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医療機関で高まる設備投資意欲 -先端技術への知識不足に不安

病院設備投資意識調査、医師522人から回答

アフターコロナの時代を迎え、医療機関の設備投資意欲が高まっている。コロナ禍を抜け、患者数も増加する中で、医師の働き方改革が本格化したことで、「医療の質向上」と「業務効率化」の両立という難題に真正面から向き合う医療機関が増えているのだろう。

 

投資意欲はあるものの、医療機関の予算には限りがあり、先端技術の専門人材が不足し、保守・メンテナンスに対応できない病院が多い。医療機器や医療システム関連の企業には、扱いやすく費用対効果の高い製品・サービスの開発を求める声が根強い。

調査は、日経リサーチが日経BP運営の「日経メディカルOnline」に登録する医師を対象に実施し、522人から回答を得た。

医療の質向上と業務効率化の両立模索

まず、過去3年間に実施した設備投資と今後3以内で力を入れたい項目について聞いた。

 

過去3年間では「医療機器・介護機器」に投資した医療機関が74.4%と最も多く、「情報システム・ソフトウェア」との回答が49%で続いた。今後3年間の計画についても同じく「医療機器・介護機器」との回答が89.8%と多く、「情報システム・ソフトウェア」(83%)が続いた。

 

設備投資①
「医療・介護機器」「情報システム・ソフト」の上位2項目について「設備投資の目的と期待」についても聞いたところ、いずれも「医療の質向上」との回答がトップで、「業務の効率化」が続いた。

設備投資②

 

調査結果で注目すべきは「情報システム・ソフトウェア」に「過去3年間に投資した」と回答した企業の割合(49%)と、「今後力を入れたい」(83%)と回答した医療機関の割合の差だ。34ポイントも上昇し、情報システムの更新を急ぐ必要があると判断している医療機関が多いことがわかる。


コロナ禍では多くの医療機関の経営環境が悪化し、積極的な設備投資ができなかったため、必要最低限の機器更新にとどめた医療機関も多い。一方、患者数がコロナ前の状況に戻り、今年4月には医師の働き方改革が本格化。業務の効率化や患者サービスの向上につながるIT投資が喫緊の課題となっていることがわかる。

「スタッフへの教育」にも不安の声

今後の設備投資に対する課題については「資金不足」(62.3%)との回答が最も多く、「継続的な保守・メンテナンスの難しさ」(42%)、「スタッフへの指導・教育」(24.9%)「投資対象に対する知識不足」(同)と続いた。

 

設備投資3

 

製品の選定基準について聞いたところ、「コスト面」を重視するとの回答が72.1%で最も多く、「保守・メンテナンスのしやすさ」(48.5%)と続いた。

 

設備投資4


限られた人員で医療の質と業務効率の改善を両立するには、最先端の機器に頼りたい。しかし、専門的な知識を持つスタッフを配置できる病院は少数で、医療従事者の教育や故障時の対応などに不安を抱く病院が圧倒的に多い。

 

医療機器や医療システムを手掛ける企業は、医療現場で使いこなせて高い費用対効果も生み出せる製品・サービスの開発を推進することはもちろん、導入前の投資計画の策定から、きめ細かなアフターサービスまで総合的なサポートを求められている。


現状の開発・サービス体制が適切なのか。設備投資需要が再び拡大する時期を迎えた今、改めて、医療現場のニーズ調査を徹底する必要がありそうだ。


次回コラムではDXに絞って医療機関の声をまとめる。

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