HR総研×日経リサーチ 共同調査報告ビジネスパーソンに聞く「ニューノーマルな働き方」テレワークの方が働きやすい?
HR総研と日経リサーチは共同で、ビジネスパーソンを対象に「ニューノーマルな働き方」に関する意識や実態について聞くアンケートを実施しました。テレワークが普及するなど働き方が多様化する中で、ビジネスパーソンの意識やコミュニケーションがどう変化したかを探りました。
【まとめ】
- テレワークを実施している人のエンゲージメントは高い
- テレワークでエンゲージメントが高い人は、新しいシステムツールを活用してコミュニケーションをとっている
- テレワークでコミュニケーションがとりにくいと思われがちだが、意外とそうでもない
テレワークを実施している方がエンゲージメントは高い
エンゲージメントの状況
管理職・一般社員でテレワークの実施の有無別に、エンゲージメントの高低を見ました。
管理職・一般社員ともにテレワークを実施している方がエンゲージメントは高いという結果でした。
管理職ではテレワーク実施で36.0%(高い9.6%、やや高い26.4%)、未実施で24.7%(高い5.9%、やや高い18.8%)がポジティブな回答です。一般社員ではテレワーク実施で20.7%(高い7.5%、やや高い13.2%)、未実施で13.6%(4.9%、8.7%)です。テレワーク実施の有無の差は管理職の方が大きくなっています。
総じて、管理職が一般社員よりエンゲージメントが高いのは一般的な傾向です。
「もともとエンゲージメントの高い会社がテレワークを推進している」可能性もあり、エンゲージメントとテレワーク実施の因果関係はここでは分かりません。しかし大事なのは「テレワークに代表される柔軟な働き方」を許容する会社の姿勢なのでは、と見ています。
数年前、テレワークは、働き方改革の面で先進的な企業が取り組むものと言われていましたが、昨年から多くの企業が実施しています。さらに今では、より良い「運用」を考える段階に変わったと言えます。うまく運用するために、より使いやすいコミュニケーションツールを導入し、テレワークしやすい制度や仕組みを整え、利用を働きかけることが必要です。
テレワークによって通勤が無くなり、時間が自由に使えるようになったり、人間関係のわずらわしさから解放されたりという利点は当初からありました。ここにきてツールの利用にも慣れ、むしろリアルの時よりもきめ細かなコミュニケーションが取れるようになり、エンゲージメントにも良い影響を与えるようになったと言えます。
それでは次に、コミュニケーションの手段について見てみましょう。
テレワークをしている人は、エンゲージメントが高いほど「オンライン会議ツール」「チャットツール」「グループウエア」の使用が多い
社内コミュニケーション手段で使用頻度が高いもの
テレワークをしている一般社員が使用する、コミュニケーション手段ごとのエンゲージメントの高低を見ています。「オンライン会議ツール」「チャットツール」「グループウエア」など比較的新しいシステムツールはエンゲージメントが高い人の方が使用していました。
一方で、エンゲージメントが低い人ほど「電話」や「メール」といった以前からあるツールの使用頻度が多くなっており、「オフィスで対面しての雑談・日常会話」も多いという結果が出ています。
旧来型のコミュニケーションツール(電話やメール)を使うことが悪いわけではありませんが、テレワーク実施時には他のツールも組み合わせて社内コミュニケーションを取ることをお勧めします。
管理職は、テレワーク実施者の方がコミュニケーションはとりやすいと感じている
社内コミュニケーションのとりやすさ
テレワークだとリアルでの対面がないため、社内コミュニケーションはとりにくいように感じるかもしれません。しかし、調査結果からはテレワークを実施している方がコミュニケーションをとりやすいとの回答が多くなりました。特に管理職でこの傾向が強く、テレワーク実施では69.9%(とりやすい28.8%、ややとりやすい41.1%)がコミュニケーションはとりやすいと感じています。
リアルでなくてもコミュニケーションが問題なくとれるツールも普及してきているという現れでしょうか。加えて、会議の資料共有において「印刷して渡す」という手間があったのが、オンライン会議により「画面に投影」で済むようになり、作業が軽減されたといった仕組みの工夫も考えられます。
次もテレワークをしている管理職についてです。部下の働きぶりを把握できているか聞きました。
管理職は「テレワークしている方が部下を把握できている」、と感じている
上司から見て、部下の業務内容、進捗、課題等把握できていると思うか
管理職(上司)は、部下の業務内容や進捗状況、今の課題を把握できていると思うか聞きました。テレワークを実施している方が把握できていると感じている人が多くなっています。テレワーク実施の人は64.1%(そう思う12.7%、ややそう思う51.4%)ができていると思っており、未実施の人は53.2%(そう思う14.0%、ややそう思う39.2%)でした。
職場で顔を合わせる機会が少ないので、意識的に部下の状況を把握しようとしている上司の姿がうかがえます。
では部下の側から見た結果はどうでしょうか。
部下もテレワークしている方が把握してもらっていると感じている
部下から見て、上司は自分の業務内容、進捗、課題等把握していると思うか
一般社員(部下)から見て、自分の業務内容や進捗状況、今の課題を上司が把握してくれていると思うか、という設問です。こちらもテレワークを実施している方が把握してもらえていると感じています。テレワーク実施の人は45.9%(そう思う10.3%、ややそう思う35.6%)が把握してもらっていると感じており、未実施の人は34.2%(そう思う7.5%、ややそう思う26.7%)です。部下の側からも、上司に対していつも以上に意識的に状況報告しているように見受けられます。
まとめ
テレワークでの働き方も慣れてみると便利なことも多く、エンゲージメントやコミュニケーションに良い影響があるようです。
これからも変化する労働環境への適応や、導入されたツールを使いやすくするための創意工夫は欠かせませんが、職場の現状の問題点や「こうだったらいいのに」を定期的に確認し、より働きやすい環境にしていきましょう。
「ニューノーマルな働き方」では、従業員のエンゲージメントに影響を与える項目もさまざまに異なります。皆さんの会社では、何がエンゲージメントに影響を与えているか、把握してみてはいかがでしょう。
日経リサーチは従業員の働き方に関する意識や実態を測るフレームとデータを保有しています。
客観的なデータを基に、組織マネジメント力の向上を支援していますので、ご興味がある方はお気軽にご相談ください。
≪HR総研の調査レポートご案内≫
※以下のURLにアクセスすると、共同調査元であるHR総研のサイトからご覧いただけます。
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=307
「企業の発展と社員の幸せを実現する、ニューノーマルな働き方」
に関するアンケート
実施時期 | 2021/05/27~ 2021/05/31 |
---|---|
調査対象 | 全国20~69歳の民間企業勤務の正社員 |
回答者数 | 1,104人 |
調査主体 | 株式会社日経リサーチ |
(人組織チーム ソリューション本部 営業企画部 伊東隆太郎)
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