BtoB企業向け 営業戦略のためのCS調査活用術 Q&A
CS(お客様満足度)調査は、BtoB事業において品質管理だけでなく、営業戦略に欠かせない要素だ。最近は「売上を維持する/高める」など、成果を出すために調査を活用することが求められているが、実際にこれを実現できている企業は少ない。日経リサーチが実施したアンケートをみても、CS調査をもとに営業活動を行うことができている企業は2割程度に留まっている。
CS調査を営業活動に活用できない問題がなぜ発生しているのか。
この問題を解決するためにはどのようにすればよいか。
これを課題について解説するセミナーを、8月7日に実施した。本コラムでは、参加者からいただいた質問に対する回答を掲載する。
ウェビナーの内容(抜粋)は下記の通り。
・CS調査をもとに営業活動を行うことができている企業は2割に留まる
・そのボトルネックを解消するための課題は3点「調査設計の課題」「目的設定の課題」「マネジメントの課題」
・「調査設計の課題」解決のポイントは、必要なアウトプットからの逆算
・「目的設定の課題」解決のポイントは問題が発生する前に予兆を捉えること
・「マネジメントの課題」解決のポイントは複数の部署・担当での役割分担と相互管理があること
ウェビナー資料から:CS調査を営業活動の成果に結びつけられないボトルネック
質問の具体的内容と回答(質問内容は、要約をさせていただいています)
Q1 ニッチな市場で事業を展開しているためCS調査の回答者数が少なく、傾向分析が難しいと感じているがどうすればよいか
A1
①CS調査では回答者数が小さくてもそのまま読み取り、課題を認識すればよい。回答者数が小さいことで発生する「サンプル誤差」*は、「判断を誤ってはいけないケース」で用いるべき考え方。調査でわかるのは問題が発生している可能性を示唆する「仮説」であり、回答者数が少なくてもこの仮説を変える必要はない。
②インタビュー調査で、定性的に課題を把握することも1つのやり方。第三者にインタビューを委託することで、営業担当者には直接話せない本音を聞き出すことができる。
Q2 顧客が親会社など関係性が近い場合でも、アンケートで評価や満足度を取得して、その結果をもとに改善活動をするのは正しいか
A2 無理な要求があった場合に断れる関係性があれば、このやり方で問題ない。しかし、聴取した要望を断れない可能性があれば、具体的な要望や意見の聴取はアンケート調査では行わずに、満足度など選択式の調査による聴取にとどめ、具体的な意見聴取は対面でインタビューを行うなど、工夫をすることが好ましい。
Q3 調査結果やその後のCS活動を全社に認識してもらうにはどうすればよいか
A3 「受け取り手が知りたい情報を伝えること」が大事だが、「立場によって知りたい情報は異なる」ため、対応すべきことは「相手によって伝える内容や伝え方を変えること」となる。全社に対して一律な内容を報告しても、全員に自分事として受け取ってもらうことは難しい。
例えば、経営陣が知りたいことは分析の詳細ではなく「経営目標に対する達成度」「業績との関連性」「問題解決のための具体策」などとなる。「調査結果から言えること」「次のアクション」などに重点を置いた説明が好ましい。これに対して、現場が知りたいことは「自分のお客様の評価」で、それぞれの部門単位にブレイクダウンしたレポートやフィードバックを行うことで関心や理解が得られるようになる。
Q4 高い回答率が得られる方法を教えてほしい
A4 回答率は複合的な要因で決まっており、何かひとつの施策であがるものではない。回答率を決める要素は次の通り。なお、日経リサーチが受託している法人を対象としたCS調査の回答率は平均40~50%程度となっている。
*CS調査におけるサンプル誤差
サンプル調査(対象者全員を対象とせず、一部の人を抽出して行った調査)で、その対象者の選ばれ方の偶然性に伴う誤差。例えば、回答者が100人程度の場合、アンケート調査結果の集計は実態と比較して最大10ポイント程度の誤差がある可能性があると計算できる。
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