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求められる「総合的サービス」ー銀行にプラスαの付加価値を

銀行ランキング「消費者調査」2025の結果より

2025年4月にリリースされた最新版「NIKKEI Financial銀行ランキング」に関連し、これまで3回にわたってコラムを掲載しました。最終回となる第4回は今後の金融市場に大きな影響を与えるであろう20~30代に注目し、各銀行の評価における「重視度」と「満足度」の関係について分析しました。

「至急改善」すべきなのは「ポイントの利便性」

以下の図1、2は4分野のうち、「利便性」と「商品サービス」の2分野の重視度×満足度のプロット図です。重視度を横軸に、満足度を縦軸にプロットし、4つの領域に項目を分類することで、現状の課題領域が洗い出せます。 

 

1. 20~30代の「利便性」における重視度×満足度のプロット図


小池さん図1+スクリーンショット 2025-06-18 151451

 

 

プロット図の右下の【至急改善】は重視度が高いが満足度が低い項目が分類されるので、企業目線として特に注視すべき領域です。「利便性」の分野では「ポイントの使いやすさ(提携先が多い)」がここに位置しています。

「商品サービス」でもポイント重視、セキュリティは共通課題

次に2030代の「商品サービス」分野における重視度×満足度の関係を見てみます(図2)。
【至急改善】領域には「パスワード情報を紛失したときの対応サービス」と「ポイント還元率がよい・キャンペーンが豊富」が位置しています。ここでもポイントの使いやすさに関する項目があがっており、20代~30代に欠かせない要素となっていることがうかがえます。

 

図2. 20~30代の「商品サービス」における重視度×満足度のプロット図

 

小池さん図2スクリーンショット 2025-06-18 145159

 

 

ちなみに、「パスワード情報を紛失したときの対応サービス」は世代を問わず、重要度が高いものの、満足度が足りていない傾向にあるため、世代間に共通した課題であると言えます。 

銀行が選ばれるカギは「お金の置き場所」として以外の付加価値

最後に、これからの銀行に求められる在り方やサービスについて考察します。

近年、ネットバンキングは利用者が増加し、満足度も向上していますが、その理由の1つとして、決済サービスやネットショッピング、投資信託などお金の使い道となる幅広いサービスとの連携が考えられます。

また、購買の決済手段として、ここ数年でキャッシュレス決済が一気に主流となった背景としても、ポイント還元などにより付加価値が拡大していることが挙げられます。

更に、投資信託でも近年、ネット銀行を経由した利用者が増加していますが、
各行は運用利回りの良さや手軽さといった部分をそれぞれの強みとして差別化を図っています。

 

現在、銀行が提供する金利は依然として非常に低水準であり、
投資などの自助努力で増やしていかなければならない時代へ突入しています。

 

そんな中で、メインで利用する銀行に選ばれるには、預金先としての利用価値のみならず、
プラスαの価値を提供できることが求められています。
預金・投資・各種金融サービスが同じ導線上にあり、なおかつポイント利用の選択肢が幅広いほど、利用意向や満足度は上がる傾向にあると考えられます。

 

こうした総合的サービスの提供はネット専業銀行が主力としているイメージが強いですが、
どの銀行も各行の特色や強みを生かしたサービスを通じて新たなメリットや付加価値を提供することで、2030代を中心とした顧客の満足度向上につなげることができるのではないでしょうか。

 

今回ご紹介した「消費者調査」は個別金融機関の調査結果の提供も可能です。
銀行全体に対する自行の立ち位置や優先課題、他行との差別化をもたらす要素を明確にし、
今後の金融サービス戦略の策定にお役立ていただければ幸いです。

 

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