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ビジネスパーソンのためのBtoB調査ノウハウ |「BtoB調査結果の見せ方、使い方3パターン」

BtoB企業や、BtoB事業を担当する部門では、BtoCほど市場調査が普及していません。BtoCの場合、消費者の趣向や流行などでニーズが流動的なため、市場調査をしてその時々のニーズ把握をしていくことが求められます。一方でBtoBの場合、これまでは固定客を維持していくことで一定の売上を確保することが可能だったことから、既存顧客の営業的なフォローが重視されてきました。しかし、自社の特徴や競合企業との違いをビジネスターゲットとなる企業や担当者がどうみているかを正しく把握し、必要な手を打つことは競争を勝ち抜く上で欠かせません。日経リサーチでは国内大手企業から受託したBtoB調査を毎年数多く手掛けています。そのノウハウを連載(全3回)でご紹介します。

連載第3弾では、「BtoB調査結果の見せ方、使い方3パターン」をご紹介します。

連載第1弾「なぜBtoBの市場調査は難しいのか?担当者が悩む3つのハードル」 
連載第2弾「BtoBアンケートで押さえるべき3つのコツ」 
連載第3弾「BtoB調査結果の見せ方、使い方3パターン」

【その①】自由回答を読み込んで、調査結果の理解の幅を広げる

実施した調査の結果をしっかりと把握するには、グラフ化できる定量的なデータ以外にも目を配ることが大事です。アンケートの中に「自由回答型の設問」を設けている場合、回答者が自由に記入したテキストからたくさんの情報が得られます。そうしたテキスト情報を読むだけではなく、ひと手間かけて回答内容を「分類」することをおすすめです。

たとえば「純粋想起(第一想起)」と呼ばれる自由回答型の設問があります。「Q. 自動車メーカーときいて最初に思い浮かべる企業をご記入ください」というような設問です。ひとつひとつの回答をみながら「これはトヨタ自動車、これは日産自動車‥」と分類していくことを「アフターコーディング」と呼ばれています。

その作業を行うことで、自社の名称がどれくらい想起されたかを実感できるだけでなく、正しい名称がなかなか挙がらず「誤認が多いな」と思ったり、自動車メーカーについてきいているのに異なる業種の企業名が記入され「異業種が参入してきているな」と感じたりします。

「選択肢型の設問」であれば、集計するだけで「トヨタ自動車は40%、日産自動車は20%‥」とすぐにスコアが出ますが、事前に設定した選択肢以外のことは明らかになりません。純粋想起をはじめ、悩みや課題をきく設問、理由を尋ねる設問は自由回答型とし、その回答内容をアフターコーディングするとよいでしょう。

 

アフターコーディング作業のキャプチャ

                 【自由回答型の設問・回答例】

【その②】「報告書」と「BIツール」を使い分ける

アンケートを実施したら、調査の担当者はその結果を分析し、社内の関係者へ周知することになります。マーケティングリサーチでは、結果を理解しやすい「報告書」をまとめることも重要なプロセスです。数ページ~数十ページにまとめられた資料は、社内で共有したり、上層部へ報告したりするために使われます。

一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速し、ビジネスにおいては様々なデータの見える化を実現する「BIツール」も広く普及しています。マーケティングリサーチにおいても、定期的に実施する調査(時系列調査)や実施頻度が高い調査であれば、BIツールによって結果の変化をウォッチしていくことがあります。

ただBIツールはどちらかといえばアクセスログなどいわゆる「フロー(流れる、集まる)」データを管理、分析するのに長けているものです。マーケティングリサーチは原則として人に質問をして回答を「ストック(集める)」データです。この特性の違いを頭に置きながら、調査結果を「報告書」でまとめるか、「BIツール」へ積み上げていくか、うまく使い分けることが調査企画者としての腕の見せ所となります。

 

【その③】社会性のある調査結果は、リリースとして公表し社会に還元する

新聞、テレビ、ニュースアプリなどをみていると、企業が自主的に実施した調査結果が引用されていたり、公表そのものがニュースとして紹介されたりしています。マーケティングリサーチが身近になり、メディアや広告代理店のみならず、様々な企業が自主調査を実施し、その結果をリリースの形で社会に公表するようになりました。

ビジネスパーソンが求める調査としては、「社会課題」に関する中でもたとえば「SDGs・サステナビリティ」「生成AI」「DX・デジタル・業務効率化」などが考えられます。「具体的にどんなことが問題なのか」「各企業・経営でどの程度取り組まれているのか」を調査で明らかにし、社会へ提示することで、社会に貢献しつつ、自社に注目してもらうきっかけをつくることにもつながります。

 

調査結果のニュースリリースのイメージ

                 【ニュースリリース例】

 

(日経IDビジネス推進部 リサーチャー 持木俊介)

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