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今後の銀行に期待するものは? 銀行利用における年代別の重視点

銀行ランキング「消費者調査」2025の結果より

20254月、今年で2回目となる「NIKKEI Financial銀行ランキング」がリリースされました。

 

銀行ランキングはNIKKEI Financialと日経リサーチが、利用者が各銀行を評価した「消費者調査」と「銀行本部調査」「公開データ」の3つから評価指標を作成し、はじき出した評価ランキングです。

 

銀行ランキングは5分野(※1)で構成されていますが、「消費者調査」はこのうち、「利便性」「商品サービス」「接客応対」「企業姿勢」の4分野について、利用者からみた銀行利用時の重視度と各銀行の満足度を聴取しています。

 

本コラムでは銀行利用者の重視点に、年代によってどのような違いがあるのかを今年の「消費者調査」の結果からご紹介します。

 

※1 銀行ランキングの5分野:「利便性」「商品サービス」「接客応対」「企業姿勢」「収益性」

今後益々求められる利便性は「デジタルサービスの使いやすさ」

 

「利便性」「商品サービス」「接客応対」「企業姿勢」の4分野について、総合的な重視度を年代別に比較すると、「企業姿勢」の重視度は年代によってばらつきが見られます。特に70代以上では「企業姿勢」が最も重視されています。一方、「利便性」は30代以下が最も重視していますが、年代でのばらつきが少なく、どの年代でも重視されていることがわかります。(図1)

 

1. 4分野の重視度

では、それぞれの年代で具体的にどのような点を重視しているのでしょうか。

 

2はどの年代でも重視している割合が高い「利便性」の個別項目に関して、重視度上位の10項目を抜粋したものです。

 

2. 「利便性」に関する個別項目の重視度

 

全体で7割を超える利用者が「ATMが利用しやすい場所にある」「店舗の立地が良い」を重視しています。続いて、3~7位はデジタルサービスに関する項目が並びます。特に、30代以下は「インターネットバンキング」をはじめ、デジタルサービスの使いやすさに関する項目の重視度が他の年代と比べて高く、また、いずれも等しく重視していることがわかります。これらの重視度は年代が下がるにつれて高くなっており、利用者がデジタルサービスを重視する姿勢は今後さらに強まっていくと考えられます。  

「社会貢献」や「サステナビリティ」を意識する若い世代

 

次に、年代別で総合的な重視度にばらつきのあった「企業姿勢」の個別項目を見てみます。重視度は異なるものの、上位の項目に違いは見られず、どの年代でも「信頼できる」「ネットバンキングに関するセキュリティー対策がしっかりしている」「金融システムの安定稼働対策がしっかりしている」が上位を占めます。

 

3. 「企業姿勢」に関する個別項目の重視度

 

特徴的なのは、30代以下で「金融機関以外の企業と連携するなど、先進的なサービス開発に積極的」や「カスタマーハラスメントなどの対応がしっかりしている」が他の年代に比べて高い傾向がみられることです。また、「パーパスなど企業のあり方をきちんと発信している」や「サステナビリティへの取り組みを通じた地域社会貢献に積極的」など、銀行に対しても社会的意義を重視する姿勢が見られます。

 

30代以下の若い世代は、単に個人の利便性を求めるだけでなく、利用している銀行が地域社会にどのように貢献しているか、その姿勢にも注目しています。これは、サービスを提供する銀行にとって無視できない重要な要素です。

 

銀行が今後長期的な信頼と支持を得るためには、現在の利用者からの評価を把握するだけでなく、今後の主要な顧客層となる若い世代の価値観や期待に応える施策を検討することが重要ではないでしょうか。

 

今回ご紹介した「消費者調査」は個別金融機関の調査結果の提供も可能です。銀行全体に対する自行の立ち位置や優先課題、他行との差別化をもたらす要素を明確にし、今後の金融サービス戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

 

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