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企業ブランディングの第一歩はブランド力の客観的な評価から。戦略から施策実施に役立つ調査とは

企業のブランド力を把握するのは難しく、「どんな調査をしたらいいのかわからない」「調査をしてみたものの精度の高いデータなのか不安がある」「客観的なデータになりづらく、社内を説得できない」という声をよく聞く。しかし企業のブランディングにおいて、ブランド力の評価は必須である。本記事では、事業推進に欠かせないブランド力を客観的に調査する必要性について紹介したい。

企業ブランド力の評価とは?

ブランド論の大家といわれるカリフォルニア大学バークレー校のデービッド・A・アーカーが提唱した「ブランド・エクイティ(ブランド資産)」という考え方によれば、ブランド資産は大きく分けて5つの構成要素で成り立つ。すなわちブランド認知、知覚品質、ブランドロイヤリティ、ブランド連想、その他のブランド思想の5つである。ブランド力とは、つまりブランド資産の価値といえる。

 

ブランド力を測るには、アンケートを用いてこれらを総合値で評価する方法と、ブランド・ロイヤルティのみをピックアップして、評価する方法がある。前者は、一般的に「社会」でブランドが知られているかに着目するが、後者は「私」にとってそのブランドはどの程度魅力があって、独自性が高く、有用であるかに着目する。

ブランド力の評価の重要性

ブランド資産とは、土地、建物、設備などの有形資産と違って、特許権、専売権、著作権のような無形資産であるため、その価値を認識しづらいものだ。だから事業にどういった影響をもたらしたか認識することも難しい。

 

このようにブランド資産は曖昧でふわふわした存在であるため、測定の方法がわからず、そもそも調査を行わない、あるいは一部分の効果測定の調査で終わることも起こりがちである。結果として、会社に対して包括的な成果を伝えることができず、ブランド施策の有用性について疑われる事態を引き起こしている状況も見受けられる。

 

こういったことを回避するためにも、ブランド力が会社や事業にどのようなインパクトを与えたのか、数値で把握できる仕組みを組み立てておくことが重要だ。国内でもグローバルでも、「認知」「理解」「共感」「利用意向」などファネルを把握しておくことが第一歩であるといえる。

企業ブランド力の客観的把握でできること・わかること

競合とのブランド比較ができる

競合する会社と比較して自社がどういった価値を提供できているかを把握することができる。数多あるブランドの中で、自社がどのように知覚されているか、どのようなイメージや体験を提供できているかを明らかにすることで、今後のポジショニング戦略に役立てられる。

ブランドターゲットへの効果が把握できる

若年層や潜在顧客など自社がプライオリティのあるターゲットにどういった価値を提供できているかを把握することができる。さらに、そうした客観的なデータをもとに施策の組み立てや見直しをすることができる。

時系列の効果が把握できる

調査を経年で実施していくことで自社や競合他社、ベンチマーク企業のブランディングの状況を時系列で把握することができる。最初は施策の効果がで出ていても、時間の経過とともに環境やターゲットの変化が施策の有効性を弱めていることがある。成功体験にとらわれないデータドリブンな施策を導くことができる。

従業員への浸透度合いがわかる

経営層を含む全社員に対して、ブランド戦略にどの程度関与しているか、意思決定にどの程度影響を与えているか、ブランドに基づく行動ができているかなど、ブランドとの関与浸透度を理解できる。つまりはインナーブランディングの浸透度合いがわかる。

海外への浸透度合いがわかる

企業ブランドが海外でどの程度認知されているか客観的に理解することができる。海外へ事業展開を行う際の戦略立案に役立てることができる。

企業ブランド力の調査手法

日経リサーチでは、3つの観点からブランドを多角的に促える。また、それぞれを構成する評価項目の関係性を把握することにより、企業のブランド価値の構造が「見える」仕組みになっている。

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まず、日経リサーチが独自に開発したPQ(PerceptionQuotient=知覚指数)で「ブランドの総合力」を指標化することで、人々の心の中に蓄積した企業ブランドが持つ求心力を可視化する。PQは「コンシューマー」と「ビジネスパーソン」それぞれについて、下図の5つの評価項目から算出する。

 

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次に「ブランドの浸透レベル」を測定する。企業ブランド浸透の状況を把握することは、ブランド力を評価するベースとなる。「認知度」「理解度」など現在に関する項目と、「購入」「利用意向」など未来に関する項目を測定する。

 

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最後にブランドとの接触・体験から、どんな期待や連想が醸成されているか「企業活動の成果」を測定する。企業ブランドの価値は、さまざまな企業活動によって醸成される。日々の企業活動と関連し、ブランド価値の醸成に影響を与える4つの要素を測定する。

 

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企業ブランド力の調査のポイント

企業のブランド力調査で重要なのは、自社に関わるステークホルダーへ確実にアクセスし、調査を行うことだ。日経リサーチでは国内外の豊富な調査パネルから目的に合わせて対象者をリストアップし、webや郵送でアンケート調査の実施が可能だ。また十分なパネルが確保できない場合はターゲットとなるステークホルダーを直接探し出し、グループインタビュー、デプスインタビューを実施することで、ブランドの浸透度合いを測ることが可能となる。ブランドが目指す「自社らしさ」と現在のブランドの位置とのギャップをステークホルダーへの調査によって正しく把握し、次の施策へすすめられるようにしよう。

リサーチ会社に依頼するメリット

リサーチ会社に調査を依頼するメリットは、思い込みともいえる恣意的な要素を排除して「リサーチ」を行える点にある。具体的なブランド施策で成果が確実に出せる(と思い込んでいる)場合は、施策という結論に向けた調査で構わないかもしれない。しかし、結論ありきで正しい調査ができなくては本末転倒である。自社の現状を正しく把握するためにもリサーチ会社への依頼を検討する必要がある。

スムーズに依頼するための準備

ブランド調査の目的が不明確では調査設計を適切に行えないため、まずブランドの課題を明確にしておくことが大事だ。例えば「顧客にとって安心感のあるブランドとして理解されているか?」「変化に対する先見性のあるブランドとして認知されているか?」など、自社のありたい姿をイメージし、調査の目的を言語化しておく必要がある。また、調査結果をどのように活用していくのか、スケジュールや予算感とあわせて見通しを立てておくことも重要だ。

まとめ

ブランドは無形資産であるがゆえに、つかみどころがなく、客観的な評価が難しい。このため、事業推進にどのように影響したか成果を測ることが難しく、結果として投資対象になりづらい。しかし、商品やサービスが乱立して差別化が難しくなるとともに、SDGsなど企業の存在意義が問われる現在、企業ブランディングの重要性はますます高まっており、これに取り組む企業が増えていることも事実だ。ブランド施策を無駄にしないためにも、まずは自社のブランド価値を客観的に評価してみることからスタートしてみてはいかがだろう。

 

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