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日経統合ウェルビーイング調査(伊藤版Well-beingスコア)から導き出すウェルビーイングの現在地

ウェルビーイングを高めるためにはどうすればよいか

企業経営のテーマとして「ウェルビーイング経営」が提唱され、従業員のウェルビーイング向上を目的とした活動が各企業で展開されているなか、日経リサーチは2024年7月から「日経統合ウェルビーイング調査(伊藤版Well-beingスコア)」のサービス提供を開始し、自社の立ち位置や課題を明確にするご支援をしています。

 

本コラムでは前編、後編の二部構成にて、国内上場企業の正社員モニター1万人を対象に実施した最新の調査結果の紹介と、ウェルビーイング向上のポイントを解説をしていきます。

 

前編では、調査データをもとに、日本で働く人々のウェルビーイングの「現在地」を紐解いてきました健康経営の浸透により「健康安全」の意識は高まっている一方、組織風土の改革やキャリア自律の推進、そして将来への不安に対する金融リテラシー向上支援などの「経済自立」において、企業が取り組むべき課題はまだ多く残されています 

 

こうした多岐にわたる課題を前に、企業はどのように優先順位をつけ、従業員のウェルビーイングを高めていけばよいのでしょうか。

 

後編となる今回は、ウェルビーイングが高い人・低い人の特徴や、総合的ウェルビーイングへの影響が大きい項目を分析で明らかにしていきながら、ウェルビーイング向上に向けたアプローチを解説していきます。

 

 


 1. ウェルビーイングが高い人・低い人の特徴 

弊社独自の手法である「KeyExplorer分析」を用いて総合的ウェルビーイングが高い人と低い人の特徴量を算出しました。

 

特徴量とは特定の集団(ここではウェルビーイングが高い人・低い人)とそれ以外の集団との差(各項目の回答割合の差)と実数の大きさ(各項目の回答割合の大きさ)を掛け合わせて算出したものです。特徴量が高ければ高い項目ほど、ウェルビーイングが高い人・低い人において特徴的であると認識してください。

 

まず総合的ウェルビーイングが高い人を見ると、以下の特徴があることが分かりました。

 

総合的ウェルビーイングが7点以上の人の特徴ランキング

 

 

一方で総合的ウェルビーイングが低い人の特徴は以下の通りです。 

 

総合的ウェルビーイングが4点以下の人の特徴ランキング

 

 

どちらも健康安全の個別項目が上位に多く見られることから、現時点ではウェルビーイングに関して健康安全に関する項目の重要性が高いと言えます。また組織風土とキャリア自律の項目も健康安全に次いで多く見られます。

 

これらからウェルビーイングを高めるために、まずは土台として健康安全を高め、その後、組織風土やキャリア自律を高めていくという流れがよさそうです。 

 

2. ウェルビーイングへの貢献度が高い項目 

次は総合的ウェルビーイングに対して影響が大きい項目を明らかにしていきます。総合的ウェルビーイングを目的変数とし、SHAP分析と呼ばれる手法で、個別項目ごとの貢献度を算出しました。

 

貢献度が高ければ高いほど総合的ウェルビーイングのスコアを押し上げることに寄与したと言えます。貢献度の高さをランキングにしたものが以下です。

 

ウェルビーイングへの貢献度

 

先ほどの特徴量ランキングと同様、健康安全の項目が目立ちます。加えてキャリア自律と組織風土が次に多いのも同様の傾向です。このことからもやはり、まずは健康安全の項目を向上させ、次にキャリア自律と組織風土を改善していくのがよさそうです。 

 

一方で、初回調査の23年と貢献度のランキングを比べると、キャリア自律の項目である「あなたは仕事を通じて成長を実感している。」「 あなたは仕事に主体的に取り組めている。」が上位に来ていることが分かりました。健康安全に関する取り組みがウェルビーイングにおいて重要なことに変わりはありませんが、近年ではキャリア自律の重要性も増しています。

 

 まとめ:ウェルビーイングを起点とした最適投資 

今回は調査結果を通じて、日本のウェルビーイングの現在地を浮き彫りにしました。全体として認知度や実感スコアは上昇傾向にあり、特に健康安全のスコアは相対的に高く、健康経営への注力は着実に実を結びつつあると言えるでしょう。しかし一方で、組織のサイロ化やキャリアの選択肢の乏しさといった組織風土やキャリア自律の領域には、依然として課題が残されていることも事実です。

 

また、これまで重要視されてきた「健康安全」に加え、成長実感や主体的取り組みといったキャリア自律に関する項目が、ウェルビーイングを押し上げる強力なエンジンになり始めていることも分かりました。

 

これらの結果は、ウェルビーイングという広範なテーマを網羅するフレームワークを用いたからこそ、得られた知見です。多くの企業ではエンゲージメント調査やストレスチェックなど、従業員にかかわる調査が乱立し、それぞれの重要業績評価指標(KPI)を追いかけているという実態ではないでしょうか。しかし、従業員の心身の健康からキャリア、経済的自立までを統合的なフレームワークで測定してこそ、初めて要素間の関係性や真のボトルネックが特定できます。

 

そうして初めて真に投資すべき領域を見極めることができ、経営資源の最適配分を可能にするのではないでしょうか。 

 

 


※協力ゲーム理論の「Shapley値」という概念を機械学習に応用し、予測結果に対して各要素がどの 程度貢献したかを算出する手法。本分析では、総合ウェルビーイングの実感値を「押し上げた(または 押し下げた)要因」を数値化し、その影響力の強さをランキング形式で特定するために用いている。 

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