刺さるサステナビリティ活動 ―あなたの会社で発信すべき活動の見分け方―セミナーレポート上編

　本日はどのようなサステナビリティ活動を発信すべきかを中心にお話しする。
　なお、以下の3部構成にてセミナーレポートを用意している。

上編：サステナビリティに関する取り組みの現状と課題
中編：効果的な活動の発信のための必要な要素とは
下編：発信すべき活動は何か、その見分け方とは

サステナビリティに関する取り組みの現状と課題

サステナビリティの重要性
　近年、「SDGs」や「サステナビリティ」といったキーワードが非常に注目を集めている。

　グラフはGoogle トレンドで「SDGs」 という言葉の検索人気度を調べた結果だが、一見して分かる通りここ数年で非常に検索が増えている。更に、企業活動という視点で見ると、企業が取り組むサステナビリティに関する活動も注目を集めていて、ESG投資やサステナブルな サプライチェーンの構築などビジネスへの影響も大きくなっている。ここからさらに細かい内容に入っていくが、本講演では企業が取り組むサステナビリティに関する活動を省略してサステナビリティ活動という名称で説明したい。

SDGsへの貢献を掲げる企業

　まず、当社が実施した日経SDGs経営調査（2022年11月17日日経新聞掲載）の結果のグラフを掲示する。企業として貢献を掲げるSDGs の目標は何かと質問したところ、様々な目標が挙がったが、中でも「働きがいも経済成長も」や「つくる責任つかう責任」などビジネスに関わるものが多かった。それ以外にも「気候変動に具体的な対策を」や「エネルギーをみんなに　そしてクリーンに」など温暖化に関わる項目も多く挙がっている。グラフは茶色が2021年、青が22年のデータだが、見比べると、22年はすべての項目で少しずつスコアが上昇している。企業のSDGsへの取り組みがどんどん進んでいることが、この結果からも見て取れる。

SDGs取り組みの効果

　同じSDGs経営調査の結果から、SDGsに取り組んでいる企業に取り組みが寄与したと考える効果は何か（※）と聞いたところ、8割の企業が「企業イメージ・ブランド力の向上」と答えるなど、社会のために取り組んでいることが実は自社にも良い影響を与えており、そのことを企業が実感していることが結果から分かった。

※非常にプラスに寄与している～非常にマイナスに寄与しているまで5段階尺度に加えて、わからないの選択肢を用意し確認。わからない、無回答と回答した人を除いた合計数のうち、非常にプラスに寄与している、プラスに寄与していると回答した割合をグラフおよび本文に記載

サステナビリティ活動の広報戦略

　実際、こうした自社への効果を期待してサステナビリティ活動を発信する企業も多いようだ。グラフは自社のサステナビリティ推進の関係者に対して、サステナビリティ活動を社内外に発信しているか聞いたものだが、「社内向け」と「顧客向け」に発信しているという回答がそれそれぞれ5割近く、「発信していない」は2割以下の回答になっている。回答者の8割以上が何らかの発信をしているという結果になった。

サステナビリティ活動の目的

　次のグラフは同様の関係者にサステナビリティ活動の目的は何か聞いた結果だが、「企業イメージ・ブランド力向上」が最も高く、続いて「企業の認知向上」や「従業員エンゲージメントの向上」などが挙がってくる。どちらも社内外への発信を通じた効果を目的に活動していることが結果から分かる。
　このように発信によって得られる効果を期待してサステナビリティ活動を発信する一方、発信で得られる効果には課題があることも調査から見えている。

サステナビリティ活動発信における課題

　このグラフは先の関係者にサステナビリティ活動を発信する際の課題は何か聞いた結果である。一番多いのが「発信の効果が感じられない」で、「従業員エンゲージメントの向上に結び付いていない」「企業イメージ・ブランド力向上に結び付いていない」といった回答が続いた。思ったような効果がないという課題が大きく、他にも「発信の予算が少ない」「どのような方法で発信すべきかわからない」など様々な課題が回答された。「課題はない」との回答は1割ほどで、発信はしているが多くの方が何らかの課題を抱えていることが調査から分かった。
　このように皆が発信の効果が感じられないと言っているのはなぜか。それは効果的な発信のための外部視点での活動評価ができていないからではないか。外部視点での活動評価とは何だと思われるかも知れないので、その点を次に説明したい。