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「社会をより良く変えてくれる」企業(社会必要度)とは? ~20代以下は、明るい未来を約束する企業を評価~

日経リサーチは、今年で21回目を迎えるブランド戦略サーベイ2023をリリースしました。今年の注目トピックは「社会をより良く変えてくれる企業」というソーシャルグッドとしての期待を新評価指標に加えたことです。日経リサーチは、そのような企業こそが、社会により求められるようになるとの考えから、その指標を「社会必要度」と名付けました。

 

コンシューマー(16歳以上の一般男女個人を対象とした調査)ではTOTOが、ビジネスパーソン(フルタイムの有職者を対象にした調査)ではトヨタ自動車が1位という結果でしたが、年代別で見ると「より良く変える」という考え方に違いがみられます。

 

本コラムでは、特徴的だった20代以下の評価について解説します。

全体の社会必要度ランキングの上位企業は?

表1 コンシューマーから高評価の「社会をよりよく変える企業」(社会必要度・上位15社)

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※上記は、実際の「ブランド戦略サーベイ・オンライン」(有償サービス)の画面より

(有償サービスでは全600ブランドのランキングはほぼ全指標で閲覧可能。CSVダウンロード機能あり)

 

コンシューマー編ではTOTOが1位、続いてトヨタ自動車、Googleといった自分の身近に存在するB2Cの企業群が上位を占めている。1位のTOTOに対しては「トイレ等の身近な製品から生活の便利さや衛生、環境への貢献が感じられる」などの声が寄せられ、自分の身近な快適さを実感として、未来への期待が現れたものと考えている。

 

 

20代以下が考える「社会をより良く変えてくれる企業」に必要な要素とは

年代により、どのような評価の違いがみられるであろうか。

 

図表2は、全体と20代の社会必要度上位10社のランキングである。各年代で特徴があるが、特に顕著なのは20代以下で、1位がGoogle。2位ソニーと続き、3位以降、明治、雪印メグミルク、森永乳業といった企業が並ぶ。これは「企業」に対する認識が他の世代より限定的なため、どうしても身近な企業群を評価している印象を受ける。

 

ただし、興味深いことに、オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)、ユー・エス・ジェイ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)、今年ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーがヒットした任天堂が上位に挙がっている。他の世代より幸福感が感じられるランキングではないだろうか。

 

図表2 全体&年代別社会必要度ランキング(上位10位)

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次に、20代の企業評価の特徴を把握するために、社会必要度と相関の高い企業のパーセプション(ブランドイメージ、経験価値)の上位を見ていく。

 

図表3 全体に比べ20代以下の相関係数が高い項目ランキング(上位10項目)

 

 

 

図表3は全体に比べ、20代以下の社会必要度への相関が高い上位10項目である。20代以下の特徴として「優秀な人材が多い」という、働いている人に関する項目を重視していることが挙げられる。これは就職活動を経て、様々な企業とのコミュニケーションを経験したことが影響しているものと考えられる。さらに「顧客として大切にしてもらえる」というホスピタリティに対する評価も高く、以下「遊び心がある」「革新的」「個性的」などが続いている。

 

全体の評価を見ると、機能的な価値が社会必要度に結び付いている傾向がみられるが、20代以下では機能的な価値評価に加え、情緒的な価値も影響する傾向があり、バランスよく社会必要度という評価を支えていることがわかる。表3にはないが「家族や友人と会話が弾む」や「購入・利用したことが話題となる」なども全体より高く、自身のコミュニケーションやSNSにも役立っていることもプラスに働くようになっている。「社会をより良く変える」企業と評価しているからこそ、自身として自信をもってSNSなどで発信できる企業・活動として捉えられているかもしれない。

20代以下には、情緒的な価値を含めた共感の醸成が大切

20代以下が考える企業の「社会必要度」は、ほかの年代に比べ特徴があることが分かった。それは先述した社会必要度と共感との相関を年代別に見た場合でも同じだ。

 

図表4は年代別で社会必要度と共感の相関係数を表している。20代以下はすべて0.9以上という数字になっているが、その中でも20代以下は最も高くなっている。

 

図表4 年代別の社会必要度、共感との相関係数

 

 

 

つまり20代以下に対して「社会をより良く変える」という評価を得るには、現状の企業姿勢や活動に対して、共感を得られるよう「明るい」未来を提示することが大事なブランディングの方向性といえそうだ。

 

個々の企業ではコミュニケーションを含む事業活動として様々な工夫を凝らして、共感の醸成を図っていると思う。それが社会必要度や共感に寄与しているかを確認するためには、データに基づくエビデンスが重要な価値を持つ

 

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