BtoBブランディング 競合とのイメージの差を把握するために必要なこととは?
近年、BtoB企業でもブランディングが重要になっています。各企業がブランドステートメントを打ち出すなど目指すべき方向性を明らかにしている一方で、競合と自社のイメージの差が調査でとらえられず、施策の効果がわからないという声も聞こえています。
日経リサーチでは自主調査の結果から、調査対象者をビジネスパーソン全体にした場合と、ビジネスターゲットに絞った場合で、得られる結果が大きく異なることを把握しました。
本稿では上記の調査結果を交えて、BtoB企業の適切な調査設計をご紹介します。
概要
・BtoB企業が競合を含めて調査をした場合、各企業のイメージは似通ったものになるため、うまくいかないことが多い
・BtoBのビジネスにおいてはビジネスターゲットやキーパーソンがどう思っているかを捉えることが重要
・ビジネスターゲットやキーパーソンとそれ以外の結果では差がある
・このため、BtoBのブランド調査では「誰に調査するか」が重要
1.BtoB企業のブランディングはなぜうまくいかないのか
図1は、日本電気(以降NEC)と富士通について、「企業や製品・サービスについて、どのような印象・評価を持っているか」という質問をした結果を並べたものです。
図1.NECと富士通のブランドイメージ
2社を比べると、傾向としてはほとんど同じ傾向で、「一流である」「優れた技術・ノウハウがある」など、大手IT企業に多く見られる評価が高く出ています。
このように、BtoB企業が競合を含めて調査を行った場合、そのイメージは非常に似通ったものになることが多くあります。
2.BtoB企業に必要なブランド力とその把握のポイント
図1の調査結果は、日経ID会員のビジネスパーソン全体に調査した結果でした。ここに、改善のポイントがあります。
図2は、調査対象をどのように設定すべきかを示した図です。
図2.調査対象者の考え方
一般的にBtoBのビジネスでは、ビジネスのターゲットはビジネスパーソンの一部です。さらに、その中で新しい商品・サービス導入を進める力のある人(=ビジネスリーダー)や実際に検討に関与する人は、さらに限定されたごく一部に限られます。
BtoBのビジネスにおいては、このキーパーソンをどう押さえるかが非常に重要です。
これはブランディングでも同様で、ビジネス上の成果を目的としてブランディングを行うのであれば、このキーパーソンを対象にすることが大切です。
そのため、調査でもビジネスターゲットやキーパーソンがどう思っているかという点を把握することが肝要です。
さらに言えば、ビジネスターゲットやキーパーソンとそれ以外の人では、ブランドイメージが異なるということが日経リサーチの自主調査からわかっています。
このことから、競合と比較する場合にも、ビジネスターゲットやキーパーソンの結果を比較することで、より正確にブランド力の差を把握することができるといえます。
3.企業間比較でみるキーパーソンに対する調査
図3は、NECと富士通のブランドイメージついて、2社の差に注目して、キーパーソンとキーパーソン以外に分けて表したものです。
ここではキーパーソンは、各社の提供する事業領域の検討関与者として定義しています。
図3.ターゲット・非ターゲット別にみる、2社のイメージの差
青がキーパーソンの層の回答、オレンジはキーパーソン以外の層の回答で、それぞれ、(NECのイメージのスコア)-(富士通のイメージのスコア)で棒グラフを作成しています。0より大きければNECで強いイメージ、0より小さければ富士通で強いイメージ、棒グラフの高さがその差の大きさを表しているという見方です。
オレンジのキーパーソン以外の層を見ると、「一流である」「優れた技術・ノウハウがある」でNECの方がそのイメージが強く、「顧客ニーズへの対応に熱心である」「他企業との連携力がある」などでは富士通の方がイメージが強いという結果になっています。
一方で、青のキーパーソンの層を見ると、キーパーソン以外の層より大きく、「一流である」「優れた技術・ノウハウがある」の差が出ており、NECではこれらのイメージが持たれていることがわかります。また、「他企業との連携力がある」はキーパーソンとそれ以外の層で差がほとんどなくなり、「革新的である」はキーパーソン以外の層では差がなかったにもかかわらず、キーパーソンの層では富士通の方がそのイメージを持たれていることが確認できます。
このように、キーパーソンとそれ以外の調査結果を比べると、キーパーソンの回答では、競合との差がより明確に出たり、場合によってはあった差がなくなったり、なかった差が現れたりすることがわかります。
BtoBブランド調査の調査設計の考え方
ここまで見てきたように、ブランディングはビジネスパーソン全体ではなく、ビジネスターゲットやキーパーソンに行うことが重要で、同様に調査においてもビジネスターゲットやキーパーソンを対象に調査を行うことで、競合との差をより明確にすることができることがわかりました。
BtoBのブランド調査では、「誰に調査すべきか」ということを慎重に検討し、より重要な対象に絞り込んで調査を行うことが必要です。
調査概要【BtoBブランドに関する調査】
実施日: 2022年12月12日~2022年12月14日 対象者: 自社の企業・商品・サービスのブランディングに関わっている方(日経ID会員) 回答者数: 1,867人 調査手法: インターネット調査
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