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ヒアリングだけでは競争力を維持できない? BtoB企業に顧客満足度調査が必要な理由とは

BtoB企業にとって、顧客満足度調査は想像以上に重要である。なぜなら、少数の重要顧客との長期的な関係維持がビジネスの成否を左右するからだ。しかし、多くのBtoB企業は営業担当者のヒアリングに頼りがちである。本コラムでは、なぜそれだけでは不十分なのか、どのように効果的な顧客満足度調査を実施すべきか、そしてそれがいかに競争力の維持につながるのかを解説する。顧客の声を戦略的に活用し、ビジネスを成長させたいすべての企業関係者必読の内容である。

1. BtoB企業でも顧客満足度調査は重要なのか

顧客満足度調査と聞くと、どのような調査を思い浮かべるだろうか。
消費者向けのビジネスを行う企業では、顧客満足度調査は広く行われている。例えば飲食店の机に置いてある感想はがき、レシートに記載されたアンケート案内などを見たことがある人も多いだろう。
あらゆる店舗や製品で似たようなことが行われているところを見ると、消費者向け企業では、顧客のフィードバックを収集しサービスや製品の改善を行うことは競争力の維持、向上のために非常に重要という考えが深く根付いているのだろう。
ただ、顧客のフィードバックをもとに改善することは実は消費者向けビジネス以上にBtoB(対企業)のビジネスにおいて非常に重要だ。

BtoBのビジネスはBtoCのビジネスと比べて、次のような特徴があるといわれている。


①顧客との関係が長期的なものになることが多い
②少数の顧客との大規模な取引が行われる


つまり、少数の重要な顧客との関係性の長期的な維持がビジネスにおいて重要なのだ。
そうなると、顧客のフィードバックを得ることの重要性も必然的に大きくなる。
顧客は限られており、低い満足度による離反は消費者向けのビジネスよりも影響が大きい。
にもかかわらずBtoBのビジネスで顧客満足度調査が行われている事例は必ずしも多くない。

なぜBtoBビジネスで顧客満足度調査が行われないのか、それは顧客との関係が長期にわたることが多く、一定の関係性を持った営業担当がいることで、営業担当者のヒアリングからフィードバックを収集しているからだ。
しかし、ヒアリング依存には限界がある。

 

2. ヒアリングではなぜ不足なのか

営業担当者によるヒアリングは、顧客との直接的な対話を通じてフィードバックを得る貴重な手段だが、以下の4つの観点で限界もある。

①主観的な偏り:営業担当者の個人的な関係性や視点に依存するため、フィードバックが主観的になる可能性がある。営業担当者が顧客との関係を良好に保つために、問題点を過小評価する場合もある。
②情報の断片化:ヒアリングの結果は個別の営業担当者に留まりがちで、全社的な視点での一貫した分析が難しくなる。これにより、組織全体で共有されるべき重要なインサイトが見落とされるリスクがある。
③定量的なデータ不足:ヒアリングでは定性的なフィードバックが主となり、具体的なデータに基づく分析が困難だ。顧客満足度調査を通じて得られる定量的なデータは、トレンドの把握やパフォーマンス評価に不可欠である。
④フィードバックの不完全性:顧客が営業担当者に対して全ての不満や問題点を率直に伝えることは少なく、調査を通じて匿名性を確保することで、より正直なフィードバックを得ることができる。

つまり、ヒアリングだけでは偏った不完全なデータから改善を進めなければならない可能性があるのだ。だが顧客満足度調査の実施によって、これらの問題点を解決することができる。つまり、営業担当者のヒアリングだけでは把握しきれない深層の問題点を明らかにすることができるのだ。

3.定期的な調査こそが改善を推し進める

ここで重要なのは調査を定期的に実施することだ。
調査の実施タイミングにはいくつかのパターンがある。
①接点を持つたびに調査:先述の飲食店のアンケートなどはこのタイプだ。ただ、BtoBにおいては一つひとつの接点以上に長期的な関係性が重要と考えられ、必ずしも最適なタイミングではない。
②問題があった時に調査:売り上げの減少や解約増加など何かうまくいっていない時、問題が起きた時に調査をするタイプだ。ただ、これも最適とは言えない。こういったときに比較対象となるベンチマークが平時の調査結果だからだ。うまくいっているときの調査結果がなければ、これまでと比べてどこに問題があるかという比較を行うことはできない。
③定期的な調査:1年ごとなど定期的に調査するタイプだ。このタイプが最もおすすめのタイミングだ。継続的に調査を続ければ、平時と異常時のデータを兼ね備えることもできるし、施策や新商品の影響も定点で把握することができる。問題が顕在化する前には満足度など顧客の声に変化が起きていることが多い。定点把握によって問題が顕在化し大きくなる前に先回りして察知して対策を打つこともできるだろう。
では、定期的な調査とそれに基づいた改善をどのような体制で実現していけばよいだろうか。

 

4. 顧客満足度調査を誰が実施するか

顧客満足度調査を主導するべきなのは、全社の既存顧客への営業を管轄している部門だろう。顧客満足度調査の主要な目的は重要顧客との長期的な関係の維持改善だ。それであればそのことに責任を持つ部門が推進するのが良いだろう。
ただ、営業部門の仕事はあくまで関係の維持改善であり、そのことによる売り上げの向上だ。であれば、調査の業務よりも、その結果の活用にこそ労力を割くべきといえる。そういったときに、重要なのが、調査会社の活用だ。顧客満足度調査自体を調査会社に依頼する理由は2つある。1つは恣意的な調査設計をさけるため、2つ目は実施ではなく改善策の実施やフォローに人員を割くほうが、調査をすることの効果が高いためだ。調査設計や実施は調査会社のほうが手馴れているが、改善策の実施は外部に委託することはできない。同じ人員を割くならば改善に割くほうが効果的といえるだろう。

 

5. おわりに

BtoB企業においても、長期的に競争力を維持するためには、顧客の声を積極的に取り入れ、継続的な改善を行うことが重要である。営業担当者のヒアリングだけでは見えない問題点を明らかにし、ビジネスの成功につなげるために、効果的な顧客満足度調査を実施する必要がある。

 

 

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