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やっぱりデジタル関連? 銀行の各業態で「利便性」の評価を左右する項目は?

銀行ランキング「消費者調査」2025の結果より

最新版「NIKKEI Financial銀行ランキング」で使用された「消費者調査」のデータ分析コラム。第2回は利用者が各銀行の「利便性」を評価する際に重要な役割を果たしている項目、すなわち評価への寄与度が大きかった項目はどれか、銀行の業態別に分析しました。業態は「都市銀行」、「信託銀行」、「ネット専業銀行」、「地方銀行」の4つで、分析手法はSHAP法(※1)を使用しました。

 

※1 SHAP(SHapley Additive exPlanations)法とは、機械学習モデルでの分析結果を解釈する方法。この消費者調査ではSHAPの数値が大きいほど、「利便性」の評価を変動させる項目である。

地方銀行を除き3つの業態でデジタル項目が上位に

 

以下の図1~4は「利便性」の各項目について、その満足度が「利便性」の評価にどの程度寄与するかを業態別にまとめたものです。数値が大きいほど「利便性」への寄与度が高い項目です。

 

 

1. 都市銀行の「利便性」満足度への寄与度

 

図1の都市銀行は上位3位をデジタル項目が占めており、「残高確認・入出金以外にも、変更手続きや資産運用などアプリ(スマートフォン)で利用できるサービスが多い」が特に高いです。アプリ利用者が増加する中、アプリのサービスの充実ぶりが「利便性」の評価に重要な役割を果たしています。

 

 

2. 信託銀行の「利便性」満足度への寄与度

 

図2の信託銀行は「銀行アプリ(スマートフォン)の認証サービスが使いやすい」の寄与度が圧倒的に高く、都市銀行でも2位だった「インターネットバンキング(パソコン向け)の画面の使いやすさ(見やすさ・分かりやすさ)」が続いています。

 

また、他の業態と比べて「運用相談に特化した店舗、カフェ併設型、商業施設内の小型店など従来の金融機関にはなかった店舗・拠点がある」の寄与度が比較的高いことも特徴です。これは資産運用や相続、不動産など、専門性の高い相談ニーズに対応するため、顧客が気軽に立ち寄れる環境の整備に注力していることが評価の要因となったと考えられます。

 

 

3. ネット専業銀行の「利便性」満足度への寄与度

 

3のネット専業銀行も同様に銀行アプリ(スマートフォン)やインターネットバンキング(パソコン向け)の使いやすさに関する項目が上位に並んでいます。既にデジタル化が進んだ業態なので、使いやすさが評価に寄与していることが分かります。

 

 

4. 地方銀行の「利便性」満足度への寄与度

 

4の地方銀行は全く異なる結果となりました。1位は「ATMが利用しやすい場所にある(提携ATMなどが充実)」、2位は「店舗の立地が良い」で、これにデジタル関連項目が続いています。デジタルより立地に関した項目の寄与度が高いという、地方銀行ならではの結果となりました。

 

このように、地方銀行を除く3つの業態は銀行アプリ(スマートフォン)やインターネットバンキング(パソコン向け)に関連するデジタル項目が上位に来ており、これらが「利便性」の評価を大きく左右していることが分かります。

 

ただ、デジタル項目の中でも、評価の要因となるのがサービスの充実ぶりなのか、使いやすさなのかは業態によって異なっており、今後、さらに利用者の支持を集めるには、より具体的で的を絞った戦略がカギを握りそうです。

 

今回ご紹介した「消費者調査」は個別金融機関の調査結果の提供も可能です。また、SHAP法を用いた分析結果も提供できます。優先事項を明確化し、今後の金融サービス戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

 

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