医師に聞く 製薬会社ブランド評価調査(1) がん領域で光る中外製薬、血液がんは3社拮抗
表1 領域別上位企業
日経リサーチは日経BP社の日経メディカル Onlineパネルを利用し、今年9月にがん領域(肺がん、乳がん、血液がん)の医師に対して、企業のブランド力について調査を行った。
ブランド力は①自分必要度②企業優位性③MRパートナー度(治療のパートナー)④信頼度⑤推奨意向をそれぞれ20点満点とし、合計点数が高い企業はブランド力があると定義<MBI(Medical Brand Index)>した。この5項目の評価合計が高ければ高いほど、医師がその企業を「自分にとって特別な存在である」と認識していると考えられる。
3つのがん領域のトップ3企業を見ると、すべて中外製薬が顔を出している。中外はがん領域ではオールラウンドで活動しているので、医師からの評価も高くなっているようである。
それでは、この3領域の中でほぼ三つ巴となっている血液がん分野にフォーカスして評価を見ていく。
製品に加え、情報提供評価が高いセルジーン
表2 3社のイメージ比較
中外製薬、ノバルティスファーマ、そして昨年11月にブリストル・マイヤーズスクイブに買収されたセルジーンの個別評価は表2のとおり。総合力はほぼ同レベルでも、個別評価では特徴が表れている。
なかでも注目したいのが「セルジーン」である。上位2社とはスコアで若干差をつけられているが、「差別化が明確な製品を提供している」「利便性の高い製品を提供している」というマーケット優位な製品評価に加え、情報提供活動についても「最新の情報」や「エビデンスに基づいた正確な情報」の提供という、医師が製品を使うにあたって重要な項目の評価が高い。これは、がん領域に特化したビジネスを展開し、レジメンの戦略が非常に明確な「セルジーンらしさ」が十分に理解されていることの証であると考える。
中外製薬は3社の中で1位項目が9つと最も多く(表2)、特に「製品の品質が高い」がトップなのが目に付く。さらに「経営が堅実である」「患者の視点を持っている」「地域連携や病診・病病連携に役立っている」など企業活動に対する評価も高く、がん領域全般で活動していることの強みが反映されているようだ。
一方、ノバルティスファーマは「優秀な製品を持っている」「研究開発力がある」が高く、企業としての開発力の高さが他社との差別化の源泉になっている。
それではこのブランド評価について、MRの活動はどのように効いているのだろうか。また、ウィズコロナの時代において、医師はどのような情報源を使って、必要な情報を取りに行っているのか、企業側は顧客に価値ある情報をどのような手段で伝えるべきなのか、といった点を次回のコラムで見ていくこととする。
(ヘルスケアリサーチ担当)
次回は12/2(水)公開予定です。
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