Case

人流計測データをスマートシティのまちづくりに活用 -羽田の足湯から先端技術を発信

羽田みらい開発株式会社 / 鹿島建設株式会社 開発事業本部

人流計測サービス「スキア」は、LiDARの先端技術を用いて個人情報に触れることなく人流を正確に計測できるサービスとして、スマートシティ内でも活用されています。
羽田みらい開発株式会社(東京都大田区)は、鹿島建設株式会社を代表とする9社で構成され、羽田空港の隣接地に「先端」と「文化」をコア産業とする大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」を2020年に先行開業させ、2023年のグランドオープンを予定しています。HICity内の「足湯スカイデッキ」にスキアを2022年から導入し、計測を続けています。
羽田みらい開発株式会社/鹿島建設株式会社開発事業本部の加藤篤史氏に、スキア導入の狙いや今後の計画についてお話をうかがいました。

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羽田みらい開発株式会社 SPC統括責任者
鹿島建設株式会社 開発事業本部事業部長
加藤 篤史 氏

※社名・部署・役職はインタビュー当時のものです

事例のポイント

抱えていた課題

  • スマートシティのまちづくりにおいて、先端技術を用いて「効率運営」と「サービス向上」を目指したい

スキア導入によってできたこと

  • エリア内の人の立ち入りや混雑度をリアルタイムにビジュアルで把

スキア導入の効果と今後の展開

  • 空間情報データ連携基盤「3D K-Field」デモ画面で結果を提供、連携基盤への注目が拡大
  • 今後は各地点からデータをライブ配信し、安全で快適なまちづくりに貢献していく

 

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           HANEDA INNOVATION CITY(HICity)足湯スカイデッキ

先端技術の実験場、LiDARは「個人情報の取り扱い」に関して、懸念がないのが強み

Q. 日経リサーチの人流計測サービス「スキア」導入の経緯を教えてください

加藤氏 鹿島の開発事業本部は、デベロッパー部門として、不動産開発事業を進めています。不動産開発というと、日本では再開発プロジェクトが多く、HICityのように空港の隣で今まで全く何もなかった土地に新しい街をつくるのはあまりない経験です。収益を上げるために持続的に人が集まる仕組みをどう作るかを考え、「先端技術の実験場」というコンセプトが生まれました。技術関連企業に入居していただき、新しい実験を行うことで注目度が上がり、さらに企業が集まる、という循環を目指しています。


先端技術の活用により、コストや労働力が少なくてすむ「効率運営」と、例えば施設内のどこにいても携帯で注文するとロボットが届けてくれるといった「サービスの向上」を目標にしています。そのためにどんな技術を使えるか探す中で、LiDAR技術を使って人を識別し、正確に動きを解析できるスキアサービスに関心を持ちました。

 

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          鹿島建設株式会社 開発事業本部事業部 谷口 直輝 氏(左)、事業部長 加藤 篤史 氏(右)

Q. LiDAR技術のどんな点に着目したのでしょうか

加藤氏 街のそれぞれの場所に今どんな人がいて、どう動き、密度がどうなっているかといった状況の把握は大変重要なことです。ビーコンやGPSデータ、カメラの画像解析も使っていますが、ビーコンやGPSですべてができるわけではなく、カメラも個人情報との絡みで使い勝手がよくない場合があります。個人情報を取得しないため、プライバシー侵害のないLiDARの活用がふさわしい場面があるのではと思ったのです。
 LiDARは自動運転で使われていますので、街の循環バスとして自動運転車を採用したのが最初のLiDAR技術との出会いでした。空間認知力が高く、人流解析に適していると思いました。

 

先端技術への社会の受容度高まる
動画に見学者が歓声

Q.新しい技術の導入に対する社内外の反応はどうでしたか

加藤氏 社会全般として、新技術に対する受容性がどんどん高まっていると感じます。社内では当初、例えば施設内を四足歩行のロボットが動きまわることに対して子供の安全面を心配するクレームが来たり、データを取得することに反発したりする人がいるかと懸念したのですが、実際には面白いと思ってくれる人がほとんどです。そういう環境、社会になってきていることを子供も親も認識しているというのは発見でした。

