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選定療養制度改正の影響は?【コラム2】「後発医薬品の利用促進」患者の認知進まず

 

日経リサーチは2024年10月に開始した長期収載品の選定療養制度の影響について、薬剤師、患者を対象にアンケート調査した。〈コラム1〉では後発医薬品利用促進の効果が出ているものの、薬剤師の業務負担が増えている現状をまとめた。
〈コラム2〉では患者が選定療養制度の導入をどう受け止めているのかを見ていきたい。調査対象は24年10月以降に処方箋をもらい薬局で医薬品を入手した1,000人。なお「子育て層」は本人ではなく、子供に与える医薬品について回答してもらった。

    調査概要

手法  オンライン調査
サンプル数 1,000s。内訳は以下の分類表参照
サンプルソース 弊社提携パネル
調査実施期間  2024年11月28日~12月2日

<分類の詳細>

勤労層   ・65歳未満で3カ月以内に子供を医療機関に連れて行っていない、
または既婚で子供なしか独身
高齢層1 65歳以上で医療費負担は3割。
高齢者2 65歳以上で医療費負担は2割以下。
子育て層 ・医療費助成制度により子供の医療費が無料、
かつ子供の通院が直近3カ月以内にあり

患者の制度認知、「薬剤師から口頭で」「薬局の張り紙」が大半

まず制度そのものを知っているのか聞いた。「知っていた」との回答は23.9%。制度導入前の調査(5.3%)より増えてはいるが、制度の目的や仕組みが国民に十分理解されているとはまだまだ言い難い(グラフ1)。後述の通り、半数超の患者は処方される薬について無関心のため、事前の周知方法に問題があったのではないだろうか。「知っている」と回答した患者はどのように認知したか「経緯」を聞いたところ、「薬剤師の口頭説明」(24.4%)がトップで「薬局の張り紙」(22.7%)が続いた(グラフ2)。薬局・薬剤師が制度普及に貢献していることがわかる。

 

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「選定療養に該当したため後発医薬品へ切り替え」わずか7%

 

 

次の表は現在の薬の選び方を聞いた結果だ。「特に気にしていない」が最も多く、各層50-60%台と半数を超えている。次いで、後発医薬品希望が20-30%台で続く。

 

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厚労省の公表データにあるように、現在の後発医薬品の使用割合は8割を超える。その上で今回の制度導入により薬の選び方に変化があったのかを見てみる。
サンプル数が少ないため上記の子育て層~高齢層2の4層を合算して、患者全体の結果を表示するが、大きな態度変容はなかった。例えば9月に「先発医薬品を希望」と回答していた患者の8割以上は10月以降も先発医薬品の希望を希望している。同様に後発品を希望していた人は制度導入後も後発品希望だし、気にしない人は気にしないままだ。
10月までは先発品を希望していたが、10月から後発品に変えた人は8%だ。態度変容がなく引き続き先発品を希望し続ける患者は81.9%だが、「後発品希望を継続」する患者と「気にしていない」患者は共に90%を超える。80%台と90%台、この差を大きいとみるか、大した差はないとみるかは意見の分かれるところだろう。

 

 

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 また、薬局でもらう医薬品が選定療養に該当しているかを聞いたところ、「該当しているかわかなない」が56.6%と最も多い。「該当していたため後発品に切り替えた」との回答は7.0%、「追加費用を負担して先発品を得た人」は3.2%だった(グラフ3)。

 

 

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ここまでの調査結果をみると、薬剤師の負担が重くなる一方、患者は制度について「知らない」「気にかけていない」が圧倒的に多い。コラム3では、実際にどのような薬剤が後発医薬品への一段のシフトが進み、どのような薬剤が進まなかったのかなど、具体的な事象に迫る。また薬剤師が自由回答で記述した「制度への期待と不満」もまとめて紹介する予定だ。

 

※関連リンク

【コラム1】「後発医薬品の利用促進」一定の効果だが薬剤師の負担増

【コラム3】後発医薬品不足で「安定供給の危機」―曖昧な制度、現場にひずみ

 

 

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