アメリカで認知度の高い日系ブランドは?~アメリカ約6,000名、日本約8,000名の調査結果から解説
円安ドル高が進行し、トランプ政権への交代による不透明感が一段と強まっているアメリカ経済。しかし、ビジネスを拡大するためには、GDP(国内総生産)世界一のアメリカ市場での企業活動は避けられない。そこで今回は、アメリカにおいて日系企業がどの程度認知を獲得しているのか、日本と比較して分析する。
今回の分析では、日経リサーチが2024年6月から7月にかけて業種横断200社のグローバルでのブランド価値を11の国と地域で測定した「GLOBAL BRAND SURVEY 2024」のデータを活用する。
まず、日本での認知度が6割以上の日系企業に絞り、日本とアメリカでの認知度を比較する。以下は、アメリカと日本での認知度の差分(アメリカ認知度-日本認知度)のランキングだ。
日系企業は日本での認知度が必然的に高くなる傾向だが、認知度の差分ランキング1位の「セイコーエプソン(アメリカでの測定名「EPSON」)」は、アメリカでの認知度が日本を10ポイント以上上回っている特徴的な企業である。2位以降は、アメリカと日本の両方で認知を獲得している企業で、ソニーや任天堂といったエンターテインメント企業や、ホンダ、SUBARU、トヨタといった自動車メーカーが集中している。
今回はさらに、特徴的な結果を示した「セイコーエプソン」がアメリカでどのように認知されているのかを深掘りした。
具体的には、社名から思い浮かぶ製品・サービスを自由回答形式(純粋想起)で収集し、ワードクラウドで可視化した。このワードクラウドは「GLOBAL BRAND SURVEY 2024」サービスのダッシュボードで提供しているものだ。実際のサービスでは測定した200ブランドすべてのワードクラウドが閲覧できる。
「セイコーエプソン」の日米生活者の純粋想起
結果として、日本では「セイコー」の記載もあり、時計の想起も含まれているが、日本とアメリカの両方でプリンターの想起が中心である。アメリカでの認知獲得の要因としては、プリンターの認知が大きいと考えられる。
実際に、ニューヨークやロサンゼルスの量販店やCostcoでも、他ブランドのhp(ヒューレット・パッカード)と一緒に販売されているのを多く見かける。
ちなみに、同じプリンター関連で、上記写真にも登場している「ブラザー工業」(ランキング18位)は、日本ではミシンのイメージが強いが、アメリカではプリンターのイメージが中心である。売上比率でも、2023年は日本が14%に対して米州が34%と倍以上を占めている。
「ブラザー工業」の日米生活者の純粋想起
このように、国ごとの認知度を数字で見るだけでなく、どのように知覚されているのかといったコーポレートブランドの構成要素を理解することが、グローバルマーケットでは重要だ。
本調査では、競合も含めた200社をアメリカ、日本を含む11カ国・地域で測定している。気になる企業や国などがあれば、以下でサービス詳細をぜひご覧いただきたい。
(ニューヨーク駐在 シニアマネージャー 横田)
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