“アイスクリーム”の消費者分析:女性ロイヤル層に支持されるあの商品
成長する“アイスクリーム”市場
アイスクリーム(アイスクリーム類+氷菓。以下、アイスと略)の市場規模は2019年度に5151億円となり、09年度の3832億円から10年で34%増と持続的な成長が続いています※1。この成長市場ではどのような消費者がどのようなニーズのためにアイスを選んでいるのでしょうか。今回は日経リサーチのデータ&テキストマイニングツール「KeyExplorer」で、特に女性ロイヤル層に絞って分析した結果をご紹介します。
日経リサーチは19年11月にインターネットモニターに対して実施したアンケート調査※2の中で、アイスについていくつか質問しました。回答者のうち、女性がアイスを食べる頻度はグラフ1の通りで、今回は全体をロイヤル層(週3~4回以上)、一般層(週1~2回から月2~3回)、ライト層(月に1回程度)の3層に分け、自由回答のテキストデータも含むアンケートデータ全体で、それぞれの違いを分析しました。
グラフ1.女性のアイス飲食頻度(n=5452)
ロイヤル層は夕食後のリラックスタイムにアイスを選択
まず、ロイヤル層に特徴的な回答を、自由記述(「wd_」で始まる質問)も含めて表1にまとめました。単語が含まれていた元の文章も読むと、ロイヤル層がアイスを食べるシーンには、「夕食後のデザート」、「後片付け後、寝る前のリラックスタイム」、「夕食後、テレビを観ながら」が多くあがっており、「食後から寝る前にかけての時間」に特にアイスをよく食べる傾向があるようです。ジョブ理論※3の視点で考えると、女性のアイスロイヤル層は「夕食後や寝る前のリラックスタイムをより素晴らしいものにしたい」ために、アイスを「雇用」したと考えることができ、その代表的な商品として森永乳業のアイスクリーム「PARM」の名前が挙がっています。
表1.女性アイスロイヤル層の特徴ランキング
家族で食後のデザートに、ほっと一息したいときは1人で
次に、これらの飲食シーンをもう少し細分化するため、ロイヤル層の平均年齢と1人でアイスを食べた人の割合でマッピングしたものがグラフ2です。ここでは家族など複数人でアイスを食べるシーンとして「食後」の「デザート」がよくあがる一方、1人で食べるシーンとしては「寝る」前のリラックスタイムや「後片付け」が終わってほっと一息入れるシーン、「お風呂」上りといったシーンが多くみられます。
グラフ2.平均年齢x1人でアイスを食べた人の割合でみた特徴的な回答傾向
アイスは、冷たくてなめらかな口溶けがもたらす
至福で贅沢な気分が得たくて選ばれる
では、アイスだから解決できる特別なジョブとは何でしょうか?そこで今度は、購買頻度が高かったロイヤル層の中でも、「アイスが世の中から無くなったらものすごく困る」と回答した心理的にもアイスのロイヤル層である人たちの自由記述の特徴を掘り下げてみます。 その結果をまとめたランキングが表2です。アイスを食べていたシーンは「寝る」前、「夕食」後、「ストレス」が溜まっているときで、アイスの優れている点は「口溶け」、「冷たい」、アイスを食べたときの気持ちは「至福」、「贅沢」があげられています。冷たくてまろやかな口溶けの触感をもつアイスこそが、夕食後から寝る前の時間に、ストレスを解消して贅沢で至福の時間をもたらしてくれるものとして選ばれているようです。
なお、他の層も含めた特徴・ジョブの違いは表3にまとめました。「贅沢な時間にしてくれるもの」というロイヤル層に対し、一般層は「合間時間の気分転換・腹ごしらえ」、ライト層は「暑い時に体を冷やしてくれるもの」とそれぞれ解決したいジョブが異なることがうかがえます。
表2.女性アイス高頻度飲用者、必要度が高い層の特徴ランキング
表3.女性のアイス飲食者の飲食頻度別の特徴・ジョブの違い
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※1一般社団法人 日本アイスクリーム協会 2019 年度「アイスクリーム類及び氷菓」販売実績より
※2調査期間:2019年11月12日から12月3日、調査手法:インターネット調査
※3『イノベーションのジレンマ』などの著者として知られるクレイトン・クリステンセン教授が提唱した理論。消費者は現状をより良い状態に変えていく(片づけるべきジョブ)ために商品やサービスを雇用するという視点に立つことで、本当のニーズを捉える考え方
KeyExplorer(キーエクスプローラー)のご紹介
-N1分析やジョブ理論をデータ分析で支援-
KeyExplorerは自由回答も含めデータを一気通貫で分析できるデータマイニングサービスです。ジョブ理論に基づくジョブの探索をはじめ、5セグ/9セグ分析、N1分析の前の仮説探索、ペルソナ作成などにお使いいただけます。ワンクリックでターゲットを絞りこんでいくことができ、特徴ランキングの結果は一般的なクロス集計としても出力ができるため、報告書にもそのままご活用いただけます。
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