日経読者に聞く|生成AI「仕事に役立つ」75% -「有能なアシスタント」「ヒューマンエラー削減」の声-
米オープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の登場で、生成AIへの関心は日増しに高まっている。日本経済新聞の読者を対象に4月3~6日に実施した調査では、7割以上が「興味がある」と回答し、すでに仕事で使用しているとの回答は2割だった。
日経電子版記事(5月7日付):生成AI「仕事で利用」2割 正確性などに懸念 - 日本経済新聞
では、ビジネスパーソンは生成AIをどのような用途で使い、どんな期待や課題を感じているのか。今回の調査結果から読み解いていきたい。
調査は日経電子版などの購読に必要な「日経ID」の所有者にオンラインで実施。働いている2099人から回答を得た。
1.「リサーチに活用」57%、補助的な業務としては合格点
実際に生成AIを利用している回答者に具体的な用途を聞いたところ、「リサーチ」(57%)が最も多く、「アイデアの収集」(51%)、文章作成(48%)と続いた。「プログラム、コーディング作成の補助」の回答も16%あった。
業界別にみると、「リサーチ」での活用は、自動車・輸送機器(56%)、機械・重電(56%)などの製造業から、卸売・小売業・商業(64%)、金融・証券・保険(59%)、医療(64%)など、幅広い業種で活用されていた。「プログラミング補助」での活用は、情報処理・SI・ソフトウェア(29%)、機械・重電(22%)で進んでいる。
実際に使用して感じている利便性や課題についても、記述式で回答を得た。回答者のほとんどは、情報の精度が不十分だと感じ、全面的にAIに頼ることには否定的だったが、補助的な業務ではすでに合格点を与える回答者も多かった。
また多くの回答者が課題として指摘するのは、「より良い回答を得るための質問の仕方」(自動車・輸送機器=契約社員)だ。実際に筆者もChatGPTを活用して情報収集をしているが、質問の仕方次第で回答が変わることを実感している。恐らく、多くのビジネスパーソンも生成AIの精度向上は時間の問題で、使いこなすスキルを早急に磨くことを、自分自身の課題と受け止めているのだろう。
2.効果的な使い方―「他言語への翻訳」58%と高く
調査では、「どのような場面での利用が効果的か」についても聞いた。最も多かったのは「調べ物の効率化」(76%)だった。業界別では、通信サービス(84%)、コンサル・会計・法律関連(80%)、機械、重電(80%)などが高い。
続いて多かったのは、「他言語への翻訳」(58%)だった。業種別にみると、通信サービス(66%)、卸売・小売業・商業(63%)などが高い。記述回答でも英文作成機能の精度の高さを評価する声が目立った。
3.「ヒトを補う」存在に、使いこなす教育の重要性指摘する声も
「今後、生成AIの普及はあなたの仕事に役立つか」についても聞いたところ、「大変そう思う」との回答が25%に上った。「そう思う」(50%)と合わせると、全体の4分の3の回答者が肯定的だった。その理由は以下の通りだ。
「ヒューマンエラー」を削減することができるだけでも、生成AIは企業の競争力向上につながる。情報の精度が改善されれば一気に普及するのは間違いないだろう。
一方、AI時代到来に向けて「ヒトの役割」を再定義する必要性を感じているビジネスパーソンが多い。調査にはこんな意見も寄せられていた。
AIが人の仕事を奪っていく「AI脅威論」は根強いが、AIで精査した情報から進むべき方向を選択するのは人間の創造力なくして不可能だろう。少子高齢化が進む中で、AIとヒトの共存は大きな社会課題となる。国を挙げて議論を深める必要性を、改めて感じた調査結果となった。
調査概要
「AIに関するアンケート」
実施日: 2023年4月3日~4月6日 対象者: 20歳以上のお勤めの方(日経ID会員) 回答者数: 2099人 調査手法: インターネット調査
- よく見られている人気記事
-
期待高まるAI、それでも8割の医療機関は未導入。理由は「費用対効果わからない」
記名か、匿名か。社員の本音を引き出す従業員コンプライアンス意識調査のコツ
企業におけるコンプライアンスの重要性とは
何が違うか?成功する社名変更と失敗する社名変更 ー分かれ道はここにある|「ブランド戦略サーベイ」を読み解く
企業ブランディングが必要な理由とは?企業ブランド向上に取り組むポイントや進め方を解説
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- よく見られている人気記事
-
期待高まるAI、それでも8割の医療機関は未導入。理由は「費用対効果わからない」
記名か、匿名か。社員の本音を引き出す従業員コンプライアンス意識調査のコツ
企業におけるコンプライアンスの重要性とは
何が違うか?成功する社名変更と失敗する社名変更 ー分かれ道はここにある|「ブランド戦略サーベイ」を読み解く
企業ブランディングが必要な理由とは?企業ブランド向上に取り組むポイントや進め方を解説
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら
- メルマガ登録
- 最新の調査レポート、コラム、セミナー情報をお届けします。 メルマガ登録はこちら