グローバルで可視化した顧客の声を“価値共創”の原動力に――横河電機全社で推進するパートナーシップ強化
横河電機株式会社
横河電機株式会社では、顧客への提供価値を最大化し、顧客にとっての「価値共創パートナー」になることを目指す取り組みを進めています。その一環として展開する「VoCパートナー調査」は、グローバルの全拠点を対象に、顧客の声を聞く調査。日経リサーチがサポートする、この調査の狙いについて、同社執行役ビジネス戦略本部長の藤田陽子氏、ビジネス戦略本部CX推進部長の小幡さち子氏、ビジネス戦略本部CX推進部グローバルマーケティング戦略課の三ツ木倫子氏に伺いました。
横河電機株式会社
ビジネス戦略本部長
藤田 陽子さん(右)
ビジネス戦略本部CX推進部長
小幡 さち子さん(中央)
ビジネス戦略本部CX推進部
グローバルマーケティング戦略課
三ツ木 倫子さん(左)
すべては顧客とのパートナーシップを強化するために
――藤田様が本部長を務めるビジネス戦略本部、および小幡様が部長を務めるCX推進部のミッションについて教えてください。
藤田陽子氏(以下、藤田)|ビジネス戦略本部は、グローバルで展開する全ての拠点における営業&マーケティングプロセスを統括する機能を有する部署です。また、当社の社長である重野(同社取締役代表執行役社長の重野邦正氏)からは「お客様にとってよきパートナーであり続けることを目指す」というメッセージが、度々発信されていますが、CX推進部のミッションは、それを支える基盤の構築にあります。
言い換えると、「Co-innovating tomorrow™(コ・イノベーティング トゥモロー:お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造する)」というコーポレート・ブランド・スローガンを実現するために、お客様とのパートナーシップ強化を支える仕組みづくりを担っているのです。

小幡さち子氏(以下、小幡)|CX推進部の取り組みには、マーケティングプロセスをグローバルで統合・最適化し、カスタマーエクスペリエンスを変革する活動が含まれています。お客様をより深く理解し、すべての活動を「顧客視点」で進めることで、信頼されるパートナーを目指しています。
この取り組みの一環として実施しているのが、「VoC(Voice of Customer:お客様の声)パートナー調査」です。お客様の声をしっかり伺い、サービスや価値向上につなげるための重要な活動です。
――「VoCパートナー調査」は、グローバルにおけるすべてのお客様が対象ですが、グローバル企業の顧客満足度(CS)調査は、各リージョンの事業会社が実施するケースが少なくありません。そのような中で、なぜ日本の本社が主導する形で調査を進めたのでしょうか。
藤田|従来、当社では、営業やマーケティングの現場ごとに顧客満足度調査や情報管理が行われていましたが、それでは全社的な視点でお客様の評価や課題を把握することが難しい状況でした。また、当社が直面する課題の多くは、1つの部署や1つの拠点だけでは解決できません。たとえばサービス部門の課題を解決しようとしても、その原因は複数の部署や拠点にまたがっていることが多く、現場単独では対応しきれないケースがほとんどです。
こうした全社横断・グローバル規模の課題を可視化し、根本的な解決につなげるためには、拠点ごと・部門ごとに分散していた情報や調査結果を本社主導で統合し、全体を俯瞰できる仕組みが必要でした。
そのため、グローバル全体を対象とした「VoCパートナー調査」を導入し、部署横断・拠点横断でお客様の声を集約・分析することで、より本質的な課題解決と長期的な改善につなげています。
小幡|実際、VoCパートナー調査を始める以前は、各拠点ごとにCS(顧客満足度)調査を実施していました。しかし、拠点ごとにバラバラに調査やデータ管理を行っていたため、グローバル全体でお客様からどのような評価をいただいているのか、全社的に可視化することができていませんでした。また、現場ごとに異なる視点や課題意識が生まれやすく、全社的な「お客様視点」の意思決定や文化醸成にもつながりにくい状況でした。
今回、本社主導で調査を統合的に進めることで、お客様の声をしっかりと受け止め、全社で共有・活用しやすくなり、「お客様視点で意思決定を行う文化」を根付かせるきっかけになると考えています。

――本社主導で調査を行う際には、会社によっては現場からの懸念が生じることもありますが、御社ではいかがでしたか?
三ツ木倫子氏(以下、三ツ木)|そのような反応が各拠点から挙がることは予想されたので、調査前に本社内の各部署や海外拠点への説明や調整には、特に時間を費やしました。調査の意義を丁寧に説明し、質問項目は何度もレビューすることで徐々に合意を得ていきました。

