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顧客満足度を高めるには?顧客理解を深める分析ツールKeyExplorerによるJCSIデータ分析事例のご紹介 生命保険編(後編)

CS調査の活用について、お悩みの方も多いのではないだろうか。今回は、日本最大級の顧客満足度調査「JCSI」の調査データについて、日経リサーチ独自の“データ&テキスト“マイニングツール「KeyExplorer」を用いた分析をご紹介する。

前編では生命保険の満足度によって、4つの層の特徴を分析した。

後編では前編の分析から出てきた下記の2つの深掘りのポイントについてみていく。
①満足高層では良い点のコメントで「電話」が注目される。「電話」と記した人から満足度強化の施策の方向性を探っていく。
②満足低層では解約が多かった。解約時に何が起きているのか、特に担当者への不満が大きそうだが、解約発生時の状況から満足低層の満足度改善の施策の方向性を探索する。

満足度が高い層で、良い点の自由回答に「電話」と記した人に注目

今回はまず、満足度が高い層で、良い点の自由回答に「電話」と記した人に注目し、その人たちが保険会社に対してどんな気持ちを持っているのか、また、「電話」と記した原文にも当ることで、探索していきたい。

P22
満足度が高い層で、かつ「電話」と自由回答に記した人が、保険会社への30余りの評価項目のうち7段階評価で一番高い「非常に当てはまる」と回答した傾向を、他の層に比べて特徴的になっているか計算した。それを特徴量といい、特徴量が高い順に上位15項目をみてみると、「わからないことや困ったときに、適切に対応」や「わかりやすい」「スムーズ」「納得できる」「すぐに対応」「適切な提案・アドバイス」といったところが特徴的なことがわかる。

さらに自由回答の原文に当たってみると、2つの気づきが得られた。
ひとつめは、「分からないことを聞いたらとても丁寧」や「より良い契約内容にできることをわざわざ」など、引っかかりの解消プラスもう1歩進んで顧客の立場で提案・アドバイスまで対応している。
2つめは、「書類の送付だけでなく急ぎならネットでの手続きを勧めて」とあるように、電話だけでなくネットや書面の併用で利便性を向上させていることがわかる。

まとめると、お客様の引っかかりへの理解と適切な対応、分かりやすさ、提案・アドバイス、スムーズさ、そして電話・ネット・書面の併用などがポイントになっている。

 

満足低層で多い解約時に何が起きているのか?

続いて満足度が低い層を深掘りしていく。
満足低層でかつ解約の手続きをした人が、保険会社に対してどんな気持ちなのか、および、自由回答4問で深掘りしていく。

P27
満足低層で保険を解約した人の保険会社に対する評価の中で、表中の三角印のついた項目は、肯定文ではあるが、実際は7段階評価で「全く当てはまらない」と否定的に回答した傾向が他の層に比べて特徴的な項目で、上位の項目を見た。
青字がポイントだが、「事故やトラブルに遭った利用者」や「どんな時間でも連絡」「アフターケアの体制」「保険商品自体に満足」「要求にすぐに対応」「必要な情報が把握」「提案・アドバイス」「保険の内容」「接客態度・姿勢」「担当者の対応に安心」といったことが全くあてはまらないことになる。
事故やトラブル時にどれだけ助けてくれるかが評価を分けるポイントであり、まさにその時に保険内容への不満が出やすいのだろう。

さらに、満足低層の解約者の自由回答4問をワードクラウドにした。この中で「対応」と「担当者」が注目されるので、そこを深掘りしてみた。
「対応」を深掘りした結果、「聞いたことが、後になって話が違っていた」のように良くない方向に話が変わると不満になりやすいようだ。
「担当者」については、「担当者が頻繁に代わりこちらの情報も伝わってなく何度も同じやり取り」といった具合で、要するに担当者の交代・引き継ぎ時に問題が発生しやすいことが分かる。
ちなみに、満足中層②の自由回答で悪い点に「担当者」と記された原文を見ると、ほぼ全てが交代に伴う問題だった。やはり担当者の交代が問題としては大きいようだ。

まとめると、トラブル時にどれだけ助けてくれるか、“話”が途中で変わらないこと、また、担当者の交代・引き継ぎがポイントになるだろう。

分析から見えた施策の方向性

以上の分析から見えた施策の方向性のヒントを5つにまとめた。


①    早さはとても大切である。
  二度手間が発生しないように最初から正しい情報を伝えられるような研修や仕組みが重要で 

  ある。
②    顧客が困った時こそ、真価が問われる。
  困った時のレベルはさまざまだが、お困り事が発生したらピッと感度を上げてお客様のため

  に動く。そういう方向性の研修などが必要ではないか。
③    担当者の交代時の引き継ぎで問題が発生しやすい。
  単体の契約だけでなく、家族を含めた全員の保険契約の理解、やり取りの履歴(特に最近

  の)、定期連絡の頻度ややり方についての顧客の好みの理解、といったものをきちんと引き

  継ぐ仕組みが重要である。
④    さまざまな接点の連携プレー。
  営業担当者だけでなく、電話やネットを組み合わせた連携プレーをどう実現させ、どうスム

  ーズにやっていくか。
⑤    お客様の立場で、さらに一歩踏み込んだ提案・アドバイスができること。
  これはグイっとギアが上がるが、より良い契約内容やお金について漏れがないかを確認する

  能力、分からないことを正確に丁寧に説明できる、といったことがプロさを感じさせるわけ

  で、これが一段上がったところで目指される姿であろう。

顧客の解像度を上げて理解したい、CS向上のため何か施策につげたいといった考えや課題をお持ちの方は、ぜひ参考にしていただければ幸いである。

当社はJCSIの利用推進パートナーとしてレポートなどを販売するだけでなく、多数のCS調査のカスタマイズ調査を企画・設計している。顧客体験価値・満足度の向上でお悩みの方は、お気軽にご相談いただきたい。

顧客満足度を高めるには?顧客理解を深める分析ツールKeyExplorerによるJCSIデータ分析事例のご紹介 生命保険編(前編)はこちら→

 

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