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7割近くが既存ビジネスと紐づけ求められる具体的な取り組み

7272_ext_03_0 日経リサーチは日本経済新聞社が2019年に初めて実施した「SDGs経営」調査の結果を独自に分析しました。「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」などテーマごとの日本企業全体の取り組み状況や、高評価企業の取り組み事例について紹介します。掲載は毎週木曜日、10回を予定しています。
 今回は「ビジネスとSDGsとの紐づけ実績と課題」について紹介します。

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がる中で、株式市場ではESGやSDGsへの注目がより高まった。ESGやSDGsなど長期投資に強みを持つ企業は、株価の下げ幅が小さかったからだ。企業は、SDGsへの貢献をどのようにビジネスに組み込んでいるのか。

ビジネスへの組み込み実績、製造業と非製造業で開き

 2019年に実施した『日経「SDGs経営」調査』で、「環境・社会・経済の課題解決(SDGsへの貢献)を既存事業・戦略・ビジネスモデルの革新や新規事業の創出に組み込んでいるか」を複数回答で尋ねた。67.7%の企業が組み込んでいると回答した。最も多かったのが「既存の事業と社会課題を紐付けている」(65.3%)で、業種別にみると製造業が75.3%、非製造業が55.2%と大きな差が出た。非製造業の中では電力・ガス(87.5%)と金融(82.0%)が高い回答率だった一方、小売・外食(42.9%)、倉庫・不動産(33.3%)などは低く、業種によるばらつきが目立つ。「既存事業・戦略・ビジネスモデルの革新に組み込む」と「新規事業の創出活動に組み込んでいる」が30%台で続いた。

図1 SDGs目標に関するビジネス上の取り組み

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経営課題としての位置づけ、あいまいな面も

 各企業は具体的にどのようにSDGsを事業に組み込んでいるのか。調査では、自社および自社グループの具体的な取り込みについて聞いた。SDGs17目標のうちビジネスの貢献で最も回答が多かったのは、「13:気候変動に具体的な対策を」(27.9%)だった。アサヒグループホールディングスはビール醸造の副産物である「ビール酵母細胞壁」を加工処理した肥料を活用し、発展途上国での農業事業の課題解決に貢献している。  次に回答が多かったのは「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」(25.5%)。セイコーエプソンはごく少量の水で文書情報を完全に抹消したうえで、新たな紙を生産する商品(PaperLab)を販売している。オフィスで完結する資源サイクルにより、新しい紙の購入量を減らすとともに、 廃棄や回収にかかる輸送CO2の削減に貢献している。

図2 SDGs17目標うちビジネスで何に貢献しているか

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 ただ、SDGs目標の経営上の位置づけは、あいまいな面もある。調査ではSDGs目標をビジネスに組み込んでいる企業を対象に、SDGsに貢献する事業が各社の長期目標に占める割合を尋ねている。その結果、そもそも割合を回答した企業は27.4%にとどまった。

 新型コロナウイルスをきっかけに、SDGs目標に対する企業の姿勢には一段と関心が高まっている。企業にはより具体的で、実効性のある取り組みが求められる。

「SDGs経営」推進プロジェクト 矢崎歩


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次回のテーマは「SDGsへの貢献に関する方針の策定」です。

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