資産保有の若年層、2人に1人が「積極的に金融を学びたい」|金融機関顧客評価調査「金融METER®」2023結果から
日経リサーチは、全国の一般消費者約17万人を対象に今年8月に実施した金融機関顧客評価調査「金融METER®」の結果をまとめた。利用者の年代や保有資産額によって、金融に対する学習意欲に差があることが明らかになった。昨今、金融リテラシーの向上に向けた金融教育の重要性が高まっている。まずは金融に対する利用者側の学習意欲を把握することが、よりよい教育効果の第一歩になるだろう。
今回の調査では、「積極的に金融を学びたいと思うか」について聞いた。本コラムでは、年代や保有資産額により金融に対する学習意欲に違いがあるかを分析した。
「積極的に金融を学びたいと思うか」という設問に対して、「あてはまる」「ややあてはまる」と肯定的に回答した人は全体の22.3%だった。年代ごとの特徴をみたところ、若年層(20~39歳)は、中年層(40~59歳)、高齢者層(60歳~)よりも学びたい意欲が高い傾向だった(図1)。
さらに保有資産額を分析軸に加え、金融に対する学習意欲の違いを分析したところ、いずれの年代においても、保有資産額が多いほど学習意欲があがる傾向がみられた。特に若年層の資産運用層(1,000~5,000万円)は、2人に1人の割合で「積極的に金融を学びたい」と回答した。(図2)。
調査内で測定している金融リテラシーの得点をみると、若年層は、同じ保有資産額の高齢者層、中年層に比べて得点が低い傾向がみられた。この結果から、若年層は学習意欲が他の年代に比べて高い一方で、金融リテラシーは不十分であることが読み取れる。
2022年4月から高校学習指導要領改訂で、金融経済教育の内容が拡充された。先月20日には、金融教育を推進するための改正法が可決・成立した。金融教育を推進しようとする世の中の動きに反し、実際の利用者の学習意欲は決して高くはない。しかし、これからの経済で中心的役割を担っていくだろう20~30代、特に資産保有層においては、金融学習に対する前向きな姿勢がうかがえる。
学習意欲のある若年層に対して適切な金融教育を届けることができるかどうかが、「貯蓄から投資へ」の行動変容を促すうえで重要な鍵となるだろう。
日経リサーチ「金融METER®」は、個別金融機関の調査結果の提供も可能です。利用者の金融リテラシーの把握やアプローチ施策の検討材料として、「金融METER®」をご活用いただければ幸いです。
(ソリューション本部アカウント第1部 田坂 英恵)
※金融リテラシー測定方法:
金融知識を聞く設問10問について、それぞれ「正しい」「たぶん正しい」「たぶん正しくない」「正しくない」「わからない」の5つの選択肢で設問から回答してもらい、「正しい」が正答の場合、「正しい」に2点、「たぶん正しい」に1点、「正しくない」が正答の場合、「正しくない」に2点、「たぶん正しくない」に1点を配点する。 それ以外は0点として、合計得点を計算した。
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