カブシキガイシャ ニッポンのお悩みデータベース｜サイバー攻撃に表面的なSDGs、パワハラ・フキハラ…企業のリスクはどこに？ ビジネスパーソン調査結果を読み解く

　日経リサーチは、ビジネスパーソン3,008名に「仕事上の困りごと」を調査した。

　本コラムでは、提示した16の困りごとの中で、経営を維持する上で特に重要な「経営判断・業務上の意思決定」「セキュリティ・リスクマネジメント」「法規制・コンプライアンス遵守」「社会貢献・環境保全」について、自由回答で聴取した具体的な悩み・課題を紹介する。

経営判断・業務上の意思決定

　「経営判断・業務上の意思決定」を困りごととして挙げたのは、ビジネスパーソン全体では9位（25.6％）だった。役職別では経営者本人よりも、役員・本部長・部長クラスが困りごととして挙げた割合が高かった。

　経営者は、将来を見据えた判断の難しさについて言及する声が多かった。一方、役員・本部長・部長クラスでは、時間やリソースが限られる中、経営者を含めた複数の関係者を考慮した判断が求められるなど、参謀役として悩みが多い。課長クラス以下では、経営層の判断軸やプロセスが正しく伝わらないことで、「先行きが暗い」「挑戦できない」といったコメントもあった。

セキュリティ・リスクマネジメント

　KADOKAWAへのサイバー攻撃などの事例をきっかけに、自社を心配するコメントが目立った。同事例はサービス復旧まで2か月を要したため、システム部門以外のビジネスパーソンにも大きなインパクトを与えたようだ。BCP（事業継続計画）にセキュリティマネジメントの項目を追加したという声もあった。

　このような背景もあり、社員のリテラシー底上げ、関係先での漏洩リスクなどを最小限に抑えることへのニーズは大きい。ただし、リスクとコストのバランスに言及する声もあり、優先度や重要度などをもとに、必要なサービスを選ぶ基準はより厳しくなりそうだ。

法規制・コンプライアンス遵守

　社員間のハラスメントについてのコメントが目立った。男女・世代間で意識の差が見られ、ハラスメントを「受けている」と感じているのはほとんどが女性だった。「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ（マタニティハラスメント）」「フキハラ（不機嫌ハラスメント）」など内容は多岐にわたる。

　さらに、相談窓口が機能していないという指摘もあった。「女性活躍」の推進と同時に、ハラスメントにあった人を守る仕組み、働く人全体の意識変化も急務だ。

社会貢献・環境保全

　ビジネスパーソン全体では16位（10.6％）と最も低いものの、特に卸売・製造業などを中心に、本業の利益のための行動が、環境保全とは相反するジレンマを抱えていた。今後、ビジネスモデルの見直しなど大きな変革が求められる可能性が大きい。

　また、環境保全に注力したい一方、製品自体のコスト増、顧客に価値を浸透させるためのコスト増など、企業にとってはハードルが高い。数値化や取り組む意義を明確化する難しさもあり、どのようなプロセスで進めるべきかのサポートにはニーズがありそうだ。

　現状は価格志向の消費者が多いが、企業や商品選びの基準がどう変化していくかを捉える力も必要になる。