医師の心を動かすマーケティング最前線 AIが掘り起こす「医師のホンネ」(前編)
2025.9.4開催ウェビナー
急速なデジタル化により、医師への情報提供は大きな変革期を迎えている。デジタルチャネルが多様化する中で、人による情報提供にはどんな価値が残されているのか、そして医師は今メーカーに何を期待しているのか。その答えを探るべく、独自調査の結果を交えながら、皆さんに今後のマーケティング活動のヒントとなる情報をお届けしたい。
まず、我々を取り巻く市場環境の変化を見ていく。次に、医師が製品を認知し、採用を決定するまでのプロセスで、どういう情報源に接触し、何を重視しているのかをデータを基に解説する。そして核心は、なぜ人からの情報提供が重要なのか、その理由を深掘りする。ここでは弊社の新しい調査手法もご紹介したい。最後にこれらの結果を踏まえ、皆さんがこれから実践できることは何かを一緒に考えていきたい。
伸びるヘルスケア市場
まずは市場環境の変化についてである。ヘルスケア市場は今後もさらなる成長が見込まれている。高齢化に伴う慢性疾患の増加や高付価値な新薬の登場、デジタル技術との融合、AIによる画像診断支援システムや手術ロボット、IoTを活用した遠隔モニタリング機器の登場などもあり、市場規模は堅調に伸びている。
製品が市場に出てからの売り上げ規模を示すライフサイクルプロセスはこの図のようになる。導入・採用を早めることが売り上げの最大化につながるので、各メーカーは医療従事者への情報提供や営業活動を製品発売直後に積極的に行っている。

変化する情報提供チャネル
一方で医師への情報提供のチャネルは劇的に変化しており、かつて主流だったリアルでの講演会はウェビナーへと移行し、MRの減少や医療機関での訪問規制強化なども重なり、情報提供がデジタルへとシフトしている。

だが、チャネルがどう変わったとしても、ドクターの意思決定のプロセスは変わりないと考えられる。弊社はこのプロセスに沿って医師が製品を認知したきっかけ、その後の情報収集、導入決定で重視したものは何かという流れでデータを収集している。

独自調査で見る医療現場の情報収集
それでは医師の情報収集の実態について、独自調査の結果を基に見ていこう。調査はインターネットで実施し、日本国内の医師300人を対象にした。対象者は直近2年以内に医薬品、医療機器、医療情報システムの採用に実際に関与した医師に限定して聴取した。これにより、採用の意思決定のプロセスをリアルに捉えることを狙っている。主に内科は医薬品、外科は医療機器について回答してもらった。情報システムについては内科・外科を問わず、導入に関与した人から回答を得た。
採用した製品を知ったきっかけ
まず、採用した製品を知った、認知したきっかけについて、医薬品から見ていく。グラフは上市後間もない医薬品と、上市後1年以上が経過してから採用した医薬品について、知ったきっかけとなった情報源を示している。注目すべきは上市して間もない新薬の場合で、「MRとの直接面談」の割合が圧倒的に高く、医師が新しい医薬品を知る際の最大のきっかけになっていることが明確に分かる。次いで高いのが、「医療系Webサイト」である。一方、上市後1年以上経過した医薬品は様子が変わってくる。「MRとの直接面談」の割合が下がり、「医療系Webサイト」が上回った。なお、その他の項目はいずれも一桁台なので、多数の選択肢の中から回答が多かった上位項目を抜粋して掲載した。
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続いて、医療機器は比較的高額な製品と消耗品を含む低額な製品の2つに分け、それぞれ製品を知ったきっかけを分析した。医薬品と同様、最も割合が高いのは「担当者との直接面談」で、特に高額な医療機器ではその傾向が顕著で、5割近い医師がきっかけとして上げている。次に特徴的なのが「他の医師」からの口コミで、同僚の医師からの評判が重要な情報源となっているようだ。医薬品では2番目に高かった「医療系Webサイト」は順位が下がっている。
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最後の医療情報システムも医薬品や医療機器と同様に「担当者との直接面談」の割合が最も高く、43%を占める。次いで高いのが「医療系Webサイト」で10%。このカテゴリーで特徴的なのは「担当者とのWeb面談」が上位に入っていることだろう。
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本編では、市場環境や情報収集について紹介したが、
中編では、自主調査結果から医師の情報源について紹介し、
後編では、なぜ医師がこれほど人からの情報を重視するのかについて紹介する。
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