実践知に裏づけられた助言が取り組みを前進
――日経リサーチに調査を依頼した経緯について教えてください。
小幡|当初は自社で調査を実施することも検討していましたが、実際にやってみると、調査そのものはできても、その後の分析や活用まで自分たちだけで適切に進めるのは難しいのではないか、という課題意識が生まれました。
また、私たち自身が直接お客様に調査を行うよりも、第三者の立場である専門家に依頼することで、バイアスがかかりにくく、より客観的で説得力のある結果が得られると考え、社外の力を借りることを決めました。
――日経リサーチをプロジェクトのパートナーに選んだ決め手は、記憶されていますか。
三ツ木|調査会社の選定にあたっては、グローバルで認知度のある複数社を候補に挙げて比較検討しました。その中で、日経リサーチを選んだ決め手は、日本の企業であることによる安心感や、現場とのやりとりにおける対応力の高さ、そして柔軟なサポート体制でした。
実際の調査では、日本、アジア、欧州、米国のお客様を対象に、7言語で当社の評価やパートナーに求めるポイントなどを伺う大規模な内容となりましたが、短期間での準備や多言語対応など、迅速かつ柔軟に対応していただけたことが非常に印象的でした。
調査依頼を決めたのは2024年11月で、翌年1月には調査をスタートできた点も、スピード感のある対応だったと感じています。
――日経リサーチからの支援内容やアドバイスで、特に評価しているポイントがあれば教えてください。
藤田|「調査結果はあくまで傾向を見て、課題を掘り下げるために活用し、拠点間で優劣の比較には用いない」という日経リサーチからのアドバイスは、特に印象に残っています。
実際、調査を始める際には「自分たちが評価されるのではないか」といった現場からの懸念やネガティブな反応もありましたが、調査の目的は単なる評価や比較ではなく、結果をどう捉え、今後の改善やアクションにつなげていくかが重要だという認識を社内で共有できたのは大きな収穫でした。
三ツ木|当初、自社で調査をする前提にしていた際に作成していた原案をもとに調査票をブラッシュアップしていきましたが、その過程で、調査後の結果をどう活用するかというゴールを見据えた視点からアドバイスや提案をいただけたのは心強かったですね。
また、調査報告書の納品だけでなく、社内報告会の開催やポータルサイト掲載用の報告動画の作成など、当初想定していなかった追加依頼にも柔軟に対応していただきました。報告会や動画では、日経リサーチの担当者が客観的かつ専門的な立場から調査の意義や結果を説明してくださり、社内の納得感や理解を得るうえで非常に役立ったと感じています。
※社内ポータルサイトに掲載した報告動画
小幡|各部門・拠点への調査結果のフィードバック後の対応についても、実践的かつ示唆に富むアドバイスをもらいました。「本社は、全体を俯瞰し、仮説を立てることに注力。検証や改善は現場主導で行う」という考え方は、現地の肌感覚を尊重するうえでも重要なポイントになったと感じています。日経リサーチの支援によって、調査結果をより深く掘り下げることができ、社内に対しても納得感のある説明ができました。
調査は目的でなく、あくまでも目的達成の手段
――調査結果のフィードバック後には、どのような取り組みを行っていますか。
三ツ木|各部門・各拠点から、調査結果を踏まえた改善のアクションプランを提出してもらいました。アクションプランの作成にあたっては、日経リサーチから調査の意義や目的についても訴求してもらっていたため、社内での理解が深まり、おおむねスムーズに進められたようです。
拠点別の調査結果やアクションプランは社内ポータルサイトで公開し、全社員が常にお客様の声を意識できるような仕組みづくりにも力を入れています。
小幡|現在、各プランを具体的なアクションへと移している段階であり、明確な成果が見えてくるのはもう少し先になると考えています。しかし、すでに事業計画の中に調査結果を反映した施策が盛り込まれるなど、着実な手ごたえを感じ始めています。
今回の取り組みで最も大きかった収穫は、「顧客視点で行動を起こす」という意識が組織全体に根づき始めたことです。調査は目的ではなく、変革を支えるための手段である——その認識を改めて強くした取り組みとなりました。

藤田|調査手法は、一般的なCS調査と同じかもしれません。しかし、今回の調査はあくまで、お客様とのパートナー度を高めるための手段の1つで、お客様の満足度を一時的に切り取ることが目的ではありません。よりよいパートナー関係を築くための起点として位置づけている点が大きな違いです。
日経リサーチからは「調査結果を評価のKPIとして活用しない方がよい」というアドバイスもいただきました。まさに調査を目的化せず、あくまで関係性改善のための手段として活用すべきという考え方に基づくものですが、私たちの意図と合致しており、納得感がありました。
また、お客様に日々接している販売会社と本社では、お客様の声に対する課題意識が異なりますが、定量的な結果を提示することで社内の共通認識が大きく深まりました。これまで各リージョンの販売会社が独自にCS調査を実施してきた中で、本社がパートナー度を可視化する形で全体を統合した調査を行った点についても、各リージョンからは前向きな評価を得ています。
――今後の展望について教えてください。
藤田|お客様の声を継続的に把握し、改善につなげていくために、今後も「VoCパートナー調査」を定期的に実施していく予定です。その中で日経リサーチには、これまでと同様に、率直で本質的なご意見やアドバイスを継続していただきたいと考えています。
当社は「測る力とつなぐ力で地球の未来に責任を果たす。」というパーパスを掲げていますが、調査はまさにその“測る力”の一端を担うものでもあります。こうした理念にも共鳴いただけていると感じており、今後も引き続きご支援・ご協力をお願いしたいと考えています。
――最後に、グローバルを横断する調査を実施するにあたって、本社が果たすべき役割についてお考えを伺えますでしょうか。
藤田|本社の役割は、グローバル全体でお客様の声を統合的に可視化し、全社横断で課題やニーズを把握したうえで、改善に向けた道しるべをつくることだと考えています。
実際、個別の拠点や部署だけでは解決できない課題も多く、全体を俯瞰して情報を集約し、部署横断で連携しながら改善を進めていくことが不可欠です。
こうした仕組みを本社主導で整えることで、改善のスピードやスケール、そして質を高めていくことが可能になると考えています。
今回お話を伺って、調査の先にある「本質的な価値」を見据えて取り組むことの大切さに改めて気づかされました。現場からの抵抗感やグローバル規模で調査を行う難しさから、実施を断念してしまう企業も少なくない中で、横河電機様のような取り組みが日本企業の中に広がっていくことを強く願いたいですね。そうすれば日本経済がより強く、しなやかになっていくのではないでしょうか。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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