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2026年度診療報酬改定 薬剤師2648人のホンネは <ベア評価の拡充と厳格化について>

2026年度の診療報酬改定は改定幅がプラス3.09%と、30年ぶりの高水準となった。深刻な人員不足や物価高騰に苦しむ医療機関の経営健全化を後押しする内容が目立つ。病院や調剤薬局などの現場はどう捉えているのか。

日経リサーチは日経BPが運営する「日経メディカルOnline」に登録する2648人の薬剤師を対象にアンケートを実施した。その結果を主要テーマ別に紹介していく。まずは「ベースアップ(ベア)評価の拡充と厳格化」について現場の声を紹介する。

 

■ベア評価拡充―賃上げ加点への期待と減算ペナルティへの不安

2026年度の診療報酬改定の大きな注目点は「賃上げ対応」の強化だ。ベアを実施した医療機関や調剤薬局に対して「ベア評価料」として大幅に加点する一方、適切な賃上げが実施されていないと見なした場合は減算する。2027年度にはさらに強化される方針。この改定について約半数の薬剤師が「知っている」と回答したが、病院の院内薬局や薬剤部勤務者と調剤薬局勤務者に分けてみると病院側の理解度が低く、21.3%は「知らなかった」と回答。また病院のマネジメント層・責任者を除いた現場担当者の41.6%が「聞いたことはある」、36.5%が「知らなかった」と回答した。

 

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▼「担い手の確保につながる」と期待する声も

「ベア評価料」の賛否を聞いたところ、「賛成」との回答は32.3%で「反対」との回答は24.2%だった。病院と薬局別にみると、病院は「賛成」が40%に達し、薬局を12ポイント上回った。病院は看護師、理学療法士、薬剤師など多種多様な「コメディカル」よって支えられている組織だが、他産業との賃金格差による人材流出もある。病院経営層にとって、賃上げが点数として認められることがスタッフの確保・定着へつながるとの期待ではないだろうか。逆に「反対」は薬局が26.7%となり、病院を7ポイント上回った。この薬局における反対の多さの背景には、後述するように、処方箋減少など不可抗力でペナルティになるリスクに対する不安が大きいと考えられる。

 

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 期待する効果について「従業員の生活の安定」との回答が7割を超え、「経営の安定」「現場の士気向上」「担い手の確保」が続いた。一方、懸念としては「事務などの負担増」(43%)を指摘する薬剤師が最も多かったが、「経営破綻リスク」との踏み込んだ回答が39%に達したのが注目ポイントだ。賃上げが実施されなかった際の減算規定が、経営に甚大な影響を与えると危惧しているのだろう。また、薬局では病院と比較して、「処方箋減少など、不可抗力でペナルティになるリスク」を指摘する声が10ポイント以上高く、不可抗力で降りかかるペナルティに対する不安がうかがえる。実際、賃上げ予定について、「困難」が22.1%で足元の原資確保に苦慮している様子が見て取れる。
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今回の調査結果では、国が掲げる「賃上げによる経済好循環」の理想と、医療機関が置かれた「固定費高騰」という厳しい現実との大きなギャップが見えた。

「賃上げ要件の厳格化」は、医療体制の維持につながる一方で、経営を圧迫するリスクも抱えており、2027年度に予定されているさらなる要件強化を前に、病院や薬局は現在、難しい経営判断を迫られている。


次回コラム(4月下旬公開)では、2026年度診療報酬改定に新設された「物価対応料」についての現場の声を紹介したい。 

 

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