クレームしない日本人、「痛点」に先回りし顧客離れ防ぐ
適切なマーケティング施策を導入するうえで、カスタマージャーニーの役割が高まっています。生活者がカスタマージャーニー上でどんな不満を感じ、企業に対してどんな要望を抱いているのか。日本の生活者の特徴的な意識を浮き彫りにするため、米国と比較する調査を実施しました。
調査は日本人分を日経リサーチ、アメリカ人分をCCMC社(Customer Care Measurement & Consulting, LLC)が実施しました。生活者が商品やサービスを購入・利用した際に感じる不便や期待外れといった「痛点」がカスタマージャーニーのどの時点で起きたか、その内容は何かが明らかになりました。調査結果から、顧客理解を深めるヒントをつかんでください。
日米ともに3人に2人が「痛点」を経験、日本人の多くは企業に申し出ず
下のグラフのように、日米ともおよそ3人に2人が過去1年間に何らかの痛点を経験しており、多くの生活者が不便や期待外れを感じながら商品・サービスを利用している実態が明らかになりました。しかし、その後の行動は日米で大きく異なります。アメリカ人の半数超が痛点を感じたことを企業に申し出るのに、日本ではその割合が3割弱にとどまりました。
日本ではクレームをしない「サイレントカスタマー」が多く存在していることがわかります。企業が把握できない「隠れた不満」が多いわけで、企業にとっては「不満のないこと、クレームが少ないのはいいことだ」と喜んではいられません。
日本では「広告・宣伝」関連に不満
それでは、具体的にどのような痛点が発生しているのでしょうか。
日米とも1位は「商品・サービスの品質や機能に問題があった」でした。2位以下は、日本は広告宣伝関連、米国は支払いに関する項目が多いのが特徴です。米国で4番目の「請求書が間違っていた/不当な金額を請求された」は日本では0.5%しかありません。
日本では広告宣伝という、商品・サービス提供の前段階での痛点が多く起こっています。購入後の痛点と比較して不満の声が届きにくく、企業はより気を配っていく必要があります。
では、生活者は痛点を解決するため、企業側にどんなことを求めているのでしょうか。
米国でトップの「返金」は日本では上位に上がりません。日本では「原因の説明」がトップで、「自分の気持ちになった対応」が続きます。実質的な解決を求める米国に対して、日本では情緒的な対応を期待する傾向が読み取れます。日本では顧客の立場になって、丁寧な説明を心がけていくことが大切だと言えます。
「痛点」を申し出てきた顧客への丁寧な説明・対応はもちろんですが、上述したように「痛点」を申し出てこないサイレントカスタマーが多数存在します。企業にとっては、先回りして顧客の痛点を解消する取り組みが一層重要となります。
日経リサーチは顧客視点でカスタマージャーニーを作成・俯瞰し、痛点の整理や優先的に対応すべき痛点の絞り込みなどに一気通貫で対処できる「顧客体験価値(CX)向上プログラム」を提供しています。どうぞお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。
調査国 | <日本> | <米国> |
---|---|---|
調査タイトル | 「生活者痛点 基本調査」 | 「2020 National Customer Rage Study」 |
調査時期 | 2020年2月 | 2020年2月 |
調査対象 | 日本全国の16歳以上の一般個人 | 全米の18歳以上の一般個人 |
調査手法 | インターネット調査 | インターネット調査 |
調査概要 | 12,368人 | 1,026人 |
調査実施機関 | 日経リサーチ | CCMC社(Customer Care Measurement & Consulting, LLC) |
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