チャットボット、社内SNS自社テクノロジーを活用
日経「スマートワーク経営」調査2018では、生産性向上や在宅勤務など柔軟な働き方の実現に不可欠となっているテクノロジーに着目。人材活用におけるテクノロジーの導入状況を中心に、調査データの分析結果、特徴的な取り組みをしている企業の事例などを紹介します。
日本ユニシス
2018年に「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞するなど、働き方改革で目覚ましい成果を挙げている日本ユニシス。要因の一つは、ITサービス企業ならではの最新のITテクノロジーを活用した業務改革や人材活用策にある。
本業を自社の業務改革に
18年5月に本格運用を始めたチャットボットがある。名前は「ちゃちゃっと案内」。例えば、社員が「夏休みの取り方について知りたい」と打つと、文脈を理解して夏季休暇取得の手続きなどの情報がすぐに引き出せる。
こういった情報はイントラネットでも取得できるが、何度もクリックして深い階層まで行かないと情報にたどり着けなかったり、「夏休み」でなく「夏季休暇」で検索しないと正しい答えが得られなかったりする場合が多い。とりわけ、新入社員など検索機能やイントラの構造に不慣れな社員は自分の欲しい情報を得るまでに必要以上に時間がかかる。そこで、ちゃちゃっと案内を活用すれば、無駄な時間を低減できる。
ちゃちゃっと案内は、同社が18年春に売り出した知的エージェントサービス「RinzaTalk(リンザトーク)TM」を社内向けサービスとして構築したものだ。知的エージェントとは、ユーザーとの対話を通して言葉の意味を学習しながらユーザーの意図する処理を適切に代行する機能。本業を自社の業務改革にも上手に生かしている。
組織開発部組織イノベーション室長の秋山美枝氏は、「利用頻度の上昇に伴い、的確な回答をする確率も上がってきた。今後は、案内項目を増やし、現在の一問一答方式に代えて対話方式を導入することも検討している」と話す。
社員の意見やアイデアを吸収
テクノロジー活用のもう一つのユニークな例が、マイクロソフトの「Office(オフィス)365」が提供する社内SNS「Yammer(ヤマー)」の利用だ。「Office365の広場」と名付けたグループ上では、様々な情報が活発に飛び交う。例えば、ある社員がYammerの使い方について担当部署に投げ掛けた質問を、担当部署以外の詳しい社員が代わりに答えることもある。ふだんは埋もれがちな社員一人ひとりの知識や経験を、SNSを利用することでフルに活用できるようになった。
また、同広場では、社員が自由にグループを立ち上げることもできる。「会社はシステムの管理はしているが、立ち上げるのに許可や登録は不要」(秋山美枝・組織イノベーション室長)だ。
その結果、同広場はユニークなグループであふれている。新規事業のアイデアについて意見を交わすグループなど業務に直結するものも多いが、女性社員が共通の悩みや課題を話し合うグループやパパ社員同士が交流を楽しむグループなど様々だ。
注目すべきは、経営層も積極的にYammerを活用している点だ。例えば、平岡昭良社長は「今日の社長メッセージの中で一番共感したところはどこですか」といったアンケートをYammerを通じて社員に直接とるなどし、社員とのコミュニケーションを深めている。社員が社長のグループに直接、意見を投稿することも珍しくないという。ITサービス企業だけに、最新のテクノロジーを試すことに対する心理的なハードルが低いようだ。
生産性が30%以上向上
同社が人材活用のためにテクノロジーを本格的に使い始めたのは、15~17年の中期経営計画で「企業風土・人財改革」を重点戦略の一つに掲げてから。目標達成のためにはまず、生産性の向上を妨げる無駄な業務の削減が欠かせない。その間、テレワークの拡大やサテライトオフィスの導入などを進めたが、その副作用として、社員同士が顔を合わせる機会が減ることによるコミュニケーション不足の懸念が生じた。それらの課題を解決する手段が、テクノロジーの活用だった。
他の様々な施策とも組み合わせた結果、17年までの3年間で、営業利益を従業員数で割った生産性は目標の30%を超え、社員のエンゲージメント指数も上昇した。18~20年の現中期経営計画でも、繁忙期以外の月の残業時間をできるだけゼロに近づけ、メリハリのある働き方を実現する「残業メリハリ活動」の100%達成を目標に掲げた。定型業務のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)化を推し進めるなど、最新テクノロジーによる業務改革・人材活用を一段と強化している。
※RinzaTalkは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。
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