医師の心を動かすマーケティング最前線 AIが掘り起こす「医師のホンネ」(中編)
2025.9.4開催ウェビナー
急速なデジタル化により、医師への情報提供は大きな変革期を迎えている。デジタルチャネルが多様化する中で、人による情報提供にはどんな価値が残されているのか、そして医師は今メーカーに何を期待しているのか。その答えを探るべく、独自調査の結果を交えながら、皆さんに今後のマーケティング活動のヒントとなる情報をお届けしたい。
前編では、市場環境や情報収集について紹介したが、
本編では、独自調査結果から医師の情報源や重視点を紹介する。
独自調査で見る医療現場の情報収集
それでは医師の情報収集の実態について、独自調査の結果を基に見ていこう。調査はインターネットで実施し、日本国内の医師300人を対象にした。対象者は直近2年以内に医薬品、医療機器、医療情報システムの採用に実際に関与した医師に限定して聴取した。これにより、採用の意思決定のプロセスをリアルに捉えることを狙っている。主に内科は医薬品、外科は医療機器について回答してもらった。情報システムについては内科・外科を問わず、導入に関与した人から回答を得た。
採用するまでに接触した情報源
次に、採用するまでに接触した、いわゆる検討段階で触れた情報源についてである。医薬品は最初に製品を知ったきっかけの段階と比べると、講演会やWebサイト、MRとの面談など、非常に多岐に渡る情報源に接触している。特に、上市後間もない新薬は全体的に各情報源との接触率が高くなる傾向がある。これはまだ世の中に出回っている情報が少ない新薬に対し、医師が様々なチャネルから積極的に情報を収集している姿の現れではないか。
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医療機器は高額な製品の場合はメーカーから提供される資料や「担当者との直接面談」といったメーカーから直接発信される情報源が上位を占め、それぞれ25%前後となっている。医薬品に比べると、「覚えていない、見聞きしていない」の割合が高いのも特徴だ。医薬品と比べ、全体的に情報入手経路のチャネルへの接触が少なくなっている傾向がある。
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医療情報システムも採用するまでに接触する情報源として最も割合が高いのは「メーカーからの冊子等の資材」で16%。次いで「担当者とのWeb面談」となっている。注目すべきは「Web面談」が「直接面談」の数値をわずかだが上回っている点だ。システムの詳細な説明やデモンストレーションなどオンラインで情報提供するケースもあり、これらが検討において重要な役割を担っていることが伺える。もう1つの特徴として、「覚えていない、見聞きしていない」という回答が35%と1/3以上に上っており、医薬品や医療機器に比べて非常に高いと言える。このことから、情報システムに関する情報チャネルは他の領域に比べて限定的であると言えよう。
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採用時に重視した情報源
続いて採用時に重視した情報源について、まず医薬品から見ていく。上市後間もない新薬では「担当者との直接面談」が61%と半数を大きく超えて最重視されており、「医療系Webサイト」が続いている。これが上市後1年以上経過した製品では順位が逆転する。「医療系Web」サイトが51%で過半数を占めてトップとなり、48%だった「担当者との直接面談」が僅差で続く。この結果から、最終的な採用の決め手としては上市して間もない製品ほど、MRによる情報提供がより重視される傾向が見て取れる。
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医療機器は高額な製品では実に70%以上が「担当者との直接面談」を重視したと回答しており、重要性が圧倒的に高い。高価で複雑な製品ほど人を通じて丁寧に説明することが重要になることが分かる。一方、消耗品を含む低額な製品は、こちらも「担当者との直接面談」が56.3%と高いものの、「他の医師」からの口コミを重視する割合が3割を超え、高額製品の場合より高いのが特徴的だ。高価で専門的な機器ほどメーカー担当者の説明が重要で、日常的に使う製品ほど同僚の医師の評価が強く影響すると言える。
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情報システムも同様に「担当者との直接面談」が57%と最も高く、最終判断における人のコミュニケーションの重要性を示している。特徴的なのは2番目に「担当者とのWeb面談」が17%で入っている点だ。検討段階でなく、最終決定の場面においても、オンラインでの対話が重要な役割を果していることが分かる。
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後編は11月27日公開予定。
なぜ医師がこれほど人からの情報を重視するのかについて紹介する。
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