CXを探る~ラウドカスタマー、60代以上男性多く~サイレント層の声吸い上げる努力必要 シリーズコラム 第5回
日経リサーチでは、生活者が感じる不便や期待外れといった「痛点」にフォーカスした調査を実施しました。生活者はどこに痛点を感じるのか、痛点の発生は企業にどのような影響をもたらすのかなどを複数回にわたってご紹介します。
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今回のコラムは痛点を企業に申し出る「ラウドカスタマー」と、申し出ない「サイレントカスタマー」の違いを分析する。
コラム第1回で述べたように、「ラウドカスタマー」は痛点経験者の27.5%で、7割以上は何もしない「サイレントカスタマー」だ。
ラウドカスタマーを性・年代別に見ると、男性60代以上、女性60代以上、男性30代以下の順で割合が高い。男女とも年配層がラウドカスタマーになりやすい(図1)。
図1 ラウドカスタマーとサイレントカスタマーの性/年代の分布
どんな状況で痛点が発生したか(図2)。ラウドカスタマーでは「商品・サービスの品質や機能に問題があった」が最も多く、「接客/対応が不快だった」「問い合わせに対する対応が不十分だった」「配送時に問題があった」と顧客対応についての痛点もみられた。サイレントカスタマーでも「商品・サービスの品質や機能に問題があった」が圧倒的に多かったが、次いで「広告やチラシに出ていた商品が店頭になかった(品切れ/在庫切れ)」が入った。これも企業にとっては見逃してはいけない問題だが、声を上げる顧客は少数であり、重要な情報が企業に十分に伝わっていない可能性が明らかになった。
図2 痛点の発生状況
痛点の深刻さは申し出の有無に影響するのか。ラウドカスタマーの6割は申し出た痛点について「非常に困った」「とても困った」と感じている。一方、サイレントカスタマーで痛点に「非常に・とても困った」人は3割にとどまっており、深刻度の大きさと声を上げるかどうかには関係があることが裏付けられた。
それでは、なぜサイレントカスタマーは申し出ないのか。理由をたずねた。
【痛点を体験しても、申し出ない理由】 (サイレントカスタマー/n=5832)
- 申し立てても、解決しない(何も対応してもらえない)と思ったから:41.7%
- わざわざ申し出るのは面倒だから:40.7%
- そこまで不満ではなかったから:34.9%
- どこに申し出て良いのかわからなかったから:8.1%
- 報復されるのではないか/逆ギレされるのではないかと思ったから:2.5%
あきらめの気持ちや、面倒くささから不満を申し出ない人が多いことがわかる。困ったことがあっても、「どこに申し立てていいのか分からない」人も1割ほどいた。サイレントカスタマーの痛点を把握し改善するために、企業には気軽な申し出を可能にする取り組みが求められる。
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