2026年度診療報酬改定 薬剤師2648人のホンネは <医薬品の供給体制加算について>
2026.5.14
日経リサーチは「日経メディカルOnline」に登録する2648人の薬剤師を対象にアンケートを実施した。今回は「医薬品の供給体制加算」について現場の声を紹介する。
■医薬品の供給体制加算-7割弱が「加算取得」に前向きも、在庫確保に不安
今回の改定では備蓄品目数や在庫融通体制を評価する「地域支援・医薬品供給対応体制加算」が新設される。この加算に対する認知度を調べると、調剤薬局では61%が認知していたのに対し、医療機関(病院)勤務では43%にとどまり、薬局側の関心の高さが伺える。

「地域支援・医薬品供給対応体制加算」導入によって評価の軸足が『使用率(%)』から『備蓄・連携体制』へシフトすることについての賛否を聞くと、30%が賛成、20%が反対と回答した。
賛成理由は「入手困難な中、使用率(%)を追う負担が減るから」が59%で最も高く、次いで「備蓄のリスクやコストへの対価として妥当だから」が57%となった。この背景には煩雑な管理から解放される在庫管理業務の効率化が、利用者にとって最大のメリットとして捉えられている。
反対理由は「出荷調整続きで備蓄できない」が72%と最も多く、「期限切れ薬品の廃棄増大で加算を上回る損失が出る」(67%)が続いた。「供給責任を薬局に押し付けるのはおかしい」との意見も6割に達した。
賛成理由を施設別に比較すると、病院は「入手困難な中、使用率(%)を追う負担が減るから」が高く、医師との交渉、委員会手続き、システム変更といった組織内の調整業務ストレス(%追い)から解放されることの期待が表れている。調剤薬局は「備蓄のリスクやコストへの対価として妥当だから」が高い結果となっており、実際に発生している在庫負担や廃棄リスクという、身銭を切るリスクに対する経済的リターンとして、この加算シフトを評価している。

調剤薬局の薬剤師に今後の対応方針を聞くと、「積極的に加算を目指す」「協力して狙う」「採算の合う範囲で行う」の合計が67%に達した。供給不安という課題を抱えつつも、多くの薬局が新制度への対応に対して前向きな姿勢を見せている。

▼医師への電話照会負担減――68%が「良い影響」と期待、連携の円滑化へ
2026年度改定では、処方箋の備考欄に「残薬確認時の対応」のチェック欄が新設される。医師が事前にチェックすれば、薬剤師は電話照会なしで調剤数量を減らせる仕組みだ。このタスクシフト施策について、薬局薬剤師の68%が「良い影響がある」と回答した。業務に良い影響が期待できる理由としては、「電話確認や回答待ちの時間の削減」(90%)が最も高く、「多忙な医師へ連絡する心理的負担の軽減」(68%)が続く。形式的な確認作業の簡略化により、待機時間等の物理的負担や医師への連絡に伴う心理的負担が緩和される。こうしたメリットから、薬局薬剤師の間では本取り組みを肯定的に捉える向きが強い。
一方、業務に良い影響が期待できない理由については「電話は減っても事後報告の手間が増えると思うから」(61%)「多忙な医師がわざわざチェックしないと思うから」(39%)との意見が多かった。


今回の調査からは、地域支援・医薬品供給対応体制加算に対して概ねポジティブに向き合っている実態が明らかになった。
「医薬品の供給体制加算」については、在庫管理の難しさはあるものの、7割近くが加算を目指している。また、「形式的な確認作業の簡略化」についても、7割弱が心理的・時間的負担の軽減に繋がると評価している。
今回の改定項目は、現場の切実な悩みであった「在庫リスク」や「医師への気兼ね」に直接触れる内容となっている。これらの新制度が実務レベルでスムーズに稼働し、本来の目的であるタスクシフトや安定供給が実現することで、薬剤師がより対人業務に注力できる環境が整っていくことが期待される。
次回コラム(5月下旬公開)では、2026年度診療報酬改定の「先発薬の自己負担拡大 」についての現場の声を紹介したい。
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