労働環境、やりがいに関する4ヵ国ビジネスパーソン調査
日経リサーチは日本、米国、中国、タイのビジネスパーソンを対象に、各国の労働環境、従業員のやりがいや成長実感について調査した。「成長実感」や「やりがい」、「キャリア自律」などについて海外3カ国の60~80%がポジティブな回答をしたのに対し、日本のポジティブ回答は30~40%にとどまった。「休暇を取得しやすい」は3カ国の30%前後に対し、日本は51%と高い回答だった。働き方改革に一定の成果がみられるものの、施策の浸透や運用の面で課題があることが浮き彫りになった。
結果概要:働きやすい日本、仕事に熱中する海外
海外3ヵ国と比較し、日本は休みやすい環境ができている
4ヵ国で比較し、日本が良好だったのが「休暇を取得しやすい雰囲気」だ。海外3ヵ国のポジティブ回答割合が30%前後なのに対し、日本は51%と過半数を占めた。
日本企業では、従業員が「行動」に至らず、革新に向けた動きもしづらい
調査項目に、従業員の行動とその成果を測る5設問がある。日本は、「あなたは仕事を通じて成長を実感している」が40%台で、他は20~30%台であった。5設問とも、海外3ヵ国はポジティブ回答割合が60~80%台。日本は、施策の浸透・運用でつまずき、従業員の行動変容を促せていない可能性がある。
戦略実現面の評価も低い。日本は、「自社の意思決定のスピードは早い(24.8%)」「経営トップは、リスクを恐れずチャレンジすることを奨励している(31.7%)」の評価が低い。
日本は、仕事の喜び・楽しみや、成長を感じている人が少ない
個人視点では、「あなたは仕事の意義・やりがい・働きがいを感じている(44.3%)」は4割がポジティブな回答をしたが、海外3カ国と比べると20%以上の開きがある。
成長実感も低く、「あなたは自律的にキャリアを構築できている(33.6%)」「今の仕事を続ければ、どの会社に移っても通用するだけの能力やスキルが得られる(31.1%)」のポジティブ回答割合は、他国と30%以上の差がある。
日本・属性別の傾向
業種:「卸売」や「小売」「医療・医療サービス」の評価が低い
業種別に比較すると、「卸売」や「小売」、「医療・医療サービス」などは、ポジティブ回答割合が30%以下の項目が多く、評価が低かった。また、「卸売」や「小売」は、「あなたは自律的にキャリアを構築できている」「今の仕事を続ければ、どの会社に移っても通用するだけの能力やスキルが得られる」などキャリア形成に関する項目でもポジティブ回答割合が30%以下と低かった。
年代:30~50代の中堅・ミドル層で評価が低い
年代別に見ると、全体的に20代・60代の結果が良く、30~50 代が低調。30~50代は「仕事の意義・やりがい・働きがい」を感じている割合が40%ほど。「戦略実現に向けた能力発揮ができている」をはじめ低評価の項目が多い。
役職:部長クラス以上は総じて評価が高い
役職別では、部長以上と課長以下で傾向が分かれた。「課長クラス」「主任/係長クラス」「一般社員」は、「あなたは日々の仕事に喜びや楽しみを感じている」「会社の戦略実現に向けて、あなたは十分能力を発揮できている」にポジティブに回答した割合は、30%台にとどまる。
まとめ
調査結果から、日本は安心して働ける環境がある一方、従業員のエンゲージメントや成長実感が低いことが見えてきた。どれだけ優秀な人材がそろっていても、エンゲージメントが低いと、発揮されるパフォーマンスも下がってしまう。人的資本を最大化するためにも、働きやすさ“だけ”の組織になっていないかを確認したい。
調査概要
調査手法 | インターネット調査 |
調査対象 | 日本国内で従業員規模100人以上の企業にお勤めの正社員、公務員/団体職員(正規職員)、派遣/契約社員。及び、アメリカ、中国、タイ在住の正社員、公務員/団体職員(正規職員)、派遣/契約社員。 |
有効回答 | 33,298人(日本30,371人、アメリカ1,024人、中国894人、タイ1,009人) |
調査時期 |
2024年11月18日~2024年11月29日:日本 |
調査内容 |
個々人のやりがい・働きがい、成長実感。 所属企業の人的資本経営の取り組み状況など |
※本レポートは、民間企業に勤める正社員(日本28,288人、アメリカ825人、中国613人、タイ897人)に絞って集計した結果です。また、日本は労働力調査の正規職員・社員の性・年代別割合 にあわせてウェイトをかけて集計しています。
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