オムニバス調査/マルチクライアント調査
Omnibusとは乗り合いバスのことである。調査の文脈でオムニバス調査というと、相乗調査を指す。誰が相乗りをするかというと、調査結果を利用したい企業である。誰がバスを用意するかというと調査会社である。調査会社は定期的に自主調査を実施し、複数の企業がその調査(バス)に相乗りするのである。調査会社からみると、複数の企業(クライアント)によって、ひとつの調査を実施するので「マルチクライアント調査」とも呼んでいる。
通常のマーケティング調査は、一社のクライアントのみのために実施することが多い。クライアントである企業は、調査結果を独占できるが、多額の調査予算を負担する。しかしその重要な情報は他社には知られたくない、独占したい情報なので、多額の調査費用を出す価値がある。これはバスではなくハイヤーである。
一方で、予算は少ないが調査したい、他社と部分的に同じでも構わない、という状況もある。そのようなニーズに応えるために、調査会社は定期バス(オムニバス調査)を運行するのである。調査仕様と調査時期は決まっており、発車時間が近づくと企業にお知らせして同乗者を募る。定期バスではないが、一時的に同乗者を募る特定の企画を、定期便と区別して「マルチクライアント調査」と呼ぶこともある。
オムニバス調査は調査会社によって設計内容は異なるが、基本的には調査概要が同一で調査会社が企画したものに従い、企業は調査票の1ページを買う。あるいは1問だけを買う、という契約をする。一般にフェースシート部分は共通に設定・提供される。
オムニバス調査に類似した調査として、シンジケート調査がある。これは調査会社と契約した会員社にのみ調査結果を提供する、会員制の事業モデルである。いくつかの有名なシンジケート調査があるが、よく知られているのはビデオリサーチの視聴率調査などである。