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学生・若手ビジネスパーソンが着目するBtoB企業の強みとは -クボタは「スマート農業」、村田製作所は「コンデンサ」

 29歳以下の日経ID会員を対象にした仕事観に関する調査結果より、学生や若手ビジネスパーソンが仕事や就職意向先に求めることを先のコラムで紹介したが、仕事観以外に聴取した設問で興味深い結果が出ている。いくつかを断片的に紹介したい。

 調査は2023年4月3~6日、日経電子版の購読などに必要な「日経ID」の登録者のうち、29歳以下の方を対象にオンラインで実施した。大学生や大学院生など学生178人、会社員や公務員として勤務する社会人176人、計354人から回答を得た。

1.就職希望業種1位は情報処理・SI・ソフトウェア、学生では金融がトップに

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 「あなたが就職したいと思う業種は何か」。この質問に対して、学生で最も多かったのが金融(28%)だった。銀行や証券など既存の金融機関だけでなく、さまざまな形の金融業が広がっており、未知の可能性に期待する人も多いとみられる。学生の中ではコンサル・会計・法律関連も26%と高く、金融についで2番目となった。

 社会人では、情報処理・SI・ソフトウェア(28%)がトップとなり、次いで金融(21%)、コンサル・会計・法律関連(21%)が並んだ。

2.BtoB企業の認知 -情報に敏感な若年層が知っている会社、知らない会社

 

 一般に消費者向けの商品やサービスが少ないBtoB企業ほど、若い層での認知度が低いとされるが、日ごろ、日経電子版などを読んでいる日経ID会員の場合はどうだろうか。今回の調査では、パナソニック、キーエンス、NEC、クボタ、ニデックなど、BtoBの取引が多い日本の代表的企業を取り上げ、それぞれの企業に対する認知やイメージをたずねた。

 

 

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 一般消費者向けの商品も手掛けるパナソニックは、「たいへんよく知っている」「よく知っている」「知っている」「名前だけ知っている」を合わせた認知の合計が99%で、「まったく知らない」と答えたのは1%だった。

 一方、工場現場で使うセンサーなどを手掛けるBtoB企業のキーエンスも、認知の合計が91%と高く、「まったく知らない」と答えたのは9%にとどまった。学生だけの集計でも、認知の合計は88%に達した。

 製品やサービスは一般にはなじみが薄いが、高収益で若いころから高い給与を得られる会社としてメディアなどで取り上げられることも多く、情報に敏感な日経ID会員の若い層では比較的よく知られているようだ。調査の時期や方法が違うため単純比較はできないが、日経リサーチが別途実施した調査では、一般個人のキーエンスの認知度は51%だった。

 ほかのBtoB企業でも同様に、日経ID会員の若者層の認知度が一般個人に比べて高い傾向がある。今回の調査では、クボタの認知の合計は95%、村田製作所は91%だったが、いずれも別途実施した一般個人の認知度は84%、78%だった。

 また社名変更した企業は、認知度が低くなった。4月に日本電産から社名を変えたばかりのニデックは、認知度が37%にとどまり、6割強が「まったく知らない」と答えた。また日立グループが株式を売却、4月に社名が日立物流から変更になったロジスティードも、8割弱が「まったく知らない」と答えた。新たな社名の浸透には、一定の時間がかかるとみられる。

 

3.BtoB企業に対するイメージ -独自の戦略や強みにも着目

 各企業について「思い浮かべるものやことは何か」についても質問した。キーエンスについては、予想通り「年収」「給料」「営業」などのワードが上位にならんだ。NECは「パソコン」、クボタは「農業」、村田製作所は「電子部品」への言及が多数を占め、全体としてこれまで成長をけん引してきた主力事業への関心が目立った。

 自由回答を個々に見ると、各企業の独自の強みや取り組みへの理解もうかがえた。

 

村田_wordcloud_20230703112334-1 村田製作所については、積層型セラミックコンデンサーなど具体的な主力製品名を挙げ、「中国への投資が積極的」(20代、お勤め)、「国内に限らず海外にもコンデンサなどの電子部品を輸出しているなど知名度以上に社会に必要とされている企業」(19歳以下、学生)と指摘するコメントがあった。

 

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 クボタについては「スマート農業」について触れる回答が多く見られた。「スマート農業などこれからの時代に必要なものをつくっている」(20代、お勤め)、「農機とAIの融合を行い、海外の成果を伸ばしている」(20代、学生)、「農業機械以外の分野への進出が盛んで、地球規模の問題への取り組みも多い」(20代、学生)という指摘もあった。

パナ_wordcloud_20230703112459-1 認知の合計が99%と最も高かったパナソニックでは、全体としては「家電」というワードを使う回答が圧倒的に多かったが、自由回答の中には「電池ですごい技術力がある」(20代、女性)、「電気自動車向けの電池に力を入れている」(20代、学生)といったBtoB関連への指摘も複数見られた。

 一般に認知度の低いとされるBtoB事業についても、日経ID会員の若者層はしっかりとその独自の強みや戦略に着目していることがうかがえる。

4.日経ID会員ならではの行動意識-「情報収集に積極的」で「チャレンジや変革を好む」

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 最後に、日経ID会員の若年層の行動意識について見ておこう。

 

 日経電子版の購読が主な会員登録の動機であることもあり、「情報収集に積極的か」という質問では、83%が「当てはまる」と回答した。

 また「新たな仕組みやツール・方法の導入に積極的」(75%)、「勉学やその他活動に熱心に取り組んでいる」(74%)、「新たなチャレンジや変革を好む」(66%)も、それぞれ高い数値となった。

 日経ID会員以外のビジネスパーソンを対象にした別の調査では、「新たな仕組みやツールの導入」や「新たなチャレンジや変革を好む」といった行動・意識について「当てはまる」と回答したのは20%前後にとどまり、日経ID会員の学生、若手ビジネスパースンの高いチャレンジ意欲や、アーリーアダプター的な傾向が、今回の調査結果からも裏付けられた。

 


日経リサーチが提供する「日経IDリサーチサービス」では、日経電子版の読者を主な調査対象とし、幅広い層のビジネスパーソンの意識や動向を把握できます。アプローチしにくい29歳以下の学生、若手ビジネスパーソンの実態に迫ることも可能です。貴社のビジネス課題解決に、「日経IDリサーチサービス」をぜひご活用ください。

 

“日経ID会員”を対象とした調査
日経IDリサーチサービス

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