で獲得した情報が認知獲得に利用できるなら使わない手はありません。「内製化」というトレンドに沿って出せたこともあって、いくつかのWEBメディアにも取り上げてもらい、取り組んでよかったと考えています。
エビデンスに基づいたサービス開発で一切の迷いを払拭
――続いて、サービス開発の視点からお話を伺いたいと思います。元々は吉川さんからの打診を受けて、調査を行うことになったとのことですが、サービス開発室では調査前にどのような課題に直面していたのでしょうか?
吉川|ちょうどその頃、2030年に向けた事業目標が設定されたのですが、目標達成のためには、既存のサービスだけでなく、新たなサービスを展開する必要があると感じていました。そのためにサービス開発室が立ち上がったのですが、開発にあたって、一度きちんと市場やお客様のニーズをきちんと把握する必要があると考えたのです。
――調査結果について、どのような印象をもたれましたか?
吉川|「きちんと回答してくれているな」というのが第一印象。この点はさすが情報リテラシーが高く、新サービス導入にも積極的な日経ID会員が回答者になっているだけのことはありますね。結果として、データ活用のステップの流れが仮説通りに出て、確信が持てて良かったです。
一方で、「どのような情報発信が有効か」という設問の結果は、こちらの思い込みだったな、と気づくことができた点もあり、社長も着目していました。
――調査結果は、どのように活用されていますか。
吉川|利用しているシーンは数多いですね。例えば、データエンジニアやデータアナリストのエキスパート職の開発というミッションがありますが、どのようなスキルを有する人材がエキスパートとして相応しいのか、その判断基準に今回の調査結果を活用しています。
当初は、エキスパートにはリーダーとしての資質があるか、あるいは経験の長さが求められていると考えていましたが、調査を行ったことで、お客様からは別の価値も求められていることが明らかになりました。それは、プロジェクトの企画力や、柔軟に支援を行えるといった対応力。これまでは、業務を遂行するためには、このようなスキルを有することは当然だと考えていましたが、これがアピールポイントになることが明らかになりました。
調査によって、当たり前だと思う事実を改めて理解できたことは、大きな収穫です。
――サービス開発にあたっての提供価値の「気づき」を得たということですね。
吉川|皆が当たり前だと思っていることこそ見逃してしまいがち。このような取り組みを行うことでサービスの価値をはっきりさせることができれば、競合との差別化につなげることができるのは、いうまでもありません。
自由回答も役に立っています。新たなサービスのアイデアのためには、言語化されるぎりぎりの微妙なニュアンスが知りたいので。
目新しい調査結果は要注意?!仮説を立てることの重要性とは
――お話を伺っていると、貴社では非常に上手にデータを活用されている印象があります。お2人はデータ活用の価値についてどのようにお考えでしょうか。
小池|他部署の協力なしには実現しないのが広報活動ですが、エビデンスがあれば、周りの理解が得やすいのは言うまでもありません。そう考えると、データは広報には欠かせないものだといえるかもしれませんね。
吉川|サービス開発の観点でいうと、開発しようとしている事業のどれを事業化するかを評価して、優先順位を設けられるところでしょうか。今やっている事業と似たようなことをやっても意味がない、かといって現状とかけ離れたことを始めるのはリスクも難易度も高い。それにサービスを開発しようとすると、どうしても自分の得意な領域や、自分のアイデアが反映されたものに目が行きがちです。
本当にポテンシャルがあるのか、市場でスケールするのかを見定めるには、データが必要だと考えています。客観的なデータがあると社内の説得もしやすいし、予算も取りやすい。
――データをうまく活用するコツのようなものがあれば教えてください。
吉川|仮説をしっかり立てておくことが重要です。仮説がなければ、評価もできませんから。目新しい結果が出ることが期待しがちですが、それは好ましいことではありません。「思ったのと違う結果が出てきたときは、やり方が間違っていることを疑え」と言われるくらいですから。
――今後のビジョンについてお聞かせください。
小池|弊社は2023年に創業5周年を迎えました。サービスや市場のニーズも、創業当初から変化していること、していないことがあります。今回の調査結果も参考にしながら方針の修正などを行っていきたいですね。
データ活用、DX市場のなかで弊社がどのようなポジションにいるのか、顧客は何を求めているのかを可視化することができたので、引き続きこれらの要素を軸にした施策を展開していく考えです。
吉川|世の中は常に動いているので、継続的に調査を行う必要があると考えています。本当はリアルタイムなデータが欲しいくらいですが、小さな変化に敏感になりすぎても失敗する可能性があるので、適切なタイミングで行っていきたいですね。
小池|それは広報活動においても同様です。施策の評価をするためにも継続的な調査していきたいと思います。適切に評価するためにも調査は同じパネルでやりたいところです。ですから、今後も日経リサーチさんに調査をお願いしたいと思います。
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