 

 

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Q.「足湯スカイデッキ」に設置しているスキアのデータはどう活用しているのでしょうか

加藤氏 展望台のように開放しているエリアなので、人の目が届かないところで人が危険な場所に入りこんでいないか、混雑度はどうかなどを随時チェックして、管理ツールとして活用しています。当社が開発した3次元でリアルタイムに現場の状況が共有できる空間情報データ連携基盤「3D K-Field」に、スキアの計測データを連携しています。3D K-Fieldの「LiDAR計測・足湯の紹介」のデモ画面は「わかりやすい」、「面白い」と評判で、人の形が動いていく動画にだいたい歓声があがりますね。

 

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施設を見学に来る方々に事業説明をする際に、この「3D K-Field」をご紹介しています。例えば過度に人が集まっていないか、夜間の閉鎖している環境の中で不審な人がいないか、といった管理ができることがすぐに発想できて、「便利だね」と実感いただけるアウトプットになっています。

Q.今後はどう活用していく計画ですか。一方で課題は何でしょうか

加藤氏 ライブの状況を把握する能力が期待通り高いことがわかったので、インフラの運営に必要な基礎情報を提供するツールとして、広く活用していきたいです。例えば電柱などにLiDARをつけて、各地点でどういう人がどう動いているかをライブで発信していく。何人くらいの観光客がどのように近づいているかといった情報を自動運転車やロボットに伝えることで、より安全で的確なサービス提供につながります。
システム自体に不満はないのですが、課題はコストですね。実装レベルにするには、機器がまだ高額です。もっと下がってくれば一気に可能性が広がると思います。

カメラ画像分析などと使い分けで併用
ビジネス重視の視点に親近感

Q.具体的にどのような可能性を感じますか

加藤氏 たとえば駐車場内の車数が許容台数を超えていないか、空きはどこにあるかなどの把握も、カメラの画像解析よりもっと簡単に、プライバシーの侵害もなくできます。単に空きスペースの検知だけなら別のセンサーでもできますが、車や人の動きとの組み合わせはLiDARならではです。他のセンサー、カメラなども技術が進化しているので、スキアのコストが下がれば使い分けがより色々な場面でできると思います。

Q.日経リサーチに対して感じた良い点、悪い点を教えてください

加藤氏 悪い点は特にないです(笑)。一番良い点は、日経グループの会社だけあって、ビジネスを基幹として考えてくれるところですね。技術の議論だけに流れずに、それをどうビジネスにつなげるか、ビジネスの中で何が使える技術かという視点が共有できているのでやりやすいです。

 

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スマートシティの運用フェーズに向けて

Q.最後にHICityの今後の計画を教えてください

加藤氏 現在は、2023年度開業予定エリアの開発に注力していますが、グランドオープンを迎えた後は、羽田みらい開発株式会社を構成する9社で、より一層まちの運営に注力していくフェーズとなります。「実証実験の場」を掲げるまちとして、このまちから、新たな技術の社会実装を促進するサイクル作りに取り組んでいきたいですね。そのためにも、HICityで実証実験を重ねる技術の積極的な発信にも取り組んでいきたいと考えています。


2023年度の開業予定エリアには、先端医療研究センターをはじめ、新たな分野の企業がこのまちに加わることになります。様々な入居企業や実証実験を進める企業とともに、新たな取り組みやイノベーションが生まれ続けるまちを目指していきたいと思います。また、このまちの取り組みや魅力、新しい技術等について、これからもイベント等を通して発信し続けていきたいと考えています。

 

               ▼羽田スマートシティEXPO2022秋のイベントの様子

LiDARの技術で人の動線や密集度を計測・分析

カメラやビーコンとは違う、新しい人流計測で、
集客力向上や店舗・オフィスの活性化に貢献します。
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