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独自ツールで医師を分析(中)製薬企業必読!有効なアプローチとは?

前回のコラムでは、一般内科または糖尿病代謝内分泌科を標榜する医師1010人(うち日本糖尿病学会糖尿病専門医は151名)の調査データについて、日経リサーチ独自の分析ツールであるKeyExplorerの解析結果を紹介した。「第一選択薬は何か」という切り口で解析したところ、集計値から出された医師の特徴は、実際のイメージと齟齬がないことが確認できた。

今回はKeyExplorerを用いて、より実践的にメーカーのターゲット候補となる医師の特徴を分析した事例を3ケース紹介していく。

情報源として「MR」を1位に挙げる医師は?

MRを最も有用な情報源として認識している医師の特徴をみると、特徴量は下記のようになる。

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特徴量をいくつかの要素で区切るとどのような医師かが見えてくる。

  • コミュニケーションに積極的である
    ・MRだけでなくMSともコミュニケーションを積極的に取っている
    ・メーカー側だけでなく、院内でのコミュニケーション能力も高い
  • 情報は積極的に取りに行き、活用する姿勢がある
    ・興味のある情報であればまずは触れることに重点を置いている
    ・学会などの最新情報も自身で取りに行く
    ・最新の治療を実臨床に取り入れる意欲が高い
    ・実際に早く使用する姿勢がある
  • 販路としてはGPセグメントの医師寄りである
    ・医院、診療所、クリニックが多い(開業経験がある)
    ・MSとのコミュニケーションが多く、MSには流通面を期待するGPの特性がある

情報源としてMRに頼る医師に対しては、既存品の処方機会の増加や新規薬剤の早期採用につながることが期待できる。

非専門医で患者数が専門医並みに多い医師の特徴は?

非専門医でありながら専門医と同程度の診療実績がある医師の特徴をみると、以下のようになる。

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先ほどのMRを1位の情報源としている医師に似た傾向もみられるが、それよりも細かな条件で絞り込まれた医師像が浮き彫りになった。

  • 販路としてはGPセグメントの医師寄りであるが、専門医に近い要素を持っている
    ・医院、診療所、クリニックが多い(開業経験がある)

 

上記に加え、専門医に多い傾向の要素がプラスの特徴量となっている
  ・診療科は、糖尿病・代謝内分泌科が多く、留学経験も持つ医師が含まれる
  ・MRやMSだけでなく、学術、MSLとのコミュニケーションも積極的である
  ・役に立った情報として「研究」を挙げている

  • 積極的に情報を入手し、実臨床での活用、また、自ら院内で共有する姿勢がある
    ・情報源はMR、MSだけでなく、学術、MSLも有用な情報源として挙げている
    ・入手した情報を院内で共有・指導に活用している
    ・実臨床では最新治療を取り入れる姿勢がある

 

マイナスの特徴量をみると、以下の結果だった。

C8691_03

特徴量は各調査項目において、分析するセグメントと全体値との差がどの程度大きいか、また、セグメント内で同じ回答だったサンプル数がどの程度いるかを示す指標である。プラスの特徴量が、セグメント内に該当数が多いものであるのに対し、マイナスの特徴量はセグメント内の該当数が少ないものを表す。
上記の結果をみると、HPセグメントや一般内科の医師が挙がっていることから、専門医並みに多くの患者を診察する医師はGPセグメントに多い。非専門医でありながら糖尿病領域への専門性や情報感度が高い特徴が見られる。

ここまでみると、情報源としてMRを1位で挙げた医師はGPセグメントに多いが、その中でも情報感度が高く、実臨床への応用も積極的な医師像が見える。さらにその中でも患者数が多い医師は、専門医に近いバックグラウンドを持っていることがわかる。下記のように、どのような医師がどこにいるのかを大まかにとらえることが可能となる。(下記はイメージであり群の規模は別途算出の必要がある )

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実感としていかがだろうか。
今回の事例は多くの調査が行われている糖尿病領域であるため、当然と思える内容が再現されたと推察されるが、例えば企業として経験が少ない領域や、今後参入したい領域で大まかな医師像をつかむためにKeyExplorerの活用は有用と思われる。

 

患者数は多いが、MRとのコミュニケーションが少ない医師の特徴は?

もう一つの事例として、「患者数は多いが、MRとのコミュニケーションが少ない医師」をみると

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上記のように、

  • 専門医に多い
  • 欧米におけるデータや大規模試験、学会の刊行物などエビデンスを気にしている
  • 検査・患者モニタリングを意識している

という特徴が見られる
MRからの情報よりも、エビデンスや実臨床データを特に意識している層がいることが解析数値から見ることができる。
このようにターゲットとなる要素によって、特徴の大小を数値で把握することが容易である。ただし、回答の設問や回答項目の作りによっては、データ加工や解釈が求められるケースもあるため設問作成段階からKeyExplorerの利用を想定しておくとより精度の高い分析が可能となる。設定さえすれば、集計自体は簡単にでき、すぐに結果を算出できる。すぐに調査結果をもとに検討したいことがある場合などは活用しやすい。

おわりに

今回、KeyExplorerを用いた3つの事例を紹介した。実際に企業がターゲットとするような医師の特徴を1~2条件ではあるが、KeyExplorer で条件設定し、解析を行った。結果としては特徴を捉えられ、各医師の属性的な特徴や意識していることを確認できた。実際に糖尿病治療薬を販売する製薬メーカーの担当者にとっては、これまでの経験とこの解析結果に大きな齟齬はないのではないかと推察する。ツールを用いて数値で確認することで、これまでの取り組みを改めて、見直すことにも活用できそうだ。また、企業として経験が少ない領域や、今後参入したい領域における医師像をつかみ、効果的な訴求をしていくためにKeyExplorerを活用することも有用と思われる。

次回は今回の調査・解析結果のまとめとして、実際の市場調査にどのように生かしていくことができるのかについて解説する。

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