Report

コンプライアンス研修実施のポイントを解説。より効果のある研修のあり方とは

安定した事業経営にとって、社内のコンプライアンス意識の浸透や知識向上は必須である。それは、コンプライアンスの推進において、主役は従業員一人ひとりであるからだ。効果的なコンプライアンス研修を実施するには、計画段階から研修目的を明確にして設計することが肝心だ。本記事では、社内でのコンプライアンス研修を実施・計画するうえで重要なポイントを紹介する。従来の研修にマンネリと感じる人や、手応えを感じていない人は、ぜひ参考にしてほしい。

よくあるコンプライアンス研修のあり方

多くの企業が実施し、コロナ禍で主流となったコンプライアンス研修のやり方に、パソコン、タブレット、スマートフォンなどを使いインターネットを介して学習する「eラーニング」がある。いつでも、どこでも、何度でも、自分のペースで学べることは利点だが、マイペースでの受講が可能ゆえ、臨場感は薄く、受講者のモチベーションを引き出すのは難しい。
 
「講師を招いて行う集団研修」もある。講師のもつ専門的な情報や時事ネタを端的に得て、社内にはないノウハウを知ることができる。一方で、講師の人柄や力量に左右される面が大きく、人選が難しいうえ、人気講師ほど大きな費用が必要になる。また、一方的に話を聞くことが多いため、社員の腹落ちができていないケースも見られる。
 
「社員が行う集団研修」もある。講師となる人も社員である場合、当然、社内の事情に通じているので、一般論で語らず自社の業務に落とし込んだり、社風にあった内容で研修を構成することができる。しかし毎回同じような内容となりがちで、せっかくの研修がマンネリと受け取られてしまうことが多い。それを払拭しようとすれば、コンプライアンス部門担当者の事前の準備と事後の検証に、多くの手間をかけることになる。

「知識を得る」研修で陥りやすいワナ

eラーニングか集団研修かに関わらず、多くの研修では、ホラーストーリーを踏まえて、そうならないための知識を身につける、という構成をとる。ここでのホラーストーリーとは、不正が引き起こす最悪の事態を想定して、聞く人の不安をあおることである。
 
こうしたネガティブな起点に立つと、コンプライアンスは「ビジネスの流れを阻む、面倒なもの」に陥ってしまう。「不正はするな」と戒めるのではなく、「正しいことをしよう」と促す「エモーショナルコンプライアンス」の考えに則れば、コンプライアンスとは「ビジネスを支える、やりがいのあるもの」であるべきなのに。
 
そして、いくら研修で知識を身に付けても、実際の行動が伴わなければコンプライアンスが根付いたとはいえない。研修をするからには、主体的に正しいことに取り組んでいける姿勢を目指さなければならないはずだ。さて、みなさんの研修はうまく行われているだろうか。「研修の実施」がゴールになっていないだろうか。

「意識を変える」研修ワークショップとは

従業員に対する意識調査は、回答行為そのものが主体的な取り組みとなっている。そしてワークショップもまた、従業員に主体的にコンプライアンス推進に関わってもらう仕掛けが必要だ。上から降ってくる施策に比べ、自らの回答が会社の意思決定に関わっているという意識を持つことができるからだ。

まずは、現場の本音を聞き取り、その結果をレポートとしてまとめる。リスクの高い部署にとっては現状が突きつけられ、いやでも課題が「自分ごと化」される。そのうえで実施する研修ワークショップでは、知識習得で終わらず、主体的に正しく行動することを目指す。

行動心理学に則していえば、意識の上で知識が生かされ、正しい行動につながる。従業員の意識こそが健全な組織風土の土台となる。つまり組織風土を変えるには、従業員の意識の変化が必要なのだ。

新規作成図版

ワークショップでの「知識」の向上は必須だが、「意識を変える」工夫が必要だ。そのためには自分たちが回答した結果を改めて確認し、自覚を持つことが重要となる。忖度していては現状とは違った結果が導き出されてしまうことを自覚すると、調査に対する姿勢や結果に対するコミットメントが変わってくる。

 

結果的に意識が変化し、自分たちの行動が変わり、それが組織風土の改善につながっていくという仕組みだ。
会社としての大きなPDCAと、職場での小さなPDCAの両輪が連動することで、組織風土が改善していく。その原動力としての研修・ワークショップの運営が望ましい。

まとめ

コンプライアンスの考え方を「不正をしない」ことから、「正しく行動する」ことへ。そのために、従来の「知識研修」から「意識研修」へ。従業員の意識の変化が、組織風土の変化につながる。研修が変われば、組織風土はきっと変わってくるだろう。

関連記事

コンプライアンスの強化でお悩みの方は
お気軽にご相談ください

国内外のべ3500社以上の実績と知見を持つ専門チームが
調査設計から施策実行までをサポートします。

「コンプライアンス経営診断プログラム」詳細はこちら
ico_information

課題からお役立ち情報を探す

調査・データ分析に役立つ資料を
ご覧いただけます。

ico_contact

調査の相談・お問い合わせ

調査手法の内容や、
調査・データ分析のお悩みまで気軽に
お問い合わせください。

ico_mail_black

メルマガ登録

企業のリサーチ、データ分析に役立つ情報を
お届けします。