首都圏の商業施設集客力ランキング|新宿エリアで20代に人気の施設は?
日経リサーチでは1都3県の商業施設の利用実態を定期的に調査しており、この秋実施した「施設と駅のセンサス」施設編の最新データをご紹介します。
ランキングTOP10は?
まず、集客力(直近3か月以内の来場経験)が高かった商業施設のランキングを見てみましょう。上位5位は、昨年から多少順位が入れ替わっていますが、同じ顔触れです。
1位は「ルミネ新宿」で、昨年から引き続きTOPを維持しています。2位と3位はともに昨年から順位を1つあげた「西武池袋本店」と「渋谷ヒカリエ」でした。続いて新宿の「伊勢丹新宿店」と「ルミネエスト新宿」が4位と5位を占めました。
首都圏利用商業施設集客力ランキングTOP10
※22年は「GRANSTA(グランスタ)」でまとめて聴取。23年は「GRANSTA東京(グランスタ東京)」
「GRANSTA丸の内(グランスタ丸の内)」「GRANSTA八重北(グランスタ八重北)」「GRANSTA八
重洲(グランスタ八重洲)」「GRANROOF GARDEN(グランルーフ ガーデン)」「GRANAGE(グラ
ンアージュ)」の6つに分割して聴取。
新宿の商業施設に注目すると
TOP5についてエリア別でみると新宿の施設が3つランクインしており、都内でも有数の集客エリアであることがわかります。そこで、新宿エリアの商業施設について、どんな人がそれぞれの施設に来ているのか深掘りしてみます。下図は新宿エリアの性年代別の利用状況です(【 】内は全体における順位)。
性年代の観点からみると、まず目につくのは「ルミネ新宿」「ルミネエスト新宿」「NEWoMan新宿」「新宿ミロード」の女性20代以下の高さ、「京王百貨店 新宿店」「髙島屋 新宿店」「小田急百貨店 新宿店(新宿西口ハルク)」の男女50代以上の高さではないでしょうか。前者には若年女性向けのファッションを扱うショップが多く、後者には婦人服を中心として紳士服や宝飾など比較的高級な商品を扱うショップが多いといった特徴が反映されていると考えられます。
これらと対照的なのが、2023年4月に開業した「東急歌舞伎町タワー」です。同施設では男性20代以下の割合が特に高く、男性の来場が半数を超えています。また、誰と行っているかをみると、他の施設では一人で行くのが6割~8割で最多、家族や友人など3人以下の少人数で行くのが1割~2割弱ほどであるのに対し、「東急歌舞伎町タワー」では一人で行くのが42%、少人数で行くのが45%で最多となっています。2階の飲食店街「新宿カブキhall」や3階のゲームセンター等のアミューズメント施設を集めた「namco TOKYO」をはじめとしたエンタメ施設複合タワーとしての側面を持っており、今回の調査の対象とした新宿エリアの他の商業施設にはない特色が、この結果にもあらわれていると解釈できそうです。
一方で、リピート意向(※)をみると、他の施設が7割弱~9割であるものの、「東急歌舞伎町タワー」は50%とやや低い数値となっています。予約などをせず食事やゲームなどで気軽にふらっと立ち寄れる施設が1階~3階に限られているという点で、アパレル店やレストランがほとんどのフロアを占める他の商業施設との違いがあります。また、先にみたように、「東急歌舞伎町タワー」には少人数のグループで、その他の施設には一人で行くことが多いという違いもありました。これらがリピート意向の違いに反映されているのかもしれません。
※「その施設へはまた行きたいと思いますか」に対して、「とても行きたい」または「やや行きたい」と
回答した人の割合
新宿エリアでは、小田急百貨店 新宿店本館の解体(既に工事開始)や新宿ミロードの解体(2025年以降の予定)を含む新宿駅西口地区開発事業のほか、ルミネ新宿や京王百貨店 新宿店の解体を含む新宿駅西南口地区開発事業(仮称)が2040年代まで予定されるなど、街が大きく様変わりします。「施設と駅のセンサス」は定点観測を通して、変わりゆく首都圏の商業施設の変化を追い続けます。
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