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医師の7割「医療情報はデジタルで」、「MRから」も根強く3割

医療情報提供のDX実態調査、医師約7,000人が回答〈前編〉

日経リサーチは20253月、「医療情報提供のDX実態調査」を実施した。233月に実施した前回調査では、コロナ禍を経てMRから聞き取るのが一般的だった医療情報を、自らデジタルツールを活用して収集する医師の割合が一気に増えていることがわかった。アフターコロナの2年間でさらに「デジタルシフト」は進んでいるのか。結果は、デジタルシフトは進まず、一定数の医師はMRからの情報収集を重視していることがわかった。2年前に比べればDXに対する医師の理解は進んでいるようだが、製薬会社のDXの取り組みは医師が満足できる段階には至っていないといえそうだ。

調査は日経BP運営の「日経メディカルOnline」に登録する医師を対象に実施し、7,023人から回答を得た。

 

■20代は78%が「主にデジタル」

医療情報提供のDX実態調査は新型コロナウイルス感染拡大を機に、継続的に実施してきた。今回調査も、まずは「製薬会社から情報を得る手段」について聞いた。「主にデジタルツールから」との回答が71%で、「主にMRから」の29%と、2023年3月に実施した調査と同じ結果となった。医師の年代別でみると「主にデジタルツール」との回答率は20代で78.5%、30代で76.2%と、若い医師ほど高い。

 

 

デジタルシフトはコロナ禍でMRの医療機関訪問が規制されたことを受けて一気に進んだ。「主にデジタルツールから」の回答の推移をみると、20218月調査は28%にとどまっていたのが、20233月調査で71%に拡大している。コロナ禍で製薬企業がデジタルツールを活用した情報提供を強化した結果だろう。MRの医療機関訪問がコロナ前のように可能になった現在でも、MR依存が再び高まることはないが、3割の医師はデジタルツールの利活用に何らかの不満や課題を感じているようだ。

 

■DX進んでいる企業=「わからない」との回答減り「ない」との回答増加

DXの取り組みが評価できる製薬会社」についても聞いた。最も多い回答は「わからない」が37%、「進んでいる会社はない」が19%で続いた。2023年3月時点の調査では「わからない」との回答が44%、今回調査では7ポイント減少した。一方、「進んでいる会社はない」との回答は14%で、今回は5ポイント上昇した。

医師のDXに対する理解が徐々に進み、「わからない」は減少したが、結果として「進んでいる会社はない」が増加したといえるだろう。

 

そのような背景はあるが、DXの取り組みが評価できる製薬会社ランキングを見てみると、一位は第一三共で、武田薬品工業、ファイザーが続いた。23年調査と順位は入れ替わったが、上位3社は同じだった。ただ首位の第一三共でも回答率は4%にとどまり、前回調査と同様、「どんぐりの背比べ」の状態で、医師を満足させる取り組みができている企業はない、といえる。その前提で前回調査との回答率の増減を見てみると、5位の日本イーライリリーが0.8ポイント上昇し、4位のアストラゼネカと1位の第一三共が0.6ポイント上昇した。一方、前回首位だったファイザーが1.3ポイント下落し、MSD0.8ポイントの下落で順位も4位から8位に下げた。

 

 

診療科別に医師の評価を見てみると、全体で首位だった第一三共は脳神経外科、整形外科などでの評価が高かった。泌尿器内科ではアステラス製薬、耳鼻咽喉科と皮膚科ではサノフィの評価が高かった。

 

コラム後編では、医師が製薬業界のDXの取り組みに対して、どのような課題を感じ、どのような期待を持っているのかを探っていく。

 

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