「人員配置が不適切」「休暇者の負担が回ってくる」‥働き方改革2024年問題の悲痛な声 ビジネスパーソン調査結果を読み解く
働き方改革の実現に向けて、長時間労働の是正や環境整備など様々な取り組みが進む中、働き手の目線では、どのような課題があるのか。ビジネスパーソンに「仕事上の困りごと」を調査した。
ビジネスパーソン3,008名のうち、最も多かったのは「人材の採用・教育・活用」。採用の難しさや定着率の低さを挙げる声が多かった。次いで「社内の業務プロセス・ワークフロー」「デジタル・技術革新と適応」と続く。
人材不足の中、デジタル活用などで生産性を高めたい一方、未だ非効率な社内調整が行われていたり、導入したツールを活用できていないなどの実態が明らかになった。
2024年4月から、建設業・ドライバー・医師などを対象に、時間外労働の上限規制が適用された。いわゆる2024年問題である。今回の調査回答者は、実際の建設業務やドライバーに従事する人は少ない可能性もあるが、規制対象業種である「建設業」「運輸業、郵便業」「医療、福祉」について見ると、「業務量・時間管理」はいずれの業種でも5位以内に入った。業界として、業務量の多さや労働時間の長さは問題のようだ。
それ以外の業種では、「国家・地方公務」では3位、「学術研究、専門・技術サービス業」では4位に「業務量・時間管理」が入った。
国家・地方公務では、「業務量は膨大だが、定員管理の関係上、それに見合った人員配置がなされていない」(男性40代)、「働き方改革により育休取得者等が増えているが、休暇者の負担がほかの人に回っている」(男性40代)などの声が見られた。
なお、同業種の困りごと1位は「労働環境・意欲」で約半数が挙げている。2024年度春の国家公務員総合職試験の倍率は過去最低との発表もあり、規制や本質的な見直しがない限り、なり手不足の状況は続きそうだ。
学術、専門・技術サービス業では、「下請け業務がメインのため、元請会社の業績やカルチャーによって、業務量や納品期日が大きく左右される」(男性60代)、「業務は委託契約。一定の時期に集中しやすく、体力勝負になりやすい。高度の専門知識が必要で、人員的には常に不足」(男性70代)など、自己裁量で働くことができる一方、マネジメントの難しさもあり、課題は大きい。
調査概要
調査手法: インターネット調査 調査内容: 仕事上の困りごと、困りごとについて感じていること(自由回答)など 調査地域: 全国 調査対象者: ビジネスパーソン(経営者・役員、正社員・職員、商工自営・自由業)
回収サンプル数: 3,008名
調査実施: 2024年7月
日経リサーチが提供する「日経IDリサーチサービス」では、日経電子版の読者を主な調査対象とし、幅広い層のビジネスパーソンの意識や動向を把握できます。貴社のビジネス課題解決に、「日経IDリサーチサービス」をぜひご活用ください。
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