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AI、着実に医療現場に普及、「費用対効果がわからない」も引き続き多い

医療情報システム導入調査〈前編〉

膨大な医療情報を蓄積・分析し、医療の質向上を進めるために不可欠な医療情報システム。日経リサーチはこれまで、日経BPが運営する「日経メディカルOnline」に登録する医師を対象に普及状況を調査してきた。20233月実施の前回調査から2年、クラウド型電子カルテが小規模施設にも普及が進み、AI関連機器も徐々に導入が進んでいる状況がわかった。

 

調査は各医療機関の購買責任者・担当者2,165人に医療情報システムの導入状況を答えてもらった。

 

導入されている施設6

 

すでに導入しているシステムについては、オンプレミスの電子カルテが最も多く、レセプトコンピュータ、医療用画像管理システムが続いた。伸び率で目立つのはクラウド型電子カルテ。前回の20233月時点では、導入しているとの回答は17%だったが、今回は2ポイント上昇し19%だった。特にクリニックなど医院など小規模施設が15%から23%へと大きく上昇した。サーバーを院内に置かないクラウド型について、情報漏洩リスクを不安視する傾向があったが、安全性を確認した上で費用対効果を評価し、導入に踏み切る小規模施設が増えている。

 

図2_2

続いてAI医療機器の導入状況について聞いた。まだ「導入していない」との回答が72%と最も多いが、前回(20233月時点)と比較すると7ポイント下落している。導入しているとの回答が最も多かったのが「画像診断支援」で13%。前回調査から3ポイント上昇した。続くゲノム医療(10%)も前回から2ポイント上昇するなど、選択肢に挙げたAI医療機器全て、「導入済み」との回答が2年前よりも増えた。

 

導入しない理由2

 

AI医療機器を導入しない理由について、「費用対効果がわからない」(51%)「費用対効果が良くない」(24%)「保険収載」(19%)といったコスト面での課題を指摘する医師が大半だった。自由記述での医師の声をみても「色々導入したいが、病院の経営状況を考えると難しい」との回答も目立った。また「AI利用に不安がある」との回答も23%に達している点も注目したい。AIを中心にデジタル技術の革新に期待はあるものの、技術に対する情報・知識や人材が十分ではなく、リスクを見定めることができないのも医療現場の本音だろう。

質問は異なるが、勤務先での医療のDX推進についての回答結果からも上記は推測できる。

DX推進の障害5

 

このように、回答率が最も高かったのは「費用が掛かる・予算不足」だが、次いで「推進人材の不足」、「DXについて研究する時間不足」、「DXそのものの情報不足」といった技術に対する情報・知識や人材不足が障害とする回答があわせて30%以上になった。AI活用についても同様の傾向であろう。

 

コラム〈後編〉では、医師が期待している技術や、ChatGPTに代表される生成AIの医療での活用に対する意見を深掘りして検証する。

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