留置法
留置法(とめおきほう)とは、調査員による訪問調査の手法のひとつ。訪問調査には留置法と面接法がある。
調査員が調査対象者のところまで訪問し、調査の趣旨説明や協力依頼をする段階までは、面接法と留置法は同じであるが、その後のプロセスが異なる。
● 面接法:調査対象者と対面し、調査員が質問し、調査対象者の回答を記録する。
● 留置法:調査対象者に調査票を渡して、後日、再度訪問して調査票を回収する。
面接法では調査対象者に会えないと調査を実施できないが、留置法では家族・同僚などに渡して、後日、回収すればよいので、面接法に比べると回収率が高くなる傾向がある。
留置法のルールとして、調査対象者や家族にも会えない場合に、郵便箱に調査票(調査関係書類一式)を入れてきてはいけない。これは郵送法と同じことになり、せっかく調査員が訪問する価値がない。直接会うことで、趣旨説明・協力依頼という丁寧な対応をして回収率を高める、という効果が低下する。
ところが、近年では回収率という観点からは郵送法のほうが留置法よりも高い場合もあり、決定的な判断は難しい。生活時間や人間関係の多様化も影響していると考えられている。調査員の活動する時間帯には帰宅しない人々が増加し、オートロック・マンションなどで接触が困難になった。そもそも知らない人(調査員)を怪しむ風潮もある。社会状況の変化もあり、調査員調査に匹敵する調査予算を投下すれば、よく設計された郵送法に優位性が認められる場合もある。
郵送法と留置法の違いについては、回収率よりも、調査員による対面というプロセスが存在することが特徴であり、回収時点での回答状況の確認ができることや、調査対象者である本人が回答したという確認を現場で実施できることで、高品質の調査データを得られるという期待がある。しかし郵送法であっても本人ではない人が回答する「代理回答」は非常に少ないか、それも除外してもなお、郵送法の回収率が勝るという報告もある。