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CS調査を有効活用するために回すべき「2つのループ」

せっかくCS調査を行なっても「調査すること自体が目的となり、結果が課題解決につなげられていない」と悩む企業は多いのではないだろうか。顧客の声を聞き、顧客に働きかけるCS活動を生み出すには「2つのループ」を回す必要がある。学びと改善が日々行われる現場の「小さなループ」と、戦略や施策を再構築・再整備する組織全体の「大きなループ」である。

CS調査を有効活用できているか

CS調査を行う目的とは、顧客が不満に思う点を解決することで満足度の向上を図り、商品やサービスの再利用あるいは継続意向を上げ、収益の向上を目指すことである。そのためには、CS調査の結果を効果的な施策につなげる必要がある。さて、あなたの会社で実施しているCS調査はうまく活用できているだろうか。
 
CS活動を推進している担当者を対象にした弊社のアンケートでは、CS調査実施後のお悩みとして、「経営層や現場へ調査結果の共有がうまくできていない」「調査結果を改善施策に落とし込めていない」という声が多く聞かれた。


ここでは、調査結果を活用につなげる考え方として、現場レベルでの問題解決を図る「小さなループ」と、組織的な解決を図る「大きなループ」について述べたい。

 

コラム素材_CSループ

現場で回す「小さなループ」

「小さなループ」とは、現場での日々の業務における改善活動を指す。
 
現場での改善活動というと、個々の不満やクレームへの対処にとどまるケースがよく見られるが、それでは現場がいたずらに疲弊するだけで、一時的なモグラ叩きの対応に過ぎない。また属人的な解決策に落ち入り、担当者が代わるたびに問題が再発することも起こり得る。

 

ひとつの好例を紹介しよう。

 

建設関連の企業A社では、中長期的な目標に「顧客本位の価値提供」を掲げた。その具体的な施策への落し込みに向けて、顧客の声に耳を傾けるためにCS調査を行なった。

 

企業でCS調査を実施する場合、結果を経営層だけで共有したり、該当部門だけに報告したりするケースは少なくないが、A社ではCS調査の結果を営業・設計・施工・アフターサービスなど関係者を多数集めた「フィードバックセッション」で共有し、顧客理解を深めた。調査結果をまとめたフィードバックシートをもとに、顧客と直接関わる営業担当者だけでなく、すべての立場の関係者で顧客の声を共有し、意見を出し合いながら問題の要因や改善方法を考えていったのだ。

 

このフィードバックセッションで、現場の問題として「ソリューション営業の実践の甘さ」が課題として挙がり、その原因の議論がなされて、構造的に問題の理解が進んだことが大きな成果となった。
 
こうした部門を超えた取り組みは、「自分たちの部でやれる」範囲の課題解決にとどまらず、他部門と連携して、「お客さまの期待に応える」ために本来やるべきことが打ち出せる。

 

CS調査結果という客観的情報をベースに建設的な議論をするルールのもと、できるだけ問題を構造的に理解するようにファシリテーションを行い、自分は何をすべきか、部署や会社の問題は何かを整理していくことがポイントになる。

A社でのフィードバックセッションの最後には、各部門で次の1年に行うべきPDCA活動が書面としてまとめられ、次年度への施策につながった。このように、小さなループも、個人だけの努力に依存せず、組織的な対応にできるのだ。

全社で回す「大きなループ」

一方「大きなループ」とは、顧客の声をもとに、組織的な問題を認識・共有し、要因の分析や戦略の見直しを図る全社的な取り組みを指す。
 
前述のA社では、現場のフィードバックセッションを受けて、全社としての取り組みも検討され、ソリューション営業を支える組織作りと、現場が顧客の期待に応えることに集中できる環境が重要だという判断がなされ、マーケティング部門の強化と、煩雑な業務のシステム化が具体化した。

また、組織編制の見直しや中長期的な戦略立案に活かすだけでなく、現場の個人に“武器”を提供するような仕組みとして研修やワークショップ、勉強会の開催、さらに従業員の意識改革のための啓蒙活動、インナーブランディング活動などの取り組みも有効だ。

まとめ

CS調査のせいで負担ばかりが増して現場が疲弊することがないよう、個人に依存しない「小さなループ」と、組織で支える「大きなループ」の両輪をバランスよく回すことが、とても大切である。

 

日経リサーチでは、調査だけでなく、施策化のサポートとして、事業・部門別のフィードバックやワークショップ、勉強会などの支援も実施している。現状の活用に手ごたえを感じていない方、マンネリ化していると感じている方は、ぜひご相談いただきたい。

 

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