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ビジネスパーソンのためのBtoB調査ノウハウ |「BtoBアンケートで押さえるべき3つのコツ」

BtoB企業や、BtoB事業を担当する部門では、BtoCほど市場調査が普及していません。BtoCの場合、消費者の趣向や流行などでニーズが流動的なため、市場調査をしてその時々のニーズ把握をしていくことが求められます。一方でBtoBの場合、これまでは固定客を維持していくことで一定の売上を確保することが可能だったことから、既存顧客の営業的なフォローが重視されてきました。しかし、自社の特徴や競合企業との違いをビジネスターゲットとなる企業や担当者がどうみているかを正しく把握し、必要な手を打つことは競争を勝ち抜く上で欠かせません。日経リサーチでは国内大手企業から受託したBtoB調査を毎年数多く手掛けています。そのノウハウを連載(全3回)でご紹介します。

連載第2弾では、BtoB企業/事業のマーケティングやリサーチの担当者がアンケートを実施するときに押さえるべきコツを3つ、ご紹介します。

連載第1弾「なぜBtoBの市場調査は難しいのか?担当者が悩む3つのハードル」 
連載第2弾「BtoBアンケートで押さえるべき3つのコツ」 
連載第3弾「BtoB調査結果の見せ方、使いかた3パターン」

【コツその①】ビジネスリーダーへアプローチしよう

ビジネスパーソンを対象に調査する場合、対象者条件の設定が大変重要です。自分とは異なる職種や別の業界について、ビジネスパーソンはそれほど詳しくありません。知っていても「聞きかじり」程度の知識しかないこともよくあります。有用な回答を得るには、顧客候補になり得る「上位層」に絞って答えてもらう必要があります。そこが、BtoCのイメージ調査などと異なる点であり、難しい点でもあります。

アンケートを作り始めると、ついいろんなタイプのビジネスパーソンに、様々なことを聞きたくなってくるものです。しかし本連載第1弾「なぜBtoBの市場調査は難しいのか?担当者が悩む3つのハードル」でも述べた通り、BtoB調査では思い切ってターゲットを絞り込んだほうが良い結果が得られます。

大切にしたいポイントは「ビジネスターゲット」へ近づけているか。その中でも企業内で中心的な存在の「ビジネスリーダー」や、製品・サービスの導入に関わる「検討関与者(決済者)」にアプローチできているかが調査の成功を左右します。

 

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ビジネスリーダーや検討関与者へ絞り込む「一点突破型の調査」が望ましい

 

 

具体的な事例を紹介します。大企業のIT・DX推進を支援する会社がBtoB調査を実施する場合、「ビジネスターゲット」の中の「ビジネスリーダー」にアプローチするために次のようなビジネスパーソン像を思い描きます。

まず、職種や役職、従業員規模など基本的なステータスで絞り込みます。対象とすべきは「IT・DXが関わりそうな職種に就いている、大企業へ勤務する役員・管理職クラスのビジネスパーソン」です。日経リサーチが利用する日経IDパネルでは、以下のような分類・粒度で調査対象を選択していきます。

 

 

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調査したいビジネスリーダーをイメージしながら選んでいく

 

 

次に、その対象者がITDX推進に関わりがあるかどうかを判定しなければいけません。そこで、独自の設問に答えてもらい、該当するかどうかを判定します。質問の方法には、

① 直接きくタイプ

② 間接的にきくタイプ

2種類があります。

 

①    IT・DXに関わりがあるかを直接きくタイプの例。 関わりがないと答えた人は対象から外す

 

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②    IT・DXに関わりがあるかを間接的にきくタイプの例。あてはまるものはない人は対象から外す

 

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【コツその②】回答者が答えやすいアンケート構成にする

BtoB調査では、調査対象は基本的にビジネスパーソンです。どんなアンケートであれ、ビジネスパーソンに対して自身の仕事における悩みや課題をきくことになります。内容によっては「職務の内容に関わることなので‥」とお答えいただけないことがあるので、どのように聞くかが回答を引き出すカギとなります。

たとえば、内容をストレートに聞く質問文や、具体的過ぎる選択肢には率直な回答をいただけないことがあります。質問文や選択肢を熟考することはもちろんですが、質問文を提示する前に調査者として配慮をしている旨を伝える前文があることが望ましいでしょう。

 

前文の一例(いうまでもなく、この配慮は厳守する必要があります)

 

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質問文や選択肢そのものにも気を使いましょう。質問文は長すぎず、わかりやすい文章にすることを心がけます。目安としては3行以内にまとまるとよいでしょう。選択肢は多すぎると答えにくいので、多くても810つ程度までが望ましいです。また中見出しを入れるなどしてメリハリをつけると答えやすくなります。

 

メディアに関する選択肢は多くなりがちなので、設問を複数に分けるのも一手

 

選択肢8~10つの理想的な設問の例

 

 

【コツその③】アンケートからインタビューへ広げられるよう手を打っておく

アンケートの結果を分析していると「この回答をした人に詳しく話をきいてみたい」と思うことがあります。調査後、個別に連絡を取りインタビューを依頼したいと思っても、事前承諾(パーミッション)をとっていない場合はアプローチできません(個人情報の利用目的の問題)。

そのため、少しでも回答者に個別インタビューを依頼し、深掘りする可能性があるようなら、アンケートの時に予め事前承諾の設問を最後に入れておくことをおすすめします。

 

事前承諾の一例

 

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考察・提言・まとめ

BtoBのアンケートで押さえるべき3つのコツをご紹介しました。実はこれらは調査の骨組みになる「サンプリングの設計」「調査票の作成」「複数の調査プロジェクト立案」にあたるものです。「調査実施前の企画~調査票作成で調査の8割が決まる」とも言われていますので、はじめて調査にチャレンジする場合はプロのリサーチャーに相談することもおすすめします。

 

(日経IDビジネス推進部 リサーチャー 持木俊介)

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