リスク性金融商品の購入意向が上昇 ―若年層・高齢層で顕著に― 日経リサーチ・生活者金融定点調査「金融RADAR」最新版リリース
株式会社日経リサーチ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福本敏彦)は2月24日、生活者金融定点調査「金融RADAR」の最新版をリリースしました。
この調査は生活者の金融に対する意識や世帯における金融行動の実態を総合的に把握するため、日経リサーチが毎年定期的に実施しています。今回は2021年10~11月に、首都圏40キロメートル圏内の20歳以上の男女が1人以上いる世帯を対象に実施し、2,843世帯から回答を得ました。インターネットモニター調査とは異なり、郵送・留置により実施しているため、貯蓄や投資の実態や意識をよりリアルにとらえることができる点に特徴があります。以下、調査結果からトピックを1つ紹介します。
若年層の関心、つみたてNISAが後押し
本調査では毎回、株式などリスク性金融商品の購入意向(長期的な資産運用を検討する際にハイリスクハイリターンの商品を組み入れたいか)を聴取しています。2017年から5年分の結果を比較し、グラフで示しました。
※上側グラフスコアは、「そう思う」を4、「どちらかといえばそう思う」を3、「どちらかといえばそう思わない」を2、「そう思わない」を1として算出した平均値
スコアを年代別に見てみると、中年層(40-50代)は緩やかに上昇を続ける一方、若年層(20-30代)と高齢層(60歳以上)が大きく変化していることがわかります。
まず高齢層を見ると、他の年代よりも2020年の下げ幅が大きくなっています。この下落は日経平均株価の動きと関連していると推測できます。2020年にはコロナ禍の影響で日経平均株価が大幅に下落しており、金融リテラシーの高い高齢層(※注)が投資に慎重になったことがうかがえます。
(※注):当調査の金融リテラシーをはかる設問で、高齢層は他の年代よりもリテラシーが高いという結果が出ています。
次に若年層を見てみます。2018年には他の年代のスコアがやや下がっているものの、若年層だけ大きく上昇しています。同年1月に始まった「つみたてNISA」に関係している可能性があります。つみたてNISAについては「世代別では20~40歳代の割合が7割。……『長期に簡単に』。そんな手軽さが働き世代の投資意欲を刺激しているようだ」といった報道がありました(※)。メリットを受けやすい若い人の関心が高まったことが背景にありそうです。
若年層は2020年から2021年にかけてのスコアの伸び幅も大きくなっています。市況の良さに加え、日本経済新聞記事中で「SNS(交流サイト)でインフルエンサーが積み立て投資の効果について説明しているのを聞いて、投資を始めようと思った」(30代男性)との声が紹介されたように(※※)、SNSによる情報収集も後押ししたと考えられます。
※「つみたてNISA じわり浸透 購入層『働き世代』7割」日経電子版、2018年3月27日、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28638520X20C18A3EE9000/
※※「リスクと向き合う個人投資家 世代交代で変わる意識 31年ぶり高値 投資家たちの今(下)」日経電子版、2021年9月28日、https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB167IK0W1A910C2000000/
投資に関心を持つようになったきっかけや背景は異なりますが、全体としてリスク性金融商品への関心は前年よりも高まっています。この機会を逃さないために、金融機関は金融商品の提案をより活発にしていく必要があるのではないでしょうか。
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本調査では投資商品別に購入した金融機関や総額など、幅広い項目を聴取しています。これらを年代別、家計の資産別など詳細に分析することができます。
「金融RADAR」は毎年秋~冬に本調査、春~夏に特別調査を実施しています。前身を含めると30年以上の歴史と実績があり、調査結果は金融機関をはじめシンクタンク、大学など各方面でご利用いただいています。今回の調査結果や商品内容の詳細などに関しては、どうぞお気軽にお問い合わせください。
▼詳しくはこちらをご覧ください。(2021年本調査・特別調査の回答者属性と質問項目一覧のダウンロードが可能です。)
生活者金融定点調査「金融RADAR」